表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/25

へディック国の城の中の大聖堂の秘密

前王ナロンの命令で、城の中の大聖堂は、

立ち入り禁止だった。なので国中の教会の壁画しか

アンジュは知らない。ライトにいたっては(頭痛)のため、

何もかもに興味がなかったので、城の壁画なんて

あったかどうかもわからないと答える有様だった。


アンジュは思い出しながら、教会の壁画について語る。


「確か、へディック国中の教会の壁画は、

壁画の一番上の中央から光が射し、中央に立つ青年を明るく照らす。

()()()())の青年が、煌びやかな出で立ちで、

金色の大地にしっかと立っている。

青年の足下には、彼に嫉妬した(黒髪黒目の悪鬼)が、

青年の命を狙っている。

天上から降り注ぐ光の中、(金色の天使)から剣を賜った青年は、

剣を(()()()())の悪鬼に突き刺し、

踏みつぶしている。

血を大量に流し、苦悶の表情を浮かべる悪鬼は、己を守る

(影の一族)と呼ばれる魔物達と断末魔を上げている。

それを満足そうに見て笑う青年の姿が描かれていたわ!

その青年は前王ナロンがモデルらしいの!」


これを聞いたライトが、そういえばとバッファー国の

壁画の事を思い出した。


「なんだって!?それはこのバッファー国の壁画と、

内容が似てないか!儂のとこのは、

壁画の一番上の中央から光が射し、中央に立つ青年を明るく照らす。

()()()())の青年が、凜々しい出で立ちで、

剣を地に突き刺して、緑の大地にしっかと立っている。

青年の足下には、(神の使い)であるはずの(金色の天使)が、

彼に嫉妬し(金色の悪魔)に転じ、青年の命を狙う様子が

描かれている。

青年の頭上には、(神の使い)の(銀色の妖精)が

天から舞い降りて、(金色の悪魔)から命を狙われている

青年を守ろうと(銀色の盾)を持たせようとしている。

その盾から(真実の王の守り手)と呼ばれる使徒が、

大勢悪魔に向かっていき、その守り手達の命がけの活躍により、

悪魔は追い払われる。


この絵は儂の姫と、儂のお節介な侍従が作ったのだが・・・」


二人の話を聞いた後、セデスは、二つの国の壁画は、

それぞれの国の支配者が国を治めるのに、都合の良い

話を民に信じさせるために広めたものだと言った。


へディック国の城の大聖堂に封印されている壁画は、

国の成り立ちを意味するものではなく、

世界の成り立ちを説明するものだと、セデスは言う。


セデスは、始祖王の時代から代々仕える一族、

(影の一族)の長の息子故、その壁画の由来を

正しく知っていたのだ。


「へディック国の城の大聖堂の中にあるのは、

この世界の成り立ちです。


(壁画の一番上の中央から日の光が射し、

中央に立つ()()の人物達を明るく照らしている。

(黒髪黒目)の青年は、緑の大地にしっかと立って、

両手を上に広げ、空から舞い降りてくる、

円形の光を受け止めようとしている。

黒髪の青年の右側には(金髪碧眼)の青年が、

彼を守ろうと自身の背に彼を隠し、剣を前に構えている。

その金髪の青年の背には、真っ白い鳥の羽根の

ような形状の翼があった。

黒髪の青年の左側には(銀髪青眼)の青年が、

二人を守ろうと盾を持っている。その盾から、

沢山の(黒髪黒目)の使徒達が飛び出して、

後方の闇を撥ね除けている。

その銀髪の青年の背には、蝶の羽根の

ような形状の透明な羽根があった。

3人は、笑顔で互いを想い合っているような表情でいる)


城の中の大聖堂にある、この壁画は、

()()()()()()()()()が描かれていると

私の父は幼きころの私に教えてくれました。


『この世界は3人の幼い兄弟神が、父神から与えられた、

彼らの箱庭の世界なんだ。

3人が父神によって与えられた力を使って、力を合わせて、

この世界を創造した様子を描いているのが、

この絵の本当の意味なんだ』


・・・と。ですが、城の中の大聖堂の壁画の意味も、

時代が経つと共に、人々の記憶から薄れていき、

その時代の統治者(王)の都合の良いように、

壁画の意味は解釈されていきました。


ナロン王子の父親のアロン王の時代、その壁画は、

へディック国の始祖王が、国を建国したときの絵だと、

信じられるようになりました。


(壁画の一番上の中央から日の光が射し、中央に立つ

(黒髪黒目)の始祖王を明るく照らしている。

(黒髪黒目)の始祖王は、緑の大地にしっかと立って、

両手を上に広げ、空から舞い降りてくる、

()()()()を受け止めようとしている。

黒髪の青年の右側には(金色の天使)が、

この国を治めるための剣を、始祖王に与えようとしている。

黒髪の青年の左側には(銀色の妖精)が、

この国を守るための盾を、始祖王に与えようとしている。

その盾から、飛び出す(影の一族)は、王家の権威を

表し、その力が国中に浸透する様子を描いている。

金銀の神の使いは、神の力を得た始祖王を称え、

始祖王は王になる力を得たことを喜んでいる)


・・・と意味が変わって伝わるようになりました。

それには先ほどの理由もあるのですが、

主な理由は別にありました。


実は、へディック国の始祖王が、数々の苦難の末に

へディック国を建国した時・・・、彼は4人兄弟だったの

ですが、4兄弟で、この国を建国したのが真実なのです。

この事も我ら(影の一族)の

口伝として伝えられている秘密なのですが、

その時に兄弟間である取り決めが交わされたのです。


【『王』の資質を持つ三男は、始祖王に。

『王』を知識の力で補助する才女の末妹は、シーノン公爵に。

『王』の目となり、民の心を伝える長兄は、ヒィー男爵に。

『王』の手足となり、国を支えるために次兄は、

名と籍と姿を捨て、(影の一族)に。】


これを後世の王に伝えるために、この世界の成り立ちを

表す壁画の意味を変えた・・・そうなのです。

都合の良いことに3人の兄弟神の(天使)と(妖精)と、

(青年)の色味は違いますが、顔つきは兄弟故

とても似ていました。

始祖王の長兄と末妹、そして始祖王の色味も、

偶然(天使)と(妖精)と(青年)と同じでしたし、

彼らも兄弟だから顔は似ていたのです。

・・・ちなみに次兄は壁画には描かれていませんが、

我らの口伝では(桃色の髪に水色の瞳)だったそうです。


そしてまた、長い年月が経ち・・・、

この意味を間違って解釈した王がいたのです。


『愚かしいことにアロン王は、この王家に都合の良い

解釈を盲信されておられて、始祖王以来の(黒髪黒目)の

第二王子のライト王子の出生をとても喜ばれているんだよ。

平和な時代が続いたことで、(影の一族)のことは、

王の都合の良い捨て駒くらいにしか思っておられないから、

我々がいくら言っても、真実の壁画の意味を信じようとしない。

大司教でさえ、アロン王の信じる解釈の方を

もったいぶって、教会の説話で語るのだ、嘆かわしい!』


と憤っておりました。この解釈により、王子同士の争いが

起き、だからこそナロン王が城の大聖堂を立ち入り禁止にし、

国中の教会の壁画を自分の都合の良いモノを描かせたそうです」


長々とセデスは城の大聖堂の壁画にまつわる話をした。


・・・そしてアンジュは、ヒィー男爵と聞いて、

あることを思い出した。


「ち、ちょっと待って!ヒィー男爵って!?

それって、乙女ゲームの?」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ