魔術辞典・上巻
第1~10章に登場した魔術の数々の一覧です。
術者ごとに纏めてあります。
<補足>
【天魔】
天人が使う魔術。水・風・雷・光属性の魔術の総称。
【地術】
地人が使う魔術。火・土・木・闇属性の魔術の総称。
【天地魔術】
火属性と風属性の魔力を合成させたものなど、天人や地人が一人では生み出せない色の魔力を、二種以上合成させて放つ魔術の総称。一部の例外を除き、天人と地人の血を等しく引く混血種にしか使用できない魔術である。
【その他】
ファインとミスティはあらかじめイメージの固まっている魔術の他に、その場の閃きと思いつきで魔術を編み出すことが多い。魔術名の末尾に★がついているものは、初公開のその時に思いついて放ったものであることを意味している。
<ファインが使用したもの>
※その場の閃き、あるいは思いつきで魔術を編み出して使うことが多いため、比較的シンプルなネーミングである傾向が強い。そのぶん、使用経験のある魔術の数も相当に多い。
【地術・火属性】爆炎砲撃★……初公開:第56話
突き出した両掌から、炎の砲撃を放つだけのシンプルなもの。砲撃の太さ、大きさは、術者ファインの体が小さく見えるほど大きなもので、威力は高い。思いつきで作ってその場で撃つファインの魔術には、ありがちな大味さであると言えそう。
【天魔・雷属性】雷迅帰航★……初公開:第56話
自分周囲の地面から、上方に向けて放たれる稲妻を無数発射する、地上から上空の敵を狙撃するための魔術。稲妻はファインによって軌道を操られているが、地上からジグザグ軌道で素早く上天に昇っていく雷撃は、狙われる側からは軌道が読みづらく、比較的回避に手を焼くものである。素早いニンバスを狙撃するために弾数重視で編み出したものであるためか、個々の稲妻の威力はそう高くない。
【地術・土属性】爆岩撃★……初公開:第56話
地表一点を突き破り、敵を下方から突き上げる大きな岩石を召喚する魔術。土属性の地術に同様の仕様のものは多いが、地表を突き破る巨大岩石の大きさゆえに、岩石発射点が爆裂し小岩石数個を上方に跳ね上げること、主要武器の巨大岩石も低空飛行する敵に届く高さまで届く大きさであることなど、同じような術と比較してかなり大味で破壊力は高い。
【天魔・光属性】逃れ無き天網……初公開:第57話
魔術を戦闘手段の軸とするファインが、主要武器として使う魔術の一つ。掌のそばに生じさせた光球から、あらゆる方向に熱光線を撒き散らし、着弾対象を貫き焼く攻撃技。滑空しながら光線を撒き散らすため、彼女の移動に伴って長い光線もたなびき、その光の筋の無数ぶりから空いっぱいが光に満ちる、見た目にも派手な魔術である。一対多の状況でも空いっぱいを自分の砲撃でいっぱいにしてしまえるため、空にて苦境に置かれた彼女が用いる切り札の一つに数えられる。
【天地魔術・火風属性】風魔爆炎……初公開:第57話
向こう見ずなファインがかなりの頻度で使う魔術。集めた魔力を爆心地に、炎と爆風を伴う大爆発を起こすだけのシンプルなものであり、強い火力と風力で戦場に大きな影響力をもたらす魔術である。ただ、爆発点をあまり自分から離した場所にすると威力が落ちるらしく、ファインはこれを専ら自分のすぐそばで発動させ、接近する敵への急襲的カウンターに使ったり、自ら敵に近付いて自爆気味に使ったりと、いちいち使い方が危なっかしい。自分にも降りかかる熱や風は、ちゃんと防御用の魔力を展開して防いでいるようだが、共闘するクラウド辺りから見ると、発動させられるたびにひやひやしなきゃいけない類の魔術。
【天魔・水属性】立水渦★……初公開:第77話
逆円錐型に立つ水の竜巻を発生させる魔術。大きさや規模、発生数もある程度自在であり、敵が多い戦場でいくつもの立ち渦を発生させれば、かなり相手の動きを広く制限することが出来る。第5章にて思いつきで使ってみたところ、思った以上に便利だったらしく、多数の敵に追い回された第8章でも多用していた模様。
【地術・火属性】地走る熱線★……初公開:第91話
掌から放つ火の魔力をその先で割り、Y字型の火の魔力を大きく形にしたのち、二又の先端部分を繋ぐ炎の魔力の熱線で繋ぐ。あとはY字型の魔力を振るうことで、例えるなら弓の弦で殴るかのように、敵を焼き切る太く長い熱線で殴りつけにいく攻撃を実現させる魔術である。攻撃範囲が広いのはいいが、見合わぬ程度に魔力の消費も激しく、筋を読まれると敵にも回避されやすい非効率さは、思いつき編み出し魔術によくあること。
【地術・土火属性】螺旋熱砂★……初公開:第94話
突き出した両掌から前方に、熱を伴い渦巻く超大量の砂を放つ魔術。敵に直撃させれば、重みと熱で相当なダメージを与えられるものではあるものの、それよりは敵の反撃魔術に迎撃貫通されづらい熱砂の重みが売りで、敵に回避を強いる形で手痛いカウンターをくらうリスクを薄く出来ることが強みである。思いつきで作った割には、攻防一体のバランスが非常に取れたものだった模様。
【天魔・雷属性】雷陣閃★……初公開:第94話
術者の周囲に光球を発生させ、そこから放たれる稲妻で攻撃する魔術。攻撃範囲も広く、戦場広範囲を席巻する稲妻は敵の動きを制限しやすく、敵が飛び道具を弾数任せに放ってくるならそれらの撃墜にも便利で、相手を選ばず使いやすい類の魔術である。ただし稲妻個々の威力は低めであり、上述のとおりの牽制や防御を主な目的として使われるのが最適であると思われる。
【天魔・風属性】一捻りの旋風★……初公開:第94話
大気を掴む術者の握り拳に合わせ、風の塊を風呂敷のように振り回す魔術。非常に広範囲の大気の流れを一振りに操ることが出来るため、自らに迫る多数の飛び道具を、その風の重みで一気に撃ち落とすことが出来る。攻撃的ではないものの、強襲的な術士を相手にする時、敵の魔術を叩き落としたり投げ返したりするには便利な魔術である。
【天地魔術・火土水属性】沸騰地★……初公開:第115話
魔力を放って指定した地表広範囲を瞬時に加熱し、仕込んだ水の魔力を沸騰上記に変え、地表から火傷するほどの熱蒸気を発生させる魔術。要するに熱蒸気で敵を瞬時蒸し焼きにする攻撃手段を叶えるものであり、全身を甲冑に包んだアストラを相手取ったファインが、これが一番有効だろうと見て編み出した魔術である。そんなことをしなくても普通に炎で焼いた方が普通の人間相手には有効で、相手がアストラのような特殊武装の敵でなければ声がかかりにくい魔術の一つである。ただ、攻撃範囲が広い上に発動のタイミングが悟られにくいため、意外と他の魔術に比べて差別化の出来る性能は持ち合わせている。
【地術・土属性】地霊群の逆侵★……初公開:第139話
地表を走らせた魔力により、広範囲に、地表を勢いよく突き破って突き出す岩石を呼び出す魔術。割とよくある土属性魔術の特徴だが、この術は発生させた岩石の槍が、枝分かれしたり曲がったりしたいびつな形で戦場にそのまま残る点が特徴的。平面戦場で身のこなしが限られるクラウドに、掴んだり蹴ったりするオブジェクトを提供することで動きやすくさせることを主目的に編み出された術だからである。
【天魔・風属性】鳥墜しの翼★……初公開:第141話
振り下ろした術者の掌の動きに合わせ、敵を上から押し潰すような強い風が発生し、空を飛ぶ敵を力任せに下降させる魔術。それ一発で敵を地上まで叩き落とすことは難しいため、それによって滑空軌道を乱した敵から逃れたり、障害物に衝突させることを促したり、追撃によって完全に撃墜することに繋げていくなどして、効果を活かす必要がある。
【天魔・水属性】氷晶機雷弾★……初公開:第142話
トゲだらけの大きな氷の塊を拡散発射し、術者から離れた場所でそれらを炸裂させる攻撃技。はじけ飛んだ氷塊は多方向に尖った氷を飛散させるため、非常に危険なトゲ爆弾を撒き散らす魔術、とも言い表せそうだ。散らすトゲの軌道を自在に操れないため、考えなしに使うと近くにいる味方に流れ弾を浴びせる可能性が高いため、一人で多数の敵を相手取った場合などでないと使えない術でもある。
【地術・木属性】召樹立★……初公開:第142話
森の中でファインが使った術で、木の幹や枝から小さくも太いミニチュアの木を発生させる魔術。森の中で滑空して逃げ惑うファインを追う敵の前に、突如の障害物をこうして発生させることで、空の追っ手を撃墜するために編み出した術である。用途が極めて限られる魔術であるため、普段は日の目を見づらい魔術の一つ。
【地術・土属性】岩石殻……初公開:第144話
自身の周囲を卵の殻のように岩石の壁で包み、あらゆる方向からの攻撃をはじき返す、ファインの防御策としては最後の手段に近いもの。防御が済めばその殻をはじけさせ、飛ばした岩石弾丸で敵を攻撃することも出来る。守備力も高く、反撃力もあるという便利さではあるが、自分の周りを岩石で一度包むため、僅かな時間ながらも完全に周囲を見渡す視界が奪われ、目まぐるしい戦場においてそれは致命傷につながりやすい。あらゆる方向からの敵の集中砲火、それにどう対処すればいいのかすぐにはわからない、そういうシチュエーションでない限り、ファインはあまりこの魔術を使いたがらない。
【天魔・風属性】風爆……初公開:第147話
大爆発を起こす魔術。とは言っても、岩石片や炎などの物理的な実弾を伴わない爆風を起こすためのものであり、これ単体に攻撃力は殆どない。突発的に発生させる凄まじい爆風により、空において敵の飛翔を乱したり、自身の滑空軌道を無理矢理ひん曲げたりするなど、空中戦のサブウェポンとして扱うことが多い。
【天魔・光属性】双拡散熱光線……初公開:第154話
前述の逃れ無き天網の上位魔術とも言えるもの。先述のものが一つの光球から熱線を放つものであるのに対し、こちらは両手のそば二つの光球から熱線を放つ。ひとつの光球から放たれる熱線の数は先のものと遜色なく、単純計算で二倍数の熱線を撒き散らす形で、空を地上をレーザーの網目でいっぱいにする大技である。威力、攻撃範囲、高い精密操作性に伴う小回りの利きようなど、あらゆる観点から他の魔術とは一線を画したバランスの良さであり、ファインの切り札のひとつ。
【天地魔術・風土属性】石星の小宇宙★……初公開:第176話
空中の混戦において高い影響力をもたらす魔術。自身周囲に荒ぶる風の乱気流を発生させ、さらにその風域に発生させた岩石を風に乗せて操り、その岩石を攻撃武器として扱ったり盾代わりにする魔術。強風で敵の飛翔を乱すとともに、攻防ともに有力な岩石というツールを扱うため、空中戦における影響力は非常に大きい。
【天魔・風属性】螺旋風刃……使用:第177話
母スノウの魔術を見て模倣したもの。詳しくはスノウが使用した魔術の項目を参照。それなりに高位の魔術にあたるものであるはずなのだが、思いつきで魔術を作って叶えてしまうことが多いファインというのは、そもそも叶えたい魔術を作るにあたってのイメージ力が高く、見せてもらえた魔術ならば、ゼロから作るよりも模倣する方がしやすいという点もある。比較的この魔術が、シンプルな構造であったのも追い風である。
【天魔・光属性】重熱線……初公開:第177話
術者ファインの体が小さく霞むほどの巨大熱光線を発射する魔術。火の砲撃を放つよりも熱では劣るが、光の光線砲撃は火の砲撃よりも速度があり、素早い敵を捉えるにあたってはこちらの方が適している。ニンバスとの初戦において、爆炎砲撃による砲撃が容易に回避されたことなどから学び、二戦目ではファインもこうした攻撃手段に切り替えたようだ。
【天魔・雷属性】奮い騒ぐ雷精……使用:第178話
母スノウの魔術を模倣したもの。詳しくはスノウが使用した魔術の項目を参照。厳密にはスノウと同じことをしたわけではなく、スノウが生み出した雷雲のコントロールを横取り気味に奪い取り、ニンバスの虚を突く大稲妻を発射した。
<サニーが使用したもの>
※基本的に格闘能力を活かして戦うサニーであるため、魔術の使用頻度は極めて低い。彼女が好んで使うのは、体捌きの速度を増すための風の魔術と、防御や反動の緩和に用いる水の魔術である。
【天魔・光属性】拡散熱光線……初公開:第57話
突き出した掌から前方放射状に熱光線を放つ魔術。サニーにしては珍しい飛び道具だが、これによって空中戦でニンバスの動きを制限し、そこにファインが追撃の魔術を叩き込むコンビネーションの形で、一度目のニンバスとの戦いを凌いだ。恐らく一人で戦う彼女をして、日の目を見ることはほぼ無い魔術である。
<スノウが使用したもの>
※術の名に酒に関わる単語が含まれている傾向が強い。
【天魔・風属性】螺旋風刃……初公開:第176話
触れたものを切断する風の刃を自らの周囲に纏い、敵に突撃する形で攻撃する魔術。風の刃の切断力は高く、仮にそんな自分に剣を振り下ろされても、男勝りのパワーで弾き返せるほどの力も併せ持っているため、この魔術を展開している時は、術者が苦手とする接近戦でも武器による反撃を受けるリスクもかなり低くなる。ちなみにファインに模倣されたこの魔術であったが、ファインはスノウほど密な風の刃を厚く纏うことが出来なかったらしく、ニンバスに突撃して怯ませられはしたものの、剣先を届かせられる怪我を負った。
【天魔・風属性】微塵空斬……初公開:第176話
風の刃を無数に飛ばすだけの魔術。極めてシンプルで味気のない響きであるものの、他の術者が使う同様の魔術とは弾数も速度も大きく違い、何人もの敵に回避の難しい速度で風の刃を迫らせ、ざくざく一網打尽にしてしまえる攻撃力を持つ。能力の高い術者が使えば、単純なだけのはずの攻撃も恐るべきものになるという好例と言えるかもしれない。
※テキーラの語源には"切られたものが沢山ある所"という意味がある。
【天魔・雷属性】対抗雷撃……初公開:第176話
生み出した多数の雷撃球を操り、それをぶつける魔術。高位の術士が扱う、操作性に富んだ弾を無数に扱う魔術の一種としてスノウが扱うもの。雷撃球は敵にぶつけてもそれなりの攻撃力を持つが、それ以上に敵の魔術の迎撃に使うことが多く、そもそもにしてスノウがこの魔術を編み出したのは、近代天地大戦においてアトモスやセシュレスのような、並外れた術士の魔術への迎撃手段として。術の性質に対して術の名が攻撃的な響きでなく、反撃的な命名のされかたをしているのはそのせいである。
※シューが意味する所は雲、ブランデーの語源には"焼かれた"という意味がある。
【天魔・雷属性】大発雷……初公開:第177話
自身の座標を爆破点とし、四方八方に稲妻を激しく放つ魔術。稲妻の威力と隙間無き密度の前方発射に重きをおいた魔術であり、自身に迫る敵への強烈なカウンターにも、魔術に対する迎撃手段にも使える。敵との距離が詰まるなら、これ自体が強力な攻撃手段にもなるため、本来近接戦闘を苦手とするはずの術士にとっては、接近戦を仕掛けられた際に対する強い保険の一つにもなる。
【天魔・雷属性】奮い騒ぐ雷精……初公開:第178話
上天に巨大な雷雲を発生させ、そこから巨大な落雷を発射させる魔術。遥か上天に見上げても巨大な雷雲の絶大なサイズが物語るとおり、その雷雲の落雷発射可能範囲は広く、かつそれが撃つ稲妻の破壊力も極めて高い。例えるならば天候そのものを味方につけるようなものであり、スノウを除いた全ての天人の中でも、これほどの大魔術を行使できる者は極めて一握りである。
※ラムバリオン≒ラム。意味は興奮・騒動。
<モブの皆様方が使用したもの>
※高威力のものばかりだが、敵が強すぎるせいであしらわれやすく、高い威力がいまいちわかりにくい。
【天魔・水属性】高波の集束破……初公開:第174話
一人の術者が行使する魔術ではなく、多数の術士が集まって叶える連携魔術の一種。術者集団の前方に噴き出す膨大な水の壁を前倒しに押し出して、前方の敵を纏めて圧する津波へと変えていく魔術である。膨大な水が生み出す圧力は凄まじいものであり、敵が無抵抗だと仮定すると百の敵を一掃することも可能な威力を持つ。高威力であればあるほど、破壊範囲の制御が利かなくなるタイプの術なので、自陣側の市街戦などでは使えないのが欠点と言えるかもしれない。
【天魔・雷属性】避雷人……初公開:第180話
敵単体を対象にした魔術であり、対象とした敵の周囲に雷の魔力を多数発生させ、それらから対象へと稲妻の集中砲火を浴びせる。敵が動かない仮定なら、各稲妻の着弾タイミングは全てほぼ同時で、その相乗雷撃の破壊力は凄まじいものとなり、どんな相手でも一発で真っ黒焦げにする威力を持つ。術の性質上、これの狙いに定められた側は回避も難しく、一対一においてはかなり強力な術であると言える。
<マラキアが使用したもの>
※術者マラキアの名は"無風"の意味を持つのに、彼の得意とする魔術は風属性のものばかりという矛盾。
【天魔・水属性】氷結弾丸……初公開:第10話
氷の弾丸を飛ばす魔術。天人の戦闘魔術士ならば誰でも使えるような基本魔術だが、氷の塊というものは質量がそれなりにあるもので、それを弾丸速度でぶつけられた側が負うダメージは馬鹿にならないものである。水属性の攻撃魔術は、天人術士にとって高い物理的威力を生じさせるに適した属性であると、未熟な天人の術士にもわかりやすく教えてくれる初歩魔術である。
【天魔・風属性】乱突風……初公開:第15話
地に足着けて立っていたサニーを吹っ飛ばすほどの突風を起こす魔術。天井のある屋敷内からバトルフィールドを屋敷外に移すために使われたが、強風を生み出す魔術は敵の魔術を押し返す対抗策にもなるし、近接戦闘を得意としない術士にすれば、敵を退け距離を稼げるだけでも大きな意味を持つ。総じて使い勝手は良い。
【天魔・風属性】風月斬……初公開:第16話
触れたものを切り裂く、風の刃を扱う魔術の中では接近戦向きのもの。三日月型の大きな風の刃を握り締め、それを振るう形で敵を斬る。いわば切れ味鋭い三日月刀を手元に召喚する魔術とも呼べるものであり、天人の術士と戦うに際してはこうした術も想定しておかねば危険、という教訓も、天人と戦う陣営には広く浸透している。
【天魔・風属性】真空刃……初公開:第16話
風の刃を飛ばす基本魔術。岩石などの硬いものを切断するには及ばないものの、術者次第ではそれに傷をつける威力は出すことが出来、人の体ならばざっくりと切ることが出来る切れ味を概ね持つ。飛来速度もそれなりに速く、風の刃を扱う魔術は殺傷能力が高い、ということの引き合いに出されやすい初歩魔術である。
【天魔・風属性】断空閃刃……初公開:第16話
上記の真空刃よりも数倍大きな、三日月型の真空の刃を放つ魔術。サイズに見合って重さも増しているのか、石造りの壁なども砕くほどの威力を持っており、狙った相手を捉えやすい大きさも併せて、風属性の攻撃魔術の中では中級に位置する魔術である。流れ弾が狙った対象以外を傷つける可能性もより高く、市街戦でこれを使う術者っていうのは、殺意のあまりに少々周りを顧みなさ過ぎと形容されやすい。
<オラージュが使用したもの>
※術の名がはっきりしているものが少ない。火を撒き散らしたり、鞭に火を纏わせたりと、術の名を唱えずにスムーズな魔術行使を叶えるタイプの術士であるがゆえ。
【地術・火属性】野生火……初公開:第52話
戦場域のあらゆるところから火柱を発生させ、その各点から溢れる火を撒き散らして地面に滞在させ、フィールドを高低自在の火の壁に満たす魔術。爆裂させた時の火柱そのものが持つ攻撃力もさることながら、戦場に滞在したままになる炎が敵を困らせるものであり、そうして戦況を自陣営に有利な形へと繋げていくことが最大の目的として使われる。少数の敵ならば火の壁で孤立させる、というのが最もわかりやすい用途だろうか。反面、火の手を広げることはそれ自体が戦場の様相を大きく変えるため、味方の多い合戦場で考えなしに使うのは難しい魔術である。
<ヴィントが使用したもの>
※術をメインに戦う闘士なので使える術は他にも多いのだが、術の名が公開されたものはこれだけ。
【地術・土属性】岩壁召……初公開:第78話
岩石の壁を生成する土属性魔術の初歩的な魔術。それで敵の攻撃を防いだり、味方を守ったり、あるいは数を出せば敵の動きを制限する小規模な迷宮様相も呈せたりと、術者の使い方次第で非常に用途の広くなる術である。土属性の魔術を使える戦闘魔術士なら、誰でも一度は使ったことのあるであろう術であり、土属性の魔術はその柔軟性と高度と重みによって、多岐に渡る用途を生み出しやすいというのを物語るような術である。
<ニンバスが使用したもの>
※術士としても優秀であるニンバスだが、本領を発揮するのは剣術を駆使した接近戦であるため、披露する術の数はあまり多くない。
【天魔・水属性】氷河弾……初公開:第52話
上記のマラキアの魔術、氷結弾丸の大型版と言えるような術で、人間大以上の氷の塊を生成して発射する魔術。当然その重みと速度が生み出す破壊力は凄まじく、対象に直撃させられた時に与えられるダメージは、初歩魔術の比ではない。大味ではあるが、威力が保証された一撃を放てるのが最大の強みである。
【天魔・雷属性】三叉雷……初公開:第56話
術者座標から三筋の稲妻を放つ魔術。発射方向は融通の利くものだが、術者ニンバスが使う際は、敵の真上を取った際に、真下に放つ軌道が専らである。真上からの攻撃には見上げる側からして対処がしづらい方であり、基本的に単調なこの攻撃を敵に当てるには、そうした隙を突かねば甘いとニンバスも知っているからだ。
【天魔・風属性】行列風斬……初公開:第57話
極小の風の刃を無数に連ね、同一方向に大量放射する魔術。直撃させられるなら、一秒間に数百の風の刃によって敵をずたずたにし、ろくに形も残らない細切れにさせることが出来る、風の刃の波状攻撃を叶える魔術である。一列に纏めた風刃の一点集中の砲撃であり、人間を相手にした際の殺傷能力は極めて高い、いわば決まれば一撃必殺の奥義であると言える。
【天魔・光属性】光の護法……初公開:第57話
光の魔力を身に纏い、敵の魔術が我が身を破壊する魔力を防ぐ。光の魔力を纏うなら、同色の光の魔力と、対抗色の闇の魔力に抗う効果が見込める。乱射されるファインの光属性の攻撃魔術を、とうとう回避できなくなったニンバスが、最後の防御手段として封を切った魔術である。
【天魔・雷属性】黒い捕食者……初公開:第176話
ニンバスの切り札。稲妻を放つ黒雲を不特定多数生み出し、それらを操作しそこから稲妻を放つことが出来る。例えるなら、稲妻を放つ黒雲という小兵を自分の力で生み出して、自分の意のまま操って敵を追い詰めたり、集中砲火を浴びせることが出来るようになる魔術である。あるいは術者が空中戦に赴く中でも、黒雲の放つ稲妻で地上の友軍に支援する砲撃を叶えたりと、増えた手で戦場全体に多大な影響をもたらすことが可能。傭兵団を率いるニンバスの、統制力と視野の広さが存分に発揮される魔術であり、多数の黒雲を自分の意思ひとつだけで操らなくてはいけない大変さも克服されているため、ひとたび発動すれば無から生じた黒雲という雷撃砲兵が、敵陣営を長々と苦しめる魔術と形容して間違いないだろう。
<ザームが使用したもの>
※ニンバスと同じく、白兵戦を得意とするタイプであるため、術の数は少なめ。
【地術・土火属性】火岩の噴弾……初公開:第91話
赤々と燃える灼熱岩石の弾丸を放つ魔力。触れただけで大火傷するような熱を抱く弾丸が、ぶつかれば人の骨を折る岩石の威力を以って迫る攻撃であり、直撃すればもちろん致命傷必至、かすっただけでも大怪我に繋がる危険な魔術である。火と土の魔力が生み出す、熱と重さが生み出す破壊力のいいとこどりで合成された魔術であり、複数属性の魔力を併せて使う魔術として非常に出来がいい。
【地術・土属性】地表波……初公開:第91話
地表に伝えた魔力を中心に、放射状に広がる魔力で、地表を波紋のように波打たせる魔力。地震のように継続した振動ではないものの、地表の上下の触れ幅が非常に大きいため、何もせずにつっ立っていると、立っていた場所がいきなり大きく沈み、直後跳ね上げられて体を浮かせられる形になる。こうして敵を地上から浮き足立たせ、そこを仕留めるという使い方が専らである。
【地術・土属性】土石流波……初公開:第171話
術者の前方に多量の土と岩石を突然に発生させ、幅広の土石流を放つ魔術。攻撃範囲が広いため、真正面からいきなりこれを放たれると回避も難しく、攻撃用の魔術として完結されてもいるのだが、それ以上に土と岩石の津波による壁を作り、敵が放った魔術を防ぐ盾にするという用途も大きい。接近戦で敵を討ち取る戦法を得意とするザームは、そもそも敵が術士であって遠隔攻撃を放ってきた時の対抗策としてこれを編み出したのであり、主には攻撃用としてではなく、防御・反撃用の魔術として使われる。
<ネブラが使用したもの>
※毒針という飛び道具を持っている上に接近戦も得意であるため、使用する術の数はやはり少なめ。ただしファインの使った魔術を見て覚えて模倣したりと、魔力の扱いは器用な方である模様。
【天魔・風属性】鳥墜しの翼……使用:第143話
ファインが見せた魔術を見て真似したもの。詳細は上記の、ファインが使用した魔術の中から参照。そもそもにして、下向きの風を発生させるだけの術なので模倣はそう難しくないのだが、真似てすぐ相手をしっかり捉える器用さの方が、術者の能力高さを語れる要素と言えそうだ。
【天魔・雷属性】雷陣走破……初公開:第153話
ジグザグ軌道の稲妻を放ち、地表広くを抉りながら走る遠隔攻撃を放つ魔術。毒針を飛び道具として扱えるネブラは、魔術による直線的な攻撃を必要としないが、これは地表広くを引っかくように攻撃できる魔術であるため、毒針攻撃とは狙いが差別化されている。投げた毒針は手が離れて以降、軌道を操れないため、機敏に動く敵を牽制したり、とりあえず何らか一発当てて状況を動かしたい時などにはこちらが有力。
<カラザが使用したもの>
※役者やってた割には術の名付け方には凝りが少ない。ただ、本人の中でいくらかの拘りはあるようで、ある法則性に従ってそれぞれの術が名付けられている。
【地術・火属性】赤呑……初公開:第112話
特大の火炎砲撃を放つだけのシンプルな魔術。とはいえ術者カラザの魔力で放たれたその威力は極めて強く、馬車と馬をまるまる呑み込む砲撃の大きさと、炎で包んだものをあっという間に炭に変える、炎以上の凄まじい熱を持つ。ただ火を放つだけの単純魔術も、術者の腕次第でとんでもない破壊力を持つという好例。
【地術・火属性】炎牙……初公開:第112話
望んだ座標上に火の玉を大量発生させ、それを操り敵を焼く魔術。火の玉は術者の意のままに操れるため、それで敵を包囲したり集中砲火したりと、その時の状況によって攻め方を選ぶことが出来る。対象に着弾した火の玉は大きく燃え上がり、それらが一つの対象に連続直撃した際には、重燃焼によって凄まじい一つの炎となって対象を焼き尽くす結果に繋がる。
【地術・土属性】土噛……初公開:第112話
対象の足元の地表をひび割れさせ、巨大な二枚岩盤をばちんと閉じるような形で敵を圧殺する魔力。土の重みと魔力によって岩石相当まで高められた硬度が生み出す、二枚の岩盤による挟撃は壮絶な破壊力を伴うものであり、仮に無抵抗でこれを受けるなら、どんな人間でも全身の骨を砕かれてしまうだろう。
【地術・木属性】緑喰……初公開:第112話
ウツボカズラを思わせるような大きな頭を持つ巨大植物を召喚し、それでばっくり敵を呑み込もうとする魔術。術の名が公開されたのは第112話だが、その前にもこの術で、クライメントシティのファインを捕え、地中に引きずり込んで攫うことに成功している。この植物に飲み込まれると全身を圧迫され、分泌される樹液によって顔も沈められて呼吸も出来なくなり、抵抗さえ許されず窒息させられてしまうことになる。
【地術・木属性】樹咬……初公開:第112話
茨が絡み合ったような壁を作り出す魔術。接近する敵の目の前に、触れれば大怪我する障害物を設置するなどして迎撃したり、あるいはその存在による牽制で敵の接近を阻むための魔術である。術者カラザは基本的に、接近戦より魔術による戦いを好むので、敵の動きを制限するこうした魔術は多数押さえてあるようだ。
【地術・土属性】褐食……初公開:第112話
指定した地面広範囲に、落とし穴のように底抜けする大きな穴を作り出す魔術。敵の足元にこれを放ち、大穴の底に落とし込んで、さらには続けざまに穴を埋める土砂をかぶせて生き埋めにするところまでで攻撃が完成する。勘のいい敵には見抜かれて、跳躍回避などもされやすい魔術だが、いずれにせよ敵を嵌めるか、回避を強いるかをほぼ確実に叶えられるため、それによって自由に動けなくなった敵を追撃するのが、カラザの得意戦法の一つである。
【地術・木属性】花盛りの春……初公開:第113話
カラザの大魔術の一つ。広範囲地表を、自らの魔力で生じた植物いっぱいで満たす。突然に発生した花畑の様相は見た目に美しいが、カラザが操る植物は、種を弾丸速度で放ったり、敵を貫くトゲや枝を生やす木であったり、敵を捕まえて振り乱す蔦であったりと、極めて攻撃性の高いものでいっぱいである。それらによって攻防ともに叶えてしまうため、一度この魔術で戦場を自らの植物でいっぱいにすれば、それらを操っているだけで術者は座ったままでも戦えてしまう。発動させた時点でバトルフィールド全体を、自軍の駒だらけの陣地に変えてしまえる大技であり、他のあらゆる魔術と比較しても制圧力に秀でた魔術であると言えよう。
<アストラが使用したもの>
※超接近戦型であるため、その自身のテリトリーに敵を引き入れるために行使する魔術を主に習得している。
【地術・闇属性】掌握世界……初公開:第115話
主に引力を司る闇の魔力で、離れた位置にいる敵を自分の位置まで引き寄せる魔術。術者アストラは接近戦に絶対の自信を持っている一方、空の敵や遠距離に立つ敵には白兵戦を挑みづらいので、この魔術を発動させて強制的に接近戦へと持ち込んでいく段階を踏むことも多い。そのテリトリーに敵を引き込みさえすれば、あとは術者の圧倒的な実力で容赦なく屠るのみであり、それが叶えられる実力者が扱えば恐ろしい魔術である。
<セシュレスが使用したもの>
※拷問手段や処刑器具、悪魔の名前や屍など、死を連想させる字が術の名に含まれる傾向がある。
【地術・火属性】火炙りの大樹……初公開:第179話
術者を中心とし、術者だけを焼かない巨大径の火柱を発生させる魔術。まさしく炎で構成された大樹のような様相を呈する大火力を瞬時に叶え、周囲の敵を纏めて焼き払うことが出来る。積極的に敵陣地の真ん中に舞い降りることが出来たなら、この術ひとつ発動させるだけで、ぽっかりと敵陣に穴を開けることが出来る。
【地術・土属性】万力棺桶……初公開:第180話
指定した地表をひび割れさせ、巨大な二枚岩盤で敵を挟み撃ちにする魔術。上記カラザの使用した魔術の中の、土噛と内容は同じである。ただしセシュレスの場合、この魔術で敵を葬るのみならず、下記の髑髏砲台へと繋げていくのが殆ど。
【地術・土属性】髑髏砲台……初公開:第180話
上記の万力棺桶の二枚岩盤で敵を挟み潰した後に続く魔術。岩盤を崩して土に変え、それによって敵の体をさらに握り潰し、仕舞いにはそれを弾丸代わりにして、土の中から発射して他の敵を狙撃する。殺した敵の肉体さえ、武器に変えて使うセシュレスの残忍さがよく表れた術であり、威力や効果以上に、敵をぞっとさせる効果が非常に高い。
【地術・闇属性】暴食王の黒球……初公開:第180話
強い魔力引力を持つ黒い球体を発生させ、敵の魔術をそこに引き寄せる魔術。術者であるセシュレスをあらゆる方向から狙撃しようとした術も、これに引き寄せられる形で軌道を曲げられるため、本来仕留めたかった相手であるセシュレスに傷をつけられなくなる。要するに魔術攻撃に対する対抗策であり、術士が相手ならこれ一つで、あらゆる魔術に対応することが出来る。
※メランストマを直訳したニュアンスは"黒い口"
【地術・闇属性】闇の吸滅……初公開:第180話
セシュレスを除くあらゆる術士が、その存在を知っても習得したがらない、極めて残酷な魔術。闇の魔力で敵を捕え、魂を抜き取って命を奪うにのみならず、奪取した魂を自らの所有物とする。そしてこれによって天人の魂を奪い取ったなら、その天人が使えた天の魔術も使えるようになり、地人が天人の魔術を扱うという現象を引き起こすことも可能となる。一見すると途方も無く便利で有力な魔術のように感じられるかもしれないが、それが引き起こす哀しい弊害は、術者の精神を壊すことさえあるほどに壮絶である。
【天魔・雷属性】避雷人……使用:第180話
天人の有力な術士の魂を奪い取ったセシュレスが、その術士の得意としていた魔術をそっくりそのまま行使した。術の詳細は上記。地人であるセシュレスが、天人の魔術であるこれを使用できるようになったことは、ただでさえ地術のエキスパートであるセシュレスが、天魔という武器まで得たということであり、彼と敵対する天人陣営にとっては悪夢のような出来事だろう。
<ミスティが使用したもの>
※彼女特有の魔術の名に、演劇や見世物、舞台装置めいた単語が絡むことが多いのは、役者を装っていた主カラザの影響によるもの。また、霊や葬や墓などと、死を連想させる字を含む術が散見するのは、尊敬するセシュレスに影響されてのものであり、同時に天人に対する彼女の殺意の表れでもある。
【地術・火属性】寂しがりやの悪霊……初公開:第84話
ミスティの得意技にして使用頻度が高く、非常に危険な魔術。人魂のような蒼い炎を無数召喚し、それらを放って操って、敵を攻め込む魔術である。特筆すべきは、対象に着弾した瞬間に爆発し、破壊を伴うと同時に炎を撒き散らす火の玉一つ一つの攻撃力もそうだが、何よりも次々に火の玉を生成するスピードが早く、一度ミスティがこの魔術を使い始めると、あっという間に戦場が蒼い炎でいっぱいになる。容赦のない術者の性格と、高威力の魔術が噛み合って、歯止めの利かない地獄を生み出す形というのが、相乗効果でこの術の危険性を高めている。
※術の名を直訳したニュアンスは"強欲に魂を誘拐する者"
【地術・火属性】移り気な葬火★……初公開:第84話
クライメントシティにて、多数の天人兵を相手に主導権を握ったミスティが遊びで作った魔術。頭上に生じさせた巨大な火球を破裂させ、火球をばら撒くだけのもの。散る火球の軌道はミスティも操っておらず、不幸な人は当たって死亡、幸運な人は当たらずに生き残る、という運試しを天人兵達に強いた。実力の迫る相手との戦闘では全く実用的ではなく、本当に天人の命を弄ぶ遊び目的で編み出された魔術である。
【地術・火属性】火炎幕★……初公開:第92話
空中に薄い炎の壁、あるいは幕を作り、飛翔する敵の滑空軌道を阻む魔術。当時のミスティは自分自身が混血種であることを隠すため、風の魔力で空を飛ぶことをしなかったため、地上から空のファインの動きを制限するために思いつきでこの魔術を使っていた。意外に便利だったため、今後も使う機会はあるかもぐらいにミスティ本人も認識しているが、彼女があらかじめ備えてある大技らと比べれば所詮は思いつきの軽手である。
【地術・闇属性】命綱切★……初公開:第92話
前述のとおり、飛翔能力なしで地上から空のファインを攻めていたミスティによる、闇の魔力の引力で空の敵を引きずり落とす魔術。指定した範囲の領空を凄まじい重力に満たし、そこに侵入した空の相手をがくんと地上向きに引っ張ることが出来る。戦い方を制限された状況下、思いつきで作った魔術かつ、ミスティに言わせれば簡単な魔術であったため、名前のつけ方が他の魔術と比べても適当。
【地術・闇属性】大食いピエロ……初公開:第92話
他者の魔力を吸収して食う、闇の魔力の凝縮体を生み出す魔術。本来の使い方は先述の、セシュレスが使用した魔術のひとつ、暴食王の黒球と同様であり、発生させた黒球に敵の魔力を引き寄せ、魔術による狙撃の軌道をひん曲げて身を守るための魔術である。ただしファインに使用した際は、彼女の体内に闇の魔力を仕込むことで、ファインが練り出す魔力をそのそばから吸収するはたらきをさせ、ファインに一切の魔術を使用させない形に持っていった。黒球が食える魔力の量には限界があり、続けざまに多量の魔力を吸収させられると黒球も飽和して消えるらしく、ファインはその力技で封印されてた魔術の使用権を取り戻した。
【地術・火属性】泥む生霊……初公開:第94話
無数の火球を生成し、それを単体の敵に迫らせる魔術。上記の寂しがりやの悪霊との違いは、あちらは自由自在に操る蒼い火の玉で柔軟な戦い方をする魔術であり、こちらは狙い定めた対象を、火球が追い迫る形で集中攻撃することに違いがある。基本的に寂しがりやの悪霊の方が柔軟性に秀でるが、一対一の戦いにおいてはこちらの方が、捕捉した敵を火球が自動で追ってくれるので使い勝手がいい。
【地術・土属性】墓への陥穽★……初公開:第94話
多量の土砂を突然発生させ、それを前方に放つ土砂津波で攻撃する魔術。津波形状の攻撃を放つ魔術の例に漏れず、広い攻撃範囲を叶えるとともに、壁めいた高さと幅を持つ土砂により、敵の反撃を封じつつの攻撃を叶えられるところに強みがある。用途は広いが所詮は地上戦限定の中技であり、思いつきで一度使って以来、この魔術を再び使うイメージをミスティは持っていない。
【天魔・光属性】遺作照らせし華光……初公開:第179話
突き出した掌から、凄まじい径と速度で空を駆ける光の熱線を放つ魔術。遠目から見ても一際目立つほどの巨大光線は、それが抱く熱も凄まじく、光の中に飲み込んだ対象をあっという間に灰にする威力を持っている。発射し続けたまま砲台である掌を振り抜けば、巨大な光柱が振り回されるように豪快な絵図となり、敵陣営を薙ぎ払うように焼き尽くす様相を叶えられる。そうした側面も全て含めて、ファインが使用した魔術の一つ、重熱線と極めて似たものである。
※スワンソング=生前最後の作品
【地術・土属性】地表の喝采★……初公開:第179話
指定した地表広範囲を爆裂させ、その上に立っていた相手を上空へと吹っ飛ばす魔術。跳ね上げられた者達に、砕けた地盤の欠片が突き刺さるなどして攻撃力が発生することもあるが、何より地に足着けて戦っていた者達が浮かせられ、何も出来なくなる時間が発生することに大きな意味がある。そうして空中で身動きの取れなくなった敵を、味方の空中兵が仕留めたり、自身の魔術で狙撃したりすることで、攻撃が完結する。
【天魔・雷属性】雷精の行進……初公開:第179話
高威力の稲妻を多数発生させる魔術。特筆すべきは地を砕き、人をあっという間に丸焼きにし、着弾地点から火を撒き散らして火災を生む、稲妻ひとつひとつの高い破壊力と、それを大量発生させる勢いの強さ。飛び込んだ敵陣の中でこれを発動させることが出来れば、一気に多数の敵を撃破すると同時、戦場の形さえ大きく書き換えてしまうことが可能。稲妻を多量召喚するだけの魔術、と言えば単純だが、それら個々の威力と数が壮大になれば、そんな魔術でも強い制圧力を持つということである。
【地術・土属性】千両役者の登壇★……初公開:第180話
足の裏に集めた魔力を着地の瞬間に発動させ、その一点を爆心地に大爆発を起こす魔術。敵が密集する陣地内に飛び込む際、着地に伴う隙を解消するための魔術であり、発動させた瞬間の術者に迫る者達や飛び道具をこれで撃退することが出来る。その大爆発によって跳ね上げられた敵を、魔術の狙撃によって仕留めることに繋げていけるので、迂闊な相手に対しては致命的なカウンターともなり得る。
【天魔・風属性】招かれざる客の追放……初公開:第180話
容赦ない殺意を振り撒くミスティの魔術の中でも、特に豪快かつ乱暴な魔術。巨大な竜巻を生み出して地上を駆けさせ、空の風域内の敵の飛翔を阻害するだけでなく、竜巻根元の地上をも旋風でめちゃくちゃにしていく魔術である。敵味方問わずどころか、戦う力を持たない民間人やその住居までもを吹っ飛ばす竜巻は、普通の神経ならばたとえ敵陣地内であろうが、町の中で放つようなものではない。天人なんぞ何人死のうが知ったこっちゃないという、術者ミスティの破壊的な思想がよく表れた、極めて残忍で危険な魔術の一つである。
※術の名が意味するニュアンスは"浮かれた酔っ払いを追い出す"




