作戦・3
たいへん、お待たせしました!!!
「なんだよ……何なんだよ!!」
「ふふふ、これが俺の能力、『不死者の軍隊』だッ!」
そう叫ぶと、地面から新たに骸骨の兵士が這い出てくる。
手にしている武器はバラバラだが数が多い。
二人の周囲を取り囲み、ただゆっくりと揺れていた。
「能力者ってのはほんと、ほんとにずるいよな…」
「諦めるなアーリ、何かまだ方法はあるはずだ。」
「んー…君たちはここで降伏したほうが身のためだな。片方は楽に死なせてやるぞ?」
「あいにく死にたくはないんでな、降伏はしないでおくよ。アーリ、目を瞑れ!!」
「…!」
アレンが何か空中に放り投げた瞬間、眩い光が辺りを照らした。
閃光弾を投げたのだ。
「突っ切るぞ!!!」
「了解!」
骸骨兵士達を押し倒し駆け出す。
逃げることに気づいた兵士が銃を乱射するが、まだ目がよく見えていない様子であさっての方向へ撃ち続ける。
そんな敵兵を横目で流しながら暗闇へとむかって走っていった。
「敵陣地内で光源を確認、おそらく閃光弾かと。」
「誤作動ではないな。銃撃音といい何が起きてる?」
「大佐、パリストン大尉が到着しました。」
ルインは全軍に対し攻勢作戦の準備を早めるように指示をしていた。
日の出とともに左翼全体に強襲をかけるためである。
「パリストンです…どうかされましたか?」
「貴様の部隊で捕虜奪還のために動いている兵士がいるとの報告を受けた、誰だ?」
前任のバカは自身のつまらない尊厳とやらに部下を死地へ送り出した。
だからといって彼らを不幸だったとして見捨てるほど彼女は無慈悲ではなかった。
「先に言っておく、兵士を無駄死にさせるのは嫌だが全体のためには私は命令をくださねばならない。」
「……存じております。」
「よろしい、では準備をし給え。」
「……はい。」
テントを後にし小さな光が点滅する陣地を眺める。
潜入した小隊が戦闘を開始しているのだろう。
「お前たちの上官がせめて普通であれば、無駄死にすることはなかったのに…」
「どきなさい!ここの司令官と話がしたいのよ!」
「お戻りください!!」
離れた場所で言い合う声が聞こえた。
黒髪の、周りとは浮いた服をまとう女の子。
「魔女がなんのようですか、セドナ・ヴィクトーリア」
「私を戦場に出しなさい。一瞬で終わらせるわ。」
「す、すみません…必死に説得はしたのですが…」
護衛の女性は頭を繰り替えし下げている。
手をやりその場から離れさせると、セドナはまくし立てた。
「ヴィクトーリア、これは貴女の考えや気分で進むことではないんですよ。」
「なんですって!?みんなして私を子供扱いするのね!!」
「あなた一人で何ができるんですか?ただの魔女が、この場をひっくり返せるとでも?」
「えぇそうよ!」
こういうプライドだけが高いやつは嫌いだ。
あくまでひかない姿勢を貫くセドナに嫌気が差したのか、
「敵陣地にいる味方を助けれることができたらお前を戦場にだしてやる。」
と口走ってしまった。
「言ったわね?」
ニヤリと笑い、彼女はそのまま駆け足で去ってしまった。
「はぁ…三人ぐらい護衛に向かわせてくれ…何かあっては困る。」
「はっ!」
「作戦開始時刻には変更ない!準備が完了次第、攻撃を開始する!!!」
戦争は、私は嫌いだ。