29.◆第2章「第二のドーム・スプリング」あらすじ・(23~28話)
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第二章「第二のドーム・スプリング」
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異世界ネイチュに落とされた憂理は、ネイチュの完全支配を企むアルマ帝国の皇太子アキと形だけの結婚をする。
ネイチュに来たことで強い魔力を得たものの、処女を失えば魔力も失われてしまうことから“処女の妃”と呼ばれた。
またアキの道具となり従わない町を魔力で破壊したことで “破壊の妃”と恐れられた。
憂理はアキの計画通り、アキ本人とその側近であるラセンおよびサジンと連携して、対立する神官イシュリンが率いるレジスタンスの拠点であるドーム・リバティーを破壊した。
だが魔力を使ってその破壊から生き残ったレジスタンスたちは第二のドーム・スプリングに逃れていた。
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オーヤは、思いを寄せる憂理をリバティーへ連れてきた飛翔を激しく責めた。
イシュリンを支持する禰宜のワイクは、アキに目を潰されていたが、それでもアキへの復讐は考えなかった。
「復讐は憎しみの連鎖になるだけだ」とオーヤを説得するが、オーヤは復讐するために袂を分かってレジスタンスから出て行く。
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それから三週間後、憂理は宮殿にあるアキの執務室のアキがラセンと“執務”を行う傍らで、子供用の教科書を使いノートにネイチュの文字を練習させられていた。
話す言葉は魔力で理解できたが、読み書きは出来ずにいた。
ノートをアキから見せるように言われ、しぶしぶ見せたものの、出来の悪さに呆れられる。
「これでよく魔方陣が書けるものだ」と皮肉を言われるが、
「魔方陣は模様だと思っている」と反論し、
「意味も分からずに書いているのか?」と問われ、
「意味なんてあるの?」と問い返してさらに呆れられる。
アキは側近のサジンに教えるよう命じる。
サジンはアキに対して揺るぎない忠誠心があり、強い魔力を自在に操れたことから、アキに長く仕える側近のラセンから推されて側近になった。
二十二歳と若く親しみやすい青年だった。
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飛翔はスプリングで人々から距離を置かれながらも耕作に励んでいた。
見かねたワイクがそれを手伝った。
そこへ七歳の娘サナを探しに父親が来た。
サナはまだ内側の結界がゆるいスプリングから外へ出たと思われた。
飛翔は魔力のない父親に代わってサナを探しにドームの外へ出る。
ちょうどその時、町の者から密告をうけたサジンがスプリングを発見していた。
それを破壊するため見つけたサナを人質にとり、捜しにきた飛翔を攻撃したが、反撃にあって転移しその場を離れる。
飛翔はアルマと戦いサナを連れ戻した勇気を評価され、ふたたびレジスタンスのメンバーとして人々に受け入れられた。
だが、裏切ったはずの憂理をアルマから取り戻す意志は変わらなかった。
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サジンはアキの宮殿へ戻り、第二のドーム・スプリングの存在とレジスタンスの興隆をアキに報告した。
憂理は破壊したはずのドームがまだ存在していた事実に落胆するが、アキはスプリングを破壊せずに利用すると告げる。
憂理は老齢の皇帝がアルマによるネイチュの完全支配を積年の願いとしており、それが叶えられた暁にはアキに皇帝の座を譲る考えでいると聞いていた。
飛翔との仲を嫉妬した愛流によって元の世界からネイチュへ落とされた際、“女としてけっして愛されないもの”を押しつけられており、元の世界へ戻って必ず愛流に復讐すると決めていた。
しかし元の世界へ戻るために必要となる輝く魔法陣は皇帝しか作れないものであり、皇帝の座を求めるアキと強い魔力をもつ憂理はそのことで“協力”しあっていた。
レジスタンスの根絶はそのための絶対条件であり、憂理は目的のためには気持ちを寄せあった飛翔の利用もいとわず、抱いていた思いごと飛翔を捨てると決めた……。
レジスタンスのリーダーである神官イシュリンを封じるアキの強い決意を聞いた憂理は、アキの側近たちと変わらぬ冷たい心で実行の時を待った。
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↑ここまでです。
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第三章「マンゲールの悲しき墓守」
……
に続きます。
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☆ルックス/目の色/髪の色
憂理/黒/黒
アキ/黒/黒
サジン/瑠璃色/薄い水色
ラセン/オレンジ色/鈍色
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飛翔/黒/黒
イシュリン/薄い青/若草色
オーヤ/黒/黒
ワイク/濃い青/金
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☆ハピエンです。
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