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43.帝都の皇太子妃

 

 マンゲールから戻った三日後、私はアキとともに帝都へ入った。


 結婚式から半年が過ぎており、皇帝に拝謁(えっけん)してご機嫌をうかがい今の姿を見せる必要があった。


 ラセンを従えてはいたが、サジンは謁見できるほど身分が高くなかったため、シャビエルの宮殿に残った。


 帝都にあるアキの宮殿には私の装いを整えるための女官が十名おり、水面が見えないほどたくさんのバラが浮かぶ風呂に入らされた。


 屈辱的な自分の裸からは目をそらす。


 女官たちは気づかぬまま体をみがく。


 バラの香りのクリームをぬられ、爪や髪もきちんと整えられ、大人びたメイクをほどこされる。


 長い黒髪はこめかみからふたつに分けて編み込まれ頭の後ろでまとめられると楕円形の金のバレッタで留められた。


 水色のシルクのドレスは首元が丸く、袖は手首よりも短めで繊細なレースになっている。


 少しゆるめのラインになっており、胸の下で海色の太いベルトにしめられ、背中できつく結ばれる。


 長さはつま先まであり、手ですこしつまんで進むことになる。


 裾からのぞく先の丸いハイヒールも白いシルクの加工がほどこされている。


 異なる長さの真珠のネックレスが二本、胸を飾り、長いものについたアルマの金の紋章は私が普段身につけているものよりも大きく、その先にはしずく型のルビーがついていた。


 指には金の結婚指輪の他にも大小の宝石がついたものをはめられ、ブレスレットも同様のものを手首にとおされる。

 手元がまぶしくなった。


 そのうえで頭から極細のレース糸で編まれた白いヴェールを顔にかからぬようかぶせられる。


 ヴェールは小さな扇形にふちどられた大きな二等辺三角形で、短い(かど)を後ろに向け、両端は腕にそわせる。

 いずれもバレッタやブレスレットを隠さない長さになっている。


 最後に金の土台に何百という数のダイヤがついた、まばゆいティアラが頭にのせられた。


 鏡を見ると、自分とは思えない絵画の中から現れたような若い妃がいた。





 ‹続く›

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★外伝↓。飛翔と憂理がネイチュに来る前の話。
飛翔の目線。
『 後悔という名のあやまち』


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