Télépathie
走り続けた“Arbre”
光を探して、歩いて歩いて
暗闇の夜もひたすら走った
雨に凍えてもひたすら走った
心のメッキの様なものが剥がれ
…疲れ果て、何が何やら
人間の本能か…?
生まれ故郷を探して…
なんとなく…走って
ん…? ここどこだよ…
軽く考えてすぎた…
すっとぼけたように
ゲームのように生きようか
えっと、まずは……
うつ向きながら
雑音に書き消された
伝えたかった想いは…?
手にしたタバコに火を…
えっ…あれ? タバコ?
16歳で…?
…………
第一、走ってたら日本に来たなんて話すら誰も信じやしない。
“狼少年”と綴った、とっくのとうにどうでもいいメモを投げ捨てた。
一心という旧友に、渡したい意志はメモに残っていた。
『Madhatterより』
Summary、要約
(はぁ…ご丁寧にどうも)
安心にも似たため息。
“(1)一つの心を大切にしなきゃいけない。”
“(2)すぐ近くにある幸せすら、築かなきゃ心を見失ってしまうよ”
無意識に首をかしげ、
再び目を通す
“P=合わせ鏡?”
“(3)辛い人間は、
『心』はさ迷ってる。
周りに気付かなければ、始まりである『一』を見失う…
辛くても、それでも幸せな彼の心を見ればわかる”
疲れたよ…眠ってしまおう……
〈…まだ早いだろう…〉
また違う詩人の声が叩き起こす
A『あぁ…そっか…
この感覚…愛とか……』
メモの続き
“11.1,age...2011.11.11”
とりあえず1だらけではあった。
A『2011…?』
わからないが、
眠りに似た感覚…
?『なにやってんの?』
A『悪い、ちょっと疲れてて…』
?『まぁ、あんま気にすんな
思い出してみろよ
今まで俺らと居た時間を』
……
疲れてカラカラでも
固まった表情で
涙が止まらなかった……
A『一心……?』
(一心は同じ年で…俺は…)
一心『目に見えるものだけがすべてじゃないよ』
“俺”は赴くままに答えた
『一心、すぐそばにある幸せな心を見失ったら、辛いだけになっちゃう、大事なのは“心”』
トレースした様な受け売りの言葉にも、一心はうなずいた。
一心『ゆっくり寝ろよ』
お互い名前なんて関係なくとも、通じた気持ちを感じられた。
雨になり、涙混じりに
ずぶ濡れて歩いても、
ここまでこれた“現実”
それがある。
その歓喜と隣合わせの代償
言葉にならないもの、まだまだ知るためにも強く生きないといけない。
名前を紐解く記録をどこまで知ってるか知らない“自分”
生きてる限り、
繰り返し繰り返し
戻ってしまう…。
矛盾してる光と闇
夢か元気を探してるのかは誰も知らない。
まとわりつく厄介なもの。
記憶、思い出、過去…。
一心の言葉は確かに理解した、メモは休憩を挟み…
一心の置いていった食料…
ゴチャマゼな記憶…
パンを選ぶ少女をどっちでもいいと思ってた気持ち…
(ありがとう…?ごめん…?)
〈どっちでもいいや…〉
(交差する様な気持ち…)
(こういう気持ちか…)
一心の残したメモには
『以心伝心?Télépathie?
どっちでもいい!』
ただ微笑んで言葉にした。
『うざってぇ』
一心は花の種を残して行ったみたいだ…