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◆異世界で闇堕ち妃になった私は処女のまま正義と戦いあの女に必ず復讐する。  作者: あおいまな
第3章「マンゲールの悲しき墓守」
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35.金の指輪を外してはいけない

 

 私は男から強くベッドに押しつけられ、身動きが取れない。


「魔力が効かないのなら、ただの非力な娘だと思い知った方がいい」


 アキと飛翔の顔が浮かんだ。唇を噛み、平然と見下す男をにらみ返した。


 男の手が私の首を指でなぞり、首からかけていた紐を切って金の指輪を親指と人さし指で持つ。


「それを返しなさい!」


 声を大きくすると、男はにやついていた表情を消した。


「いいかい、お妃さま。これを外すなんてもってのほかだ」


 よく見せてから私の左手の薬指にはめて戻した。

 押さえ込んでいた腕を離したので、起き上がった。


 男は首を振る。


「お妃さま、あなたが強大な魔力を操れるのも、その指輪が魔力を増幅させているからだ。十倍は違う」


 男は木の椅子を引き寄せ背もたれを向けると、またいで座った。


「それ、アキに聞いていなかったのか」


 指輪の秘密を教えつつ返してきたこと、アキを呼びすてにする関係から、ただ者ではないとわかった。


 男がもうひとつ椅子を引いて手をのせると指で合図したので、ベッドを降りてそちらにかけた。


 男は座った椅子の向きを私に変えた。


「私はアキをよく知る人に会いに来た。あなたがそうなの?」


 たずねると、男は少し安心した様子で灰色がかった青い目を伏せた。


「さあ、どうかな」


 はぐらかされたが、私は答えを聞くまでここから動かないつもりだった。


「お妃さまが、アキのことを知りたいと思っているのなら、それを知っている人物を知っている」


「だれ?」


 男は、とても寂しげな様子で椅子の背を抱えると、うなだれて右手をこぶしにして額にあてた。


「この町の真ん中に、今は使われなくなった古い神殿がある。そこで墓守をしている女がいるから彼女に聞いてみるといい」


 私は男の言うことを信じた。





 〈続く〉


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★外伝↓。飛翔と憂理がネイチュに来る前の話。
飛翔の目線。
『 後悔という名のあやまち』


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