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◆異世界で闇堕ち妃になった私は処女のまま正義と戦いあの女に必ず復讐する。  作者: あおいまな
第2章「第二のドーム・スプリング」
27/103

27.スプリングを発見したサジンは飛翔と戦う

 


「サナ」


 飛翔(ひしょう)は子供の名前を呼んでドームの周囲を浮遊して回りながら森の中を探す。


 見つけられぬまま、徐々に離れた場所を周回した。


 三キロメートル、ドームから離れた。






 サジンはその日、シャビエルから八百キロメートルあまり離れた辺境の町を回っていた。


 町の様子を確認し、アキに伝えるべきことを調べ、伝えたいと依頼されたことを聞くためだった。


 とある町で重大な情報がもたらされた。


「最近、南西の森にレジスタンスのドームが転移してきたようです。高さが低く、横からの飛行では分かりづらいと思われますが、上空から探せば見つけられるはずです」


 ドームは破壊したはずだったが、気になった。


「わかった」


 と、(かね)の詰まった袋を渡した。


 町の外へ出てから、教えられた方角へ向かう。細かく転移して森をよく観察した。


 そして、見つけた。


 怒りがこみあげた。


 アキの計画でイシュリンをおびき出し、ドームは破壊したはずだった。


 それが嘲笑(あざわら)うかのように存在している。


 サジンは目立たずドームへ接近するために地上へ降りる。 

 森の中に立った。


 すると、場違いな女児が迷子になっており、レジスタンスの再興を確信した。


 今すぐ、このドームを破壊すべきだと考えた。


 レジスタンスの習性として、この子供を見捨てることはなく、必ず誰かが外へ探しに出ているはずだった。


 子供を人質に利用して内部から穴を開けさせる――。


 サジンの魔力はラセンに及ばなかったが、このドームは以前のものよりも小さく、破壊できるとの自負があった。


「サナ」


 名前を呼ぶ声が近づいたため、サジンは子供を捕まえ左の腕で抱えた。


「レジスタンスは人ではないが、この子供は人質になる」


 声の主に呼びかけた。


 右手をサナに向けており、少し魔力を使えば簡単に殺せた。


 飛翔は十五メートル先の林の中に立つ若い男を睨んだ。


 襟付きの白いシャツの胸元をカナリア色の薄い布で巻いており、左の胸には見覚えのあるアルマの金の紋章が光っている。


 金の紋章は(くらい)が高い。

 すなわち、特別に強力な魔力の持ち主であることを示す。


 サジンが口を開く。


「私は自分を親切だと思っている。イシュリンは許可した者しかドームの中に入れないと聞いた。お前はドームへ戻って内部から穴を開けろ。そうすれば、お前とこの子供は見逃してやる」


「そんな話におれが乗るとでも思っているのか」


 飛翔は踏み出した。


「今すぐその子を解放しろ」


「私はお前に同じことを二度は言わない」


 サジンは飛翔に向けて右の手のひらを開く。


 飛翔は「く」の字の盾を作り身を守った。


 爆音とともに地面はえぐられ木々がめちゃめちゃに折られて吹き飛んだ。


「おれも同じことは二度、言わない」


 飛翔の額から放たれた念が光の矢になる。


 サジンの盾を突き抜けるとその額を貫き、魔力を奪って十数メートル、後退させた。


 飛翔はサジンが思わず手放したサナに駆け寄ると背にしてかばった。


 サジンは何が起こったのか分からなかったが、急激に魔力が減退した。


 それでも両手で飛翔を攻撃する。


 轟音が地面も木々も木っ端微塵に砕いて、深い穴だけが残った。


 それもまた飛翔は盾で防いだ。


「私が町を破壊するレベルの魔力を受け止めるとは……」


 サジンの瑠璃色の目の瞳孔が白く光る。


「必ず殺す!」


 合わせた手首を投げるようにして手のひらを開く。

 ありったけの魔力をぶつけた。


 それを飛翔は攻撃しかえして受け止めた。

 そのまま強く押す。


 ぶつかりあった魔力がジリジリとサジンに近づく。


 サジンは攻撃を盾に変えざるを得なくなった。

 初めての事だった。


 飛翔がさらに魔力を強めると、サジンは転移した。





 〈続く〉

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★外伝↓。飛翔と憂理がネイチュに来る前の話。
飛翔の目線。
『 後悔という名のあやまち』


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