バッファー国のライト(中編)
このリン村はバッファー国の(英雄)ライトが、王位に
着いてから作った、彼にとっては特別で何よりも大事な
場所だった。
バッファー国直轄領の中の村、しかも村人は医学者、薬師以外は
皆、退役騎士もしくは、ライトの護衛の騎士とその家族達と定め、
貴族や一般人も村に住まわせることを禁じたのには、理由があった。
ライトが王に着いてから、このリン村に多種多彩な薬草が急に
自制するようになり、しかも次期同じく急に医学に秀でる者が
バッファー国のライトの下に集まるようになったからだ。
まるで磁石に吸い寄せられる砂鉄のように、身分や性別に問わず、
薬草知識に富む者やそれらを調合することで新たな薬効を得るという、
今までになかった斬新な発想をする者など、
金銀の鉱山を得るよりも、貴重な人材が続々と現れ、
しかも彼らは善良で人々のために医学を発展させたいと願う者
ばかりだった。
だからライトは貴重な薬草や貴重な人材を保護するために、
この村を作ったのだ。
姫が5人目の子を出産後、産後の肥立ちが悪く亡くなった時、
ライトは無力感に襲われた。
もっともっと、医学が発達しないと、もっともっと薬をと、
ライトは鬼気迫る表情で国造りと、リン村での薬の開発に
心血を注いだ。
やがてライトの黒髪が白髪に変わり、ライトは長男のエースに
王位を譲り、これからはリン村で薬の開発だけをして、
余生を過ごそうとしたころ、やっとライトの願いは
叶えられた。
それがグランとイヴだった。
姿形は変わっていたが、紛れもなく(ライト)の
すっごく可愛い可愛い世界一可愛い妹と、
目に入れても痛くないほど可愛がっていた、
天使のように可愛い可愛いもう一つ可愛い姪だった。
ライトは(銀色の妖精)に感謝の祈りを捧げた。
早速姫と約束していた、白馬の騎士達のお出迎えをし、
彼らのために作った、温泉の保養地へも案内した。
まるで血を分けた兄弟を大事にするか如く、大事に扱う
ライトに従い、事情を知っているライトの息子も、
事情を知らない、城の者も、ライトの家来達も、
当初、国賓のようにグラン達を大事に扱った。
ライトを(英雄)にした(銀色の妖精)と瓜二つ
の容姿を持つグランとイヴのことを神代の国の人物
なのでは無いかと思う者も大勢いた。
しかし彼らと交流が始まると、バッファー国の城の者も
リン村の村人達も彼らを同じ人間として、受け入れ、
親しみと尊敬をこめて、付き合うになった。
グラン達は皆、人とは思えない程の美形だったが、
それを鼻に掛けることもなく、人当たりは良く、親切で
気さくだったし、医師を目指すスクイレル当主グランは、
とても生真面目で誠実な人柄だったため、ライトの部下達は、
たちまち彼らに好感を持った。
グラン達が村に着いて早々、アンジュが身ごもった頃、
ライトは極秘裏に自分の部下達や部下だった農民、
セロトーニ医師に、グランの素性について説明をした。
グランが(英雄)ライトの遠縁の者であることや、
彼が、ついこの間までへディック国の、王の代行業を
していたことや、彼の娘が『片頭痛』により、
自分は貴族は出来ないからと修道院に、
たった4才で入ろうとしていたことや、
グランが娘のために、全てを捨てて、この国に来て、
医師になろうとしていること等を打ち明けた。
リン村の者達は、グランとの日頃の会話で、彼が只者では
ないことには気づいていたが、まさかライトの祖国で、
王の代行業をしていたとは思わなかったので、大いに驚いた。
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グランのその有能振りを間近で見た、
バッファー国のエース王や執政官達は、ライトの言葉は
全て真実なのだと思い知った。
ライトのこれまでの執政能力もすごいと思っていたのに、
グランの執政能力と比べると・・・、グランは
『賢王』の名を冠するに相応しい『王』だった。
そしてグランの聡明さに頼り切りのカロン王の無能さに
呆れ、ライトが、リン村に頑丈な丸太の防御壁を作った
経緯を理解した。
これほどの偉大な『王』、その価値は金銀財宝なんて
比較にならないほどの、宝である。
彼を味方に付けた国は、必ず繁栄する・・・。
ここ2年のバッファー国の繁栄の理由は、
(銀色の妖精王)グランがここにいるからだ・・・。
エース王は、今は平民になっている偉大な『賢王』に
師事を受けようと決意をし、
エース王とバッファー国の重鎮達、城の執政官達は、
国全体で(銀色の妖精)達を守る、
スクイレルになることを秘密裏に決定した。




