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◆異世界で闇堕ち妃になった私は処女のまま正義と戦いあの女に必ず復讐する。  作者: あおいまな
第2章「第二のドーム・スプリング」
26/103

26.飛翔は迷子を捜すためにドームの外へ出る

 


 飛翔(ひしょう)(すき)を持って神殿から一番離れた場所で土地と格闘した。


 リバティーの件で人々は冷めた目で飛翔を見ており、道ですれ違っても無視することが多かった。


 見かねてワイクが来た。


 ワイクはアキに目をつぶされたが、魔力があるためモノクロームで見ることができ、日常生活に支障はなかった。


 義眼だったが目線も動き、見た目は以前と変わらない。


「ふたりでやった方が倍の早さで耕せる」


 隣で鋤を振り上げた。


「……おれのそばにいていいのか?」


「私はイシュリンの理想とする社会の一番の体現者でなくてはならない。常に前を向くことだ」


 力強く土を掘り起こす。


「元気を出せ。まだ、憂理(ゆうり)を取り戻せないと決まった訳じゃない」


 飛翔を励ました。


「あんなことをした憂理が受け入れられるはずがない」


「イシュリンは見捨てない。見捨てないイシュリンだからこそ人々はついてくるんだ」


 何人かが、鋤を持ってこちらへ来る。


「私が呼び水になったぞ。飛翔の手伝いはしにくいが、私の手伝いならしやすい」


 皆で耕していると、男が転ぶようにして走ってくる。


 飛翔が腰を伸ばすと、リバティーにいた者が近寄らなかったはずの飛翔のところまで来た。


「娘のサナを見なかったか」


 サナは七歳の元気な女の子だ。


「こちらには来ていない」


「ドームから出たのか。まだドームの内側が強化されていない。絶対に外へ出ては行けないと強く言い聞かせたのに……!」


 サナの父親はうなだれる。


 ほかの者たちも聞いて集まってきた。


「ドームの外にはアルマがいるかもしれないから出られない。強い魔力の持ち主でなくては無理だ。それでも、アキがいたらかなわない」


 ひとりがため息をついた。


「アキに対抗できるのはイシュリンしかいない。イシュリンに頼むしかない」


 別の者がさえぎる。


「待った。今はイシュリンにドームの外へ出られては困る。神殿も未完成の状態でチカラが増幅させられず、アルマの攻撃を受けつけないドームの維持が精一杯だ。ドームの中は安全だが、もしも外にアキがいて、また直接イシュリンが攻撃されて防御に疲れたら、ドームを維持できなくなるかもしれない。これ以上、ドームを壊されたくない。あきらめるしかない」


 サナの父親は心を決める。


「自分は親だから。魔力はないが探しに行く」


 飛翔は手にしていた鋤で地面を刺した。


「おれが行く」


 ワイクが危惧する。


「外にアキがいるかもしれない」


 皆、アキに過敏になっている。


「アキがいたら、いた時だ。ワイクは来なくていい。何かあったら、イシュリンをサポートできる者がいなくなる」


「飛翔、頼む!」


 サナの父親はずっと無視してきた飛翔にしがみついた。


「大丈夫。必ず連れて戻る。子供の足だ。そんなに遠くまで行っていないはずだ」


 飛翔は笑みを見せると、そのままドームの端に行き、薄い膜を通って外へ出た。





 〈続く〉

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★外伝↓。飛翔と憂理がネイチュに来る前の話。
飛翔の目線。
『 後悔という名のあやまち』


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