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ウサギとカメの二人芝居(どつき漫才)

この世界には(物語)を目で見る文化がない。

ライトとアンジュは、それに気づいて、驚いた。


歌う文化はある。絵を描く文化も、本を読み書きする

文化もある。楽器はあるし、踊る文化もある。

教会の(神子姫)の神楽舞もある。

だが、本の通りに人が芝居をする文化がなかったことに、

今更ながらに気が付いて、二人は顔を見合わせた。

グランやセデスに(物語)を目で見ることを教えて欲しいと

言われて、彼らは首をひねて、悩んだ。


ライトの前世は格闘技の世界チャンピオン。

アンジュの前世は(ユイ)に会うまではヘタレチャラ男。

でも、二人には前世の日本での記憶があった。

日本人なら、ほとんどの者が知っている(物語)で、

登場人物は二人だけ、話しも簡単でわかりやすいはずの

ものを同時に思い浮かべた二人は、サリーとイレールに

協力を頼んで、小さい冊子と、着ぐるみを2着作らせた。


グランとセデスに、まず冊子を読ませて、内容を把握させる。

次にサリーとイレールにそれぞれの役で読み合わせをしてもらう。

その次にライトとアンジュは、それぞれの着ぐるみを着て、

それを実際にお芝居でやってみる。


その(物語)の題材は『ウサギとカメ』だったのだが、

お芝居を見終わった後の4人が大号泣した。


「うっ、うっ!!亀が、亀のコツコツとした努力が、

実を結んで、なんて感動的なお話なんでしょう!」


「う、兎だって、途中から努力をすることを、

思い出しましたのに、間に合わなくて可哀想でしたわ!

ふ、二人とも頑張っていたのに、う、うわぁぁ~ん!!」


「兎と亀があんなに格闘技が出来るとは、思いません

でした。亀の甲羅の防御も侮れませんねぇ。・・・次の

(銀色の妖精の守り手)の訓練生達には、亀の甲羅を

背負って、山登りをさせてみるのもいいかもしれません!」


「アンジュのウサ耳を付けたままの回し蹴りも綺麗だったよ。

ライト様の亀の必殺技を交わしきれなくて、残念だったけど、

アンジュは可愛くて、よく頑張っていた。ウサ耳をつけた

アンジュも可愛くて、惚れ直してしまったよ!」


「キャ!!旦那様、コスプレに興味が!?どうしよう、

俺、旦那様のために、バニーちゃん頑張ってみる?

俺、心は父ちゃんだけど、これギリセーフ?アウト?

いやでも、旦那様が喜ぶなら・・・。どうせ俺、

最近紅獅子とかって呼ばれているし、兎もありかも!

俺、・・・網タイツ履くの頑張るか!で、もっともっと、

旦那様を俺にメロメロにさせて、もっと充実した夫婦生活を

・・・、キャ!恥ずか嬉しい!」


「おい!何イチャイチャモードになってんだ!

ホントにお前は昔から(ユイ)に好かれるためなら、

どんなことでもするチャラ男だったが、今は抑えろ!

途中から、儂たちのどつき漫才が、(物語)の趣旨と

ずれてたんじゃないか?格闘技の話じゃないし、

兎は回し蹴りなんてしなかったぞ、あの話の中には!」


「いいじゃないですか、師匠だって、かかと落としなんて、

亀はしませんよ、あの話では!取りあえず、(物語)は

読むだけじゃないって、知ってもらうことが第一歩ですよ!

だって、劇には脚色とか演出とかって、あるでしょう!」


ライトとアンジュがギャアギャアと言い合いをしている中、

サリーが、言った。


「もしかしてアンジュ様が言っている『劇』とは、

(ごっこ遊び)を見ることでしょうか?それなら、

私達はわかります。昔、イヴ様の(ニンジャごっこ)を

見ましたもの」


サリーの言葉にイレールとセデスが、ああと頷く。


「あの時、イヴ様は『ニンジャ』になりたいと言って、

私達は全力で、それをお手伝いしました。

ピンク色の忍者服にイヴ様の巻物・・・、宝物の

箱や、宝物の(知恵の輪)も用意して・・・。

たしかイヴ様は扉が開けられなくて、タイノーが

わざと知らないフリをして、扉を開けにいったり、

危険なところに入らないように、アイビーや皆も

イヴ様に隠れて、あれこれ動いて・・・、あの時は

可愛らしくもアブなっかしいイヴ様にずっとハラハラして、

目が離せませんでした。私達は『ニンジャ』が何なのかは、

わかりませんでしたが、長が言うには、(アイ)が、

夜間に走る私達のことを『ニンジャ』だと、イヴ様に

説明していたと話していたと・・・。確か『ニンジャ』は

(物語)なのだと、言っていたように記憶しています」


(アイ)はイヴの中にいるころ、自分の前世のことは、

『片頭痛』以外の事は、話してはいなかったのだが、

イヴが『片頭痛』を発症している間、散歩も刺繍も勉強も

本を読むことも、何も出来ずにベッドで寝ているしかなかった

イヴを楽しませようと、(アイ)が好きだった『忍者小説』の

話しを、()()()()()()()()()()()()()()()()ていたのだ。


「イヴ様が語られる(物語)の者達は、非常に私達に似た

者だったので、私達は感情移入をしすぎて、よく泣きながら

聞いていたものです」


だからマーサやセデスは、イヴの口から語られる

『ニンジャ』のお話を、密かに書き留め、その(物語)の

本を探してみたが、見つからなかったので、これは

(アイ)=イヴの創作した(物語)なのだと思って、

「さすがイヴ様!物書きの才能が3才から溢れています!」

と感心していた。


バッファーに来てから、『忍者体操』の冊子をつくるときも

それを参考にしたとイレールは言った。


ライトは、グラン達が(物語)を人が演じて

()()()ことを理解したので、

自分は、その(物語)を(銀色の妖精)に見せるために、

ここに転生させられたらしいと話した。


「でも、儂が、『片頭痛』で投げやりな気持ちに、

なって殺されても構わないと思っていたら、そんなのは

『英雄』らしくないと、怒鳴り込んできて・・・」


「じゃぁ、今、アンジュの言う『乙女ゲーム』の

(物語)の『英雄』は怒鳴り込まれているのだろうか?

だって、その(物語)に出てくる2人が、あの国には

いないだろう?それとも神様が見たい(物語)には

あの2人は関係がないのだろうか?」


グランの言葉にセデスはイレールとサリーに命じ、

確認させるために、他の(銀色の妖精の守り手)に

連絡を取りに行かせた。

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