第9章のデータベース
第9章に登場した、キャラクターや世界観の紹介です。
【既出登場人物】
<ファイン、クラウド>
過去に登場した章:第1~8章
<レイン>
過去に登場した章:第7章、第8章
<オラージュ、フルトゥナ>
過去に登場した章:第3章
<ザーム>
過去に登場した章:第5章、第7章、第8章
【新規登場人物】
<スノウ> ※天人
ファインの母親。高貴と清楚を思わせる、純白のベールやスカートとベール、若草色の服が未だに似合う若々しさと体つきである。これで46歳っていう事実を初めて聞いた人は大概びっくりする。
お淑やかそうな風貌とは裏腹、その実かなり開放的な性格をしており、普段は酒と夜遊びに明け暮れて毎日を過ごしている。夜更かしと夕過ぎ起床を繰り返すだらしない生活だが、こう見えて十数年前の近代天地大戦において、革命軍の指導者であった魔女アトモスを単身撃破した、天人屈指の実力者でもある。その戦果によって天人社会を守り通した実績を讃え、聖女の名で呼ばれるようになったが、彼女はかつてアトモスの親友であったらしく、聖女と呼ばれ始めた一方で生活は荒れる一方。いかにも破滅的な方向へと進むばかりで、彼女を慕う周囲も心配している。
<セシュレス> ※地人
天人支配を終わらせることを目論む"アトモスの遺志"の最高指導者。黒の紳士服と紫のコートを身に纏い、禿頭とその周りの白髪に黒のシルクハットを乗せた老人である。68歳。
アトモスが存命であった時代は革命軍の参謀を務めていた男であり、今なおその知略を以って革命軍を導いている。天人勢より兵力では劣る革命軍が、未だに天人陣営を苦しめる組織として活動継続、隠遁生活に成功しているのは、ひとえに彼の計略によるものが大きい。その頭脳は革命を成功させる道筋のみならず、天人支配を終わらせた後の社会の有りようにまで視野を広げており、老いてなお真の意味での世界変革を現実的に叶えようとする、世界有数の策謀家だと言えよう。また、立ち位置の都合で矢面に立つことは昔から少ないものの、戦闘能力もアトモスに比肩するほどのものだと言われている。
<ドラウト> ※地人
"アトモスの遺志"の幹部格であり、セシュレスの側近を務める唯一の男。事実上、組織の中ではナンバー2に当たる人物である。目元と額しか見えない、茶色の髪と髭で顔いっぱいをもじゃもじゃに埋め尽くした老兵で、年のほどは54歳である。
体も大きく、戦闘時には大きな鎧と巨大な戦斧を振り回すパワーファイターであり、かつての革命戦争では猛威を振るって天人達を苦しめた猛者として有名。近年では、最高指導者となったセシュレスのそばを離れることが減ったため、戦場に立つことも少なくなったが、未だにその名は天人の武人達の間でも色褪せず、語り継がれているらしい。一方で軍師としての立ち位置も兼ねており、エンシェントの一人であるレインを自陣営に引き入れる姦計を考案したのも彼である。身内には心優しい大男と認識される人格者だが、一方で目的達成のためなら手段を選ばぬ冷徹さも併せ持つ人物である。
<アスファ> ※天人
ホウライ王国生まれの少年。目つきも黒髪もつんつん尖っており、同世代にはちょっと怖がられがちな気質を纏っている。ファイン達と同じ16歳。
愛国心の強い少年であり、幼少の頃から剣の道を進んできたらしく、若くしてホウライ城に仕える兵の一人として認められ、既に実戦にも何度か赴いている。あまり表情の変わらない冷静沈着な常時も相まって、少々とげのきつい少年だと見られがちだが、祖国を守るための剣の道を貫いてきただけあって根は真っ直ぐ。先述の風格から少し近寄り難い人だと思われがちだが、それでも彼を慕う者や友人が多いのは、不器用ながらも気がよく付き、親しい誰かには常に優しい彼の心根が周知されているからである。天人ゆえに差別的な思想を植えつけられて育てられた部分もあるが、それでもファインやクラウドをきっかけ一つで見直したりと、明確に人格者側の人物であろう。
<ラフィカ> ※天人
ホウライ王国生まれの少女。カチューシャで揃えられた亜麻色の髪が綺麗な、ホウライ城に仕えるメイドの一人である。こちらもファイン達と同じ16歳。
血筋に対して差別意識を持たないスノウを強く敬う人物の一人だけあって、天人にしては実に平等な観点から人を見る、超少数派の良識人。初めて会ったばかりの混血児ファインに対しても、何ら偏見なく接する所から始まり、少々の時間を経てあっさり友人同士になった社交的な面も目立つ。幼馴染のアスファにも忌憚なくものを言い、たじろがせるほど勝気な性格でもあり、一方で戦場に赴くことの多いアスファを常に心配していたりと、優しさと芯の強さを持ち合わせた人物である。わかりやすい器量の良さと、それゆえに少し前のめりになる珠の瑕がちらつく程度の、多くの人に愛される女の子である。
【世界観】
<ホウライ地方>
天人の楽園と呼ばれる、地人や混血児の立ち入りを禁じる地。わかりやすく"天人だけが過ごす地"であり、ここでは天人だけが異の血筋を持つ者との関わりを断って暮らしている。今でこそファイン達はこの地に暮らしているが、これはホウライ地方の長い歴史の中でも相当に稀有なことである。
天人の楽園を謳うだけあって、余程のことがなければ動じない武力を構え、その地に住まう者達に、絶対の安心感をもたしている。十数年前の近代天地大戦においても、終戦まで都に傷一つつけなかった戦線防衛力を持ち、その秀でた国防能力はやや証明されている。ただし、それはアトモスの率いる軍勢がホウライ地方に踏み込む前に終戦を迎えたためであり、早期決戦を促した武力の一部を担ったホウライの力ありしと見るか、順が違えばその歴史は無かったと見るか、見解を割るべき部分でもある。永く栄えた歴史に基づき、強い自信を己が国に持つ地ではあるが、少々過信とも思える姿勢であるのを、聖女スノウは常に気がかりにしている。
<古き血を流す者・蛙種>
蛙の血をその身に流すエンシェント。レインはこの部族である。
脚力が普通の人間とは違う、というのが最大の特徴だが、その特化具合は他のどんなエンシェントよりも如実で極端。普段は女の子なりの柔らかくて華奢な脚のレインだが、ひとたび力を入れれば岩をも砕く蹴りを放ち、飛翔能力と見紛うほどの跳躍を見せ、反動にも痺れない強靭な筋肉を張り絞らせることが出来る。なお、それに伴い、高所からの着地に耐え得るだけの腰や骨格が強く形成されていたりと、脚を使う中で想定される周囲の筋肉も、目立たぬながら他者より強化されているようだ。あとは汗が少々ぬるぬるするだとか、雨や水で体が塗らすことを無性に心地よく感じるだとか(蛙種の人達は他の人以上にかなりのお風呂好き)、ちょっと変わった特性がいくつか垣間見られる程度である。
※カエルが鳴くと雨。
 




