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ヘクセンクリーク  作者: カルカン
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作戦・2

時間は少し遡り、アーリたちが潜入する3日前。

一人の男が新たな部隊指揮官として派遣された。

背は高く、スラリとした男は目つきばかりがギラつき周りの兵士を怯えさせていた。


「中佐、ようこそ。」

「うむごくろう。戦況はどうかね?なにか進展は?」

「2度ほど突撃を敢行しましたが失敗、現在はこうやって睨み合っている最中です。」

「そうか。……モルモットは?」

「っ!捕虜でありますか……五人ほど用意いたしました。」

「よろしい。本当は能力者が欲しいのだが……まぁいい。早速試すか。」

「準備いたします。」





「アレン、向こうに人影が…」

「ん……暗視センサーには反応ないが?」


アーリは潜入してからずっと監視されているような感覚に陥っていた。

しかし、センサーには何も反応はない。

アレンも何も感じないと言う。


「そんなに緊張するな、俺たちならやれるさ。」

「気にし過ぎか……すまん。」

「しかしほんとに静かだな、不気味だ。」


そして奥深くまで進み、目的の場所へとたどり着く。

塹壕から這い出ると、そこには複数のコンテナが半円状に並んでいた。

きっとここは捕虜を収監する場所、または物資をおいてある場所なのだろう。

だが、気になる点がいくつもあった。


「ここのようだな。」

「警備がいない、罠かもしれないぞ。」

「一度周りを見て…」

「やめてくれぇ!!!!」


突然暗闇に悲鳴が響き渡った。

コンテナを見ると、僅かに灯りが漏れているものが一つあり、悲鳴はそこから発せられたものだとわかった。

静かに二人はそのコンテナへ近づくと中を覗いた。

手前に警備兵と思われる人物と奥に背の高い男と白衣を着た男、その奥にはロープで縛られた兵士、捕虜がいた。


「ふむ………」

「条約を無視するつもりか!?」

「3番は体力的には他に比べ優れています。」

「なら今回はこいつにするか。」

「やめてくれ!家に返してくれよ!!」

「……チッ」


コンテナに銃声が一発鳴った。

男の悲鳴がまたしても響く。

アーリは思わず体が動きそうになるが肩を強く抑えられた。

アレンが小さく落ち着くように諭す。

ここで下手に動いて捕虜が殺されたりでもしたら助けに来た意味が無くなる。

怒りを理性で抑えながら冷静になろうと頭を動かす。

その間に中の男たちの会話が続いていた。


「他の奴らはどうだ?」

「2番は実験3時間後に沈黙し4番はつい先程沈黙しました。」

「あとはこいつと5番か…よし、始めるか。」

「頼むッ………やめてくれ………お願いだ…」

「測定開始、どうぞ。」

「やめてくれっ!むぐぅ!?」

  

背の高い男が捕虜の口を塞ぎ、胸に手を突き刺した。

突然の光景に目をつむった。

その後男は何やら呟くと、捕虜をそのまま床へ倒した。

しばらくすると、死体は起き上がり動き出した。

信じられない光景に、昔見たゾンビ映画を思い出した。しかしあくまでそれはフィクションの世界であって現実ではない。だが、今見ている光景はそれと全くの同一であった。

アレンも信じられないといった様子らしく、何度も目をこすっている。


「あとはどれぐらい使えるか、だな。」

「中佐、通信です。」

「なんだ……ん、そうか、わかった。」

「何かありましたか?」

「モルモットが脱走した。おそらく侵入者だろうな。」

「なるほど…おいお前、時間の測定と監視を頼むぞ。」

「はっ!」


白衣の男と背の高い男はコンテナから出ると、どこかへ通信したあと暗闇へ向かって歩いて行った。

見つからないよう、アーリたちはコンテナの影へ身を隠し息を潜めた。

姿が見えなくなると、アレンは素早くコンテナの中へ入る。

中の兵士は声を上げる間もなくアレンがナイフで首を裂いた。


「ドアは閉めておけよ…くっ!」

「なんだあいつは?あいつも能力者なのか?」

「わからん。だが、少なくともこれが夢ではないことは確かだな。」

「ウゥ………」


捕虜だった人物は虚空を見つめ体を揺らしていた。

肌は茶色く変色し目は虚ろで口からはヨダレを垂らしていた。


「どうする、楽にしてやるか?」

「仲間を殺すのか!?」

「こいつはもう死んでる。死んでもなお苦しむ必要はないだろ?」


消音機能がついた拳銃を頭に押し付けて引き金を引く。

捕虜は力なく倒れ込んだ。

首にかけていたペンダントを回収すると、一言アレンは謝罪を口にした。


「俺はこいつを見殺しにしてしまった…あのとき、止めずに突入していれば……」

「お前は悪くない。相手の素性がわからない以上あれが最善だったさ。」

「………そういえば、あの男他にも捕虜がいるようなことを言っていたな。」

「っ!行くぞ。」


その時、無線機に反応があった。


『聞こえるかアーリ、ノエルだ。あま、軍曹たちと合流した。捕虜も一緒だ。』

「こちらアーリ、そっちは成功したのか?」

『あぁ、回収した奴が言うには、お前たちのいる場所には捕虜は居ない、すぐに引き上げるぞ。』

「居ないってどういうことだ?だってさっき捕虜が…」

『おいザザ…なザザザ…聞こえザザザ…』

「おい…?おい!」


通信が急に不安定になり仕方なく無線機を切る。


「アーリ、ここはノエルの言うとおり一度引き上げるべきじゃないか?」

「しかし……」

「それにさっきから外が騒がしい気がするんだ。早めに離脱したほうがいい。」

「……わかった。」


その時、激しい銃声が鳴り響いた。

コンテナに向けて銃弾が叩き込まれる。

咄嗟にアレンが能力を発動して銃弾は全て弾かれる。


「バレていた!?」

「ノエル!ノエル聞こえるか!?」

「アーリ!ここにいてはジリ貧だ、一か八か飛び出すぞ!」

「くっ…!合図をくれ!」

「1、2……3!!!」


合図と主にアレンの能力は切れ、同時にコンテナの扉を開ける。

二人は飛び出すと近くにいた兵士を銃で撃ち倒し、近くのコンテナの影へ隠れる。

敵はライトを持って辺りを照らしつつ銃を撃ち続けてた。

ここから逃げるには、兵士たちがいる辺りを抜けなければならない。


「いつの間にか囲まれたんだ!?」

「ひとまずこここら脱出しないと…アレン!」


アーリはこちらへに近づく兵士を撃ち倒す。

敵兵士は徐々にこちらへ詰め寄ってきていたが、人数的に不利がある以上うかつに動けない。

打つ手なしかと思ったとき、不意に敵の銃撃が止まった。


「ん……?」

「なんだ、降伏勧告でもする気か?」

「きみ!きみだよきみ!そこの能力者!」


突如大声で呼びかけられる。

聞き覚えのある声、声の主を探すとそこにあの背の高い男が立っていた。


「まさか能力者がわざわざ出向いてくれるとは!」

「中佐、お下がりください!」

「構わん、さぁ!出てきておくれ!」

「うるさいぞサイコ野郎!誰がのこのこ出ると思っている!」

「アレン落ち着け、ただの挑発だ。」

「出てこなければ君たちはここで無駄な死を遂げるだけだ。おとなしく出てきてくれるなら手荒な真似はしない!」


明らかに嘘だ。

捕虜に対して暴行を働き、化け物にしてしまうような男が手を出さないわけがない。


「アーリ、お前は逃げるんだ。」

「何を言ってるんだ!」

「やつの狙いはおそらく俺だ。俺がおとりになればお前だけでも…」

「馬鹿野郎!あいつがホイホイと俺たちを逃がすわけがないだろ。もっと他に手があるはずだ……」

「そろそろ答えを聞こうか!」


考えれば考えるほどわからなくなる。

自分にもし能力があれば…、そんなことも考えてしまう。

その時、遠くから銃声が鳴った。

そして敵兵士の一人が倒れた。


「なんだ!?」

「スナイパーだ!」

「狙撃……ノエルか!」


続けて銃声が聞こえたかと思うとまた兵士が倒れる。

狙撃によって混乱が生じたすきにアーリたちは影から飛び出して、銃を撃ちまくる。

突然の狙撃に動揺していた兵士たちはすぐに反応できずただただ倒れていった。


「アーリ!あのクソ野郎を!!」

「無理はするなよ!」


周りの兵士が背の高い男を守りつつ逃げようとするとこをアレンが追いかけ銃を放つ。

周りの兵士は反撃するがアレンの能力によって防がれ、一方的に倒された。


「これでお前だけだ!このやろう!!」

「ふふ……」


不気味な笑いを浮かべる男に嫌な予感がしたアーリはアレンの方へ駆け出す。


「しね!!」

「しぬのは君の方だよ、能力者!」

「アレン危ない!」


アレンを突き飛ばし二人は地面に伏せる。

と、同時にアーリのヘルメットを何かがかすめた。


「チッ!」

「おい…!なんだよこいつは!」

「早く離れろアレン!!」


男の後ろに、ハルバードを持った骸の兵士が立っていた。

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