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被告人らの遺伝子凍結仮処分申請

  被告人らの遺伝子凍結仮処分申請


 被告人らの遺伝子凍結とはどういうことですか。ここは刑事法廷ですよ。ならば、民事法廷も開廷していただきたい。訴えの利益はなんですか。人類に仇なす輩を容易に判別できる、もって隔離ないしは撲滅に資する。なるほど、一理はあるようなので裁判官全員で民事法廷を前向きで検討する、検察官は話を元に戻してください。

 この検察官長島重雄は一般人から選ばれた日本の若者だ。法曹界の人間にはできない発想行動がある。裁判官の訴訟指揮も彼には通じない。この裁判の目的はですねえ、被告人らの罪を裁くだけでいいのですか。獄門さらし首にしたとて被害者の無念が晴れのるでしょうか。最低でも被告人らの全資産を凍結してですね、賠償させる、本当はこっちのほうが大切ですね。

 刑もですね、絞首刑とか銃殺とかありきたりのものでは面白くありません。懲役刑にして働かせる、派手な囚人服で町中で働かせるのです。死ぬまで、永遠に被告人らには希望はないと思わせることがいいですねえ。

 ご高説はよくわかりましたから検察官は本論に入ってください。あなた分かったあ、資産凍結と終身刑、頭にしっかりとですね、入れておいて下さいよ。えっ本論、何を喋るんだったかな。法廷が爆笑に。休廷となる。


 刑事事件で被告人の有罪を立証する責任は検察側にある。疑わしきは被告人の有利に判断するのが原則である。限りなく黒に近いグレーであっても罰することができない。そこがこの事件の特徴である。情況証拠を積み上げても限度がある。やはり自白がいるな、と坂本は思った。

 闇の権力者たちは立件起訴されることはないと踏んできたのだ。この起訴は人類史上最初であるが、最後にしたいものである。それには闇の権力者たちの特定が必要だ。被告人らが全員であるとの確証はない。これも被告人の自白に頼るしか無い。

 江戸時代の拷問を用いるのは坂本の主義に反する。田中、大平が自白に追い込むべく証拠収集に尽力してくれているが、ゴルゴ13の手荒な手法を期待するしかないか、と溜息をつく。最後の切り札は偵察監視用に新たに開発された謎の飛行物体であろう。

 


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