4. 修行 その壱
あの日から約2年がたち俺はすくすくと成長し、今は普通に走れるようになった
当時は、舌がまわらずにうまく話すことができなかったが、ある程度は話せる
そろそろ魔法の修行を始めたいところだが流石に子供が魔法を使うのはおかしい、だから少しずつ魔力の強化トレーニングをしようと思う
魔力とは体の中に誰でもある力だ、魂の近くに存在している。まぁ、魂に結びついた器に水がたまると考えてもらって良い
魔力は体に少しずつ流すことで強化することができる
流す量は多かったり少なかったりするのではなく、一定の量を流し続けることが大切だ
まず、この体のどこに魔力があるか探す必要がある
人によって魔力の位置は異なっている
前世の俺の場合、右の胸に魔力があった
この体でも同じ場所にある可能性があるので、まずは胸から探す
思ったとおり前世と同じ場所に魔力を感じることができた、右と左という違いはあるが……
ほとんど同じ場所に魔力を感じることができたので、魔力のコントロールの練習は不要だ
魔力を少しずつ流していく、しっかり流れているかを知る方法は二つある
一つ目は、体全体に力がみなぎってくる
二つ目は、体がポカポカしてくる
この二つのうちどちらかの感覚を掴んでおくと、この先魔法を使うときに便利だ
まだ魔力が少ないので、すぐに魔力切れを起こしてしまう。魔力切れを起こすと、頭痛やめまいの症状が現れるので前世では魔力切れを起こす前にトレーニングをやめるのが常識だったが、実は魔力切れを起こすことでより魔力を強化することができるのだ
この方法で魔力強化トレーニングをしていると、一時間ほどで魔力切れを起こしてしまった
今日のトレーニングはここまでだ
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翌日
俺は子供らしく、おもちゃで遊ぼうと思う
確か前世では、子供用の魔導具があったはずだ
その魔導具は、子供が遊びの中で魔力の使い方を学ぶというものだった
子供が魔導具を知っていると、怪しまれる可能性があるので遠まわしにほしいと伝えよう
「ママ〜、おもちゃほしい〜」
「はーい、シュウちゃん。ちゃんとママっていえたね〜」
「シュウちゃんがなかなかママって呼んでくれないから心配しちゃった」
そう、最初ママと話すときは「ねえ」とか「あの」とか言っていたけどママに「ママ」と直されたので素直にそう呼んでいるのだ
この日をさかいに家族のことをちゃんと呼ぶようになった
「おもちゃほし〜」
俺はなるべく子供っぽく見えるように目をキラキラさせ、体をクネクネさせて頼んだ
「そうね〜、シュウちゃんあんまりおもちゃ持ってないもんね」
「うん」
「実は、シュウちゃんのためにおもちゃ買ってたんだ〜」
「本当⁉」
「はいっ 大切にしてね〜」
ママはそう言って大きなロボットをくれた
そのロボットは魔導具ではなく、腕や足が動かせるものだった
俺の持っているおもちゃはすべて魔導具ではない。普通のおもちゃだった
もしかしてこの世界、魔導具の分野遅れてる?
まぁこのおもちゃは、子供が持つにはなかなか大きいものなので体は鍛えられると思う
それにママが買ってくれたから、使うだけ使おう
俺、転生して昔より性格が柔らかくなった気がする