表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/13

ユートピア-3

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Name:【Shun】 Level :1

職業:《ファイター》


STR:31

VIT:24

INT: 3

AGI:10

LUC:10


HP:195/195 SP:9/9

攻撃力:26(+20)

防御力:20(+15)


《ジョブスキル》

①【闘争心】…武器を抜いた状態のとき、攻撃力1%上昇

②【????】…熟練度50以上で解放

③【????】…熟練度100で解放


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 シュンのステータス画面を覗きこんだ俺は、低く唸った。


「どうなのこれ、すごいの」


 シュンはあまり興味なさげだ。自分ではステータスの開き方も分からなかった彼にとっては、ただの数字の羅列なのだろう。MMORPGとは、この数字の優劣を競うゲームであるといっても過言ではないのに。


「筋力たけぇ……知力低っ」


「いま遠回しに脳筋って言わなかった?」


 あえて否定はしなかった。どうにも、ステータスの個人差が、選んだジョブの個性を越えている気がする。これでは同じジョブを選んだ人間でも、ステータスは全く違う可能性が高い。


 どちらかというと、この数値を見て浮かぶのは「シュンっぽいな」という感想だ。ふと、俺の中で突飛な仮説が立ち上がった。


 個人のステータスには、選んだジョブだけでなく、現実の肉体や脳の性能が、少なからず影響しているのではないか。


 筋力の瞬発力や持久力は、現代の科学力なら寝ている人間に対しても測定はそう難しくない。脳機能も同様だ。


 そもそもこの仮想世界で思いきり体を動かしてもカプセルの中で手をぶつけずに済むのは、脳による運動命令を遮断し、この世界の肉体アバターに対する運動命令に即時変換しているからだ。


 つまり俺たちの脳はシステムの管理下にあり、丸裸も同然と言っていい。あのカプセルの中で、何を調べられたとしても不思議ではない。


「現実の能力と趣向に寄せたステ振り……面白いな。俺みたいなインドア派にはキツイ仕様だけど、ゲーム勘も埋めようがない差ではある……バランスとれてるのかも。筋力面で女性や子供は不利な気がするが性別や年齢に合わせて調整が入るのか? 母さんのステータスも見せてもらわなきゃ。……けど、それなら俺のアジリティーは……バグか……?」


「いつまでブツブツわけわかんねーこと言ってんだよ。こんな数字、どうでもよくないか? オレ、そんなことより色々と探検したいんだけど。外国に来たみたいでワクワクする!」


 俺はムッとして言い返した。


「ゲームなんてしたことないお前には分からないかもしれないけどな、俺は今、ゲームの世界が現実になったことに、何よりテンションが上がっている」


「兄貴はこの数字見て楽しいの?」


「当たり前だ。いいか、コレはお前の筋力、コレは体力を表している。レベルが1って書いてあるだろ? 外に出て、その剣で敵を倒せば、この数字が上がっていくんだ」


 弟の目の色が変わった。俺は知っている。色々と正反対でも、根っこの部分で、俺とシュンの好みは似ている。


「それって、強くなるってこと? 敵がいるの?」


「そうだ。お前が打ち込んできた空手も役に立つだろう。そうやって強くなっていけば、行ける場所も、使える武器も、技も、どんどん増える。俺が言った"探検"ってのは、そのことだよ。ただ近所を歩き回るより、ワクワクしないか?」


「する!」


 キラキラ目を輝かせて頷いた十四歳の弟に、俺は片手を差し出した。


「俺が知識を貸してやるから、お前は力を貸せ。二人でこの世界の誰よりも強くなるんだ。燃えるだろ?」


「くっそ、燃える!」


 顔の前で、お互いの手が景気よく打ち鳴らされた。こんなに楽しいのは、いつぶりだろうか。すっかり童心にかえった気分だ。


「じゃあ、行くか」


「どこに?」


「決まってるだろ。フィールドだ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつも応援いただきありがとうございます。更新を待つ間、こちらの新作はいかがでしょうか? 【回復魔法】しか使えない魔族の少年が最強へと成り上がる物語です。 新作は↓ 善人すぎて魔王軍を追放されたヒーラー、《剣聖》少女に拾われ最強に至る〜「魔族は自己再生できるのに【回復魔法】しか使えないなんて無能」と言われ続けてきたけど、【回復魔法】じゃありません〜 こちらから読めます。こちらの執筆の励みにもなりますので、ぜひ高評価お願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ