第16章のデータベース
第16章に登場した、キャラクターや世界観の紹介です。
【既出登場人物】
<ファイン、クラウド>
過去に登場した章:第1~15章
<サニー>
過去に登場した章:第1~6章、第15章
<レイン>
過去に登場した章:第7~15章
<スノウ>
過去に登場した章:第9~15章
<アウラ>
過去に登場した章:第4章、第5章
<フェア>
過去に登場した章:第4章
<フロン>
過去に登場した章:第6章
<カラザ>
過去に登場した章:第2、4、6、7、11、12、14、15章
<アストラ>
過去に登場した章:第6章、第7章、第10~12章
<ミスティ>
過去に登場した章:第4~7章、第9~11章、第14~15章
<ザーム>
過去に登場した章:第5章、第7~11章、第14~15章
<セシュレス>
過去に登場した章:第9~11章、第15章
<ブリーズ>
過去に登場した章:第4章、第14章、第15章
【新規登場人物】
<アトモス> ※混血種
サニーの母であり、故人。スノウのひとつ年下なので、今も生きていたならば45歳となる。
アボハワ地方のクリマートの村生まれ、その後故郷を追われる形でクライメントシティに移り住み、そこで出会ったスノウと親友同士になった。物腰は柔らかく言葉遣いも丁寧であり、家事が得意でおしとやかな人物で、奔放な振る舞いが目立つスノウとは色々と正反対の人物であったようだ。
天人に忌み嫌われる混血種ということでひどく迫害され続けた過去があったが、それでも自分を見初めてくれた夫と幸せな新婚生活を送っていた。しかし天人らの奇襲に遭い、夫を喪った悲しみと怒りのあまり、長く耐え続けてきたこの世界の理不尽な不平等に対して立ち上がり、セシュレスと共に革命の意志を打ち立てた。自らの生きている間には革命の成就が難しいことを知り、その魂を夫の忘れ形見である一人娘を託し、今はサニーの胸の奥にて魂として彼女に力を与している。
術士としての実力は超一級、存命時には革命軍の紛うことなき最強の術士として君臨していた。その魂を得たサニーもまた、本人単体の才覚以上に、それだけの力を引き継いでいる。
<フェイル> ※天人
アトモスの夫であり、サニーの父親。故人。アトモスの3つ年上らしく、今も生きていたなら48歳。
天人でありながら、それが最も忌み嫌う混血種であるはずのアトモスを差別視せず、彼女の人格を見初めて妻に迎え入れた人物である。天人社会においては異端者とも言える人物であったが、人としては至極真っ当な価値観に殉じて動いた良識人の一人と形容することも出来るだろう。働き者で気立てもよく、アトモスとの婚姻を結ぶ前には友人も多かったようだ。
混血種と結ばれる天人などこの世にあってはならない、と過激な思想を掲げた天人らの襲撃に遭い、その凶刃によって命を落とした。死の間際も決してアトモスと結ばれたことを悔いず、妻への愛を貫き通した一途な男だった。彼の死がアトモスに現世を絶望させ、彼女を多くの命を屠る革命家へと変えてしまったことを、天国の彼がどんな顔で見下ろしているのかは神のみぞ知るところである。
<ヘイル> ※地人、というかカラザ
千年の時を生きる中、カラザが演じた人格の一つ。設定上は、享年25歳ぐらいということになっているらしい。
原種・蛇族であるカラザは、顔の皮を引き剥がすことが容易であり、精度は粗いが鮮度を長く保てる変装技術があるらしく、カラザ本来の顔とは少々異なる人物に成りすますことが可能である。そうして自分の本来の顔とは全く違う、ヘイルという名の若い農夫を演じていたようだ。
アトモスの一人娘、生まれて間もないサニーを預かり、捨て子のサニーを拾ったヘイルという人物を名乗ったカラザは、サニーが良い年になるまでその顔のまま育て上げた。時が満ち、カラザとしての行動がしたくなれば、ヘイルという男は狼の群れに襲われて死んだという筋書きを作り上げ、この世からいなくなったように演出して存在を抹消した。その後は本来の自分、カラザとして行動していたが、役者カラザの顔を見た客のうち、ヘイルのことを知る者達は、ちょっとヘイルに似てるような気が……ぐらいの印象は持っていたらしい。変化に対する可逆でもないし、そこまで優秀、完璧な顔変えではないのである。
【世界観】
<深雪の争乱>
千年前の天地大戦の中、最も歴史上で名高い戦役の一つ。圧倒的に兵力で勝る天人陣営が、雪の降る山にて地人陣営の迎撃を受け、あまりの被害の多さに撤退せざるを得なくなったという、劇的な結末を持つ。そしてこれは、ファインとクラウドとサニーの三人が、タクスの都の劇場にてカラザの舞台上での姿を初めて見た時、カラザが演じていた舞台の脚本のもとになった史実でもある。
カラザとアストラ、その二人が率いる少数精鋭の部下による乾坤一擲のこの迎撃戦は、誇るべき部下の尽力を最たる理由に、カラザの中でも最も記憶に鮮明な戦役である。現代においては役者業を営むカラザだが、天地大戦の歴史を演じる脚本の際には、積極的にこうした過去の戦役の再現を舞台上で演じているらしい。周りはカラザを、まるで千年前の戦いを本当に経験したかのような演技だと賞賛するが、それもそのはず、実際に経験したことを現代において演じているのだから、迫真の演技となるのもうなずけよう。
カラザはこうして、自分達だけがはっきりとその目に焼き付けた過去の歴史を、現代において忘れ去られぬよう形にしていくことに生き甲斐を感じている。役者の以前は歴史家、あるいはそのもっと前は考古学者と、千年間で人格を変えながら様々な人生を歩んできたカラザだが、概ねその職は歴史に携わる学問家であることが殆どなのはそのせいである。
<古き血を流す者・天竜種>
翼竜の血をその身に流すエンシェント。天界王フロンがこれに該当する。
アストラが該当した地竜族と似た部族の血であり、違いは褐色鱗のあちらに対してこちらは白銀鱗、そしてこちらは地竜族とは異なり、巨体を浮かせる強靭な筋力を持つ実用的な翼を持っている。飛翔能力を持つという大きな強みがある一方、体の強度や身体能力は地竜と比較すると少々控えめになっているようだ。もっとも、それでも他の部族と比較すれば、頭ひとつ抜けているレベルである。高い身体能力と飛翔能力、血の力を解放した時の巨体の圧巻さだけでその圧倒的な底力を物語れる、最上級の力を持つ血族の一つと言えるだろう。
フロンはアストラとは違い、原種ではなく古き血を流す者なので、人間離れした寿命をこの血筋から引いているわけではないようだ。しかしこの血筋の元祖、原種であった者達はそれなりに長寿であったらしく、その名残かフロンも年老いてなお、なかなか元気なお体をしている。竜の血はそれだけ特別で、その者にもたらす恩恵は時を経てなお大きいようだ。
※竜は天候を意のままに操る力の持ち主とされる。




