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◆異世界で闇堕ち妃になった私は処女のまま正義と戦いあの女に必ず復讐する。  作者: あおいまな
第5章「地獄から這い上がるために」
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62.サジンは、オーヤとワイクを攻撃する

 ーーーーー


 アキは新帝都を建設するために、町から追い出した人々を集めていた。


 ワイクとオーヤは情報をつかんで森に潜み、ほど近い道を連行される人々を待ち伏せる。


 そして、監視するアルマの役人を魔力で撃退し、人々を繋いでいた手錠を壊して森の中へ逃げ込ませた。


 その日は直接、働かされている都市へ行き、人々を救出するつもりでいた。


 囚われていた牢獄から開放し、森へ連れて行こうとしたそのとき、爆音とともに人々がいた場所は巨大な穴になった。


 上空に立って周囲を見張っていたオーヤは、五十メートル先に突然現れた水色の髪をショートにしたアルマの若者に気づいた。


 目を合わせてしまい、一瞬、背筋が凍ったが、光る目は使えないレベルの者だった。

 だが、男は自信に満ちあふれている。


 その男――サジンは蒼い瞳のまま(くち)の前で手首の内側をひとつにする。

 高く上げるまでもない相手だと見きっていた。


 オーヤに向け、手のひらを開き、腕を伸ばした。

 先に手のひらを開くのがサジンの癖だった。


 オーヤは、くの字に盾を作り全身を守る。


 凄まじい光とともに衝撃が襲いかかり、後方にあった都市の尖塔が折れて崩れた。


「アキさまに盾突く者はゴミ以下だ」


 吐き捨てる。


 今度は額までこぶしを上げ手首を内にして合わせる。

 手のひらを押し開き、再度オーヤを攻撃した。


 オーヤはふたたび盾を作って防いだが、切り裂かれた空気が無数のカマイタチを呼び、体が傷だらけになった。


 ここまで魔力の強い相手に反撃するための時間が取れず、防戦一方になる。


 その時、後方からサジンを攻撃する者があらわれ、背中を守っていた盾が衝撃を受け体をよろめかせた。


「オーヤ、助太刀するぞ」

 地上にいたはずのワイクが空に上がっていた。


「本当は二対一ということはしたくなかったが」

「そんなこと言ってられるか」


 オーヤが魔力をこめ、反撃する。


 それをサジンは右手で受け止める。

 盾ではなく微弱な攻撃で弾いていた。


 ワイクも左後方からサジンを狙って手のひらを開く。


 そちらも左手を同様にした。


 体の向きをふたりの中間の角度に変え、両手をゆっくり並べる。


 魔力をつなげ、スッと手を引いた。


 戦いからサジンが抜け、オーヤとワイクは互いを攻撃することになった。


 大きなダメージを受け、ふたりとも流血した。


 サジンはドーム・スプリングの外で飛翔(ひしょう)を攻撃したが、押し返され転移させられたことで(はらわた)が煮え返っていた。


 同じ手を食わないため、魔力がもつ磁力のような性質――引きあったり反発する力――を使い分ける戦い方をラセンから伝授されていた。


「まとめてとどめをさしてやる」


 頭上高くで手首を合わせ、魔力を集中させる。

 手のひらを開きながら片腕ずつオーヤとワイクに向けた。


 二本の強大な衝撃波が放たれた。


 ふたりは盾を作るが魔力が足りない。


 身を守る、くの字の盾が壊れかけた瞬間、それぞれの前に半球の結界が現れ、サジンの攻撃を受け流した。


「イシュリン」


 転移してきたイシュリンがサジンの十五メートル手前で空に立つ。

 腕を大きく開き、手の甲を見せた。


「これ以上、人々を苦しめることはやめてほしい」


 サジンは、魔力の通じない相手に歯がみする。


「アキさまは、お前ほど愚かではない……!」


 いまいましく言い残し、転移した。




 〈続く〉

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★外伝↓。飛翔と憂理がネイチュに来る前の話。
飛翔の目線。
『 後悔という名のあやまち』


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