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難民キャンプ建設、増設


  難民キャンプ建設、増設


 シャラザードから難民キャンプの窮状を訴えてきた。わかった、薬品、食料、水を手配しよう。お金の方は。なに現物のほうが手っ取り早い、建物、構築物などは少し時間が掛かるが。どうするの。内緒、観てのお楽しみだ。


 世界各地の NGOからの要望を取りまとめる中央 NGOは米政府からの救援物資提供に驚いた。必要とするだけ供給されて来るのだ。しかも必要とする基点場所まで運んでくれる。そこから現地政府が指定場所まで届けてくれる。反政府軍もこの輸送には手を出さない。なんですかね、どうなったのでしょうか。わからない、まあいいじゃないか。横持ですね。だな。おかげでインフラ整備が進んでいるよ。


 シャラザード難民キャンプは都市機能を備えたものが新設されてゆく。既存キャンプの増設、改修も急ピッチで進む。難民の中から難民キャンプの基本概念、詳細について意見を聴く。難民は喋ることさえ忘れていた。意見を述べるなどはなかった。


 CGを駆使して基礎工事から完成までを大型モニター、小型モニターで見せる。そこはキャンプの中心に建てられた3万人を収容する集会所だ。周辺の集会所にもモニターが設置されている。

 

 シャラザードのメッセージが流される。このキャンプはみなさんが懐かしい生まれ故郷に帰る日までの仮の宿です。その日までともに頑張ってゆきましょう。誰が皆さんをこのような目にあわせたかを考えてください。このキャンプが他の目的に使われる日が来ることを祈りましょう。


 キャンプへの関連するものには謎の飛行物体の目が光っていた。これに向けられた兵器には政府軍反政府軍を問わず容赦なく熱線が照射される。その兵器を使用する者は重症を負うものも少なくなかった。その映像は両軍に送られる。それは多額の賠償請求であった。力こそ正義なれ。


 広大なキャンプには緑が増えてきた。牛、山羊、鶏が草を喰む。その糞は絶好の肥料となる。家畜を増やしつつ、いかに平等に分配するかを難民たちに問う。自然に決まりが生まれ守られる。これぞ自治である。キャンプが整備されるに連れ、テント生活から一戸建に移ってゆく。社会の基本は家族だ。


 莫大なキャンプ建設の費用の多くが米政府から拠出される。つまり闇の権力者たちのポケットマネー。何故素直に応じるのか。理由は簡単である。取引、老朽米紙幣回収への攻撃を中止の代償がその拠出である。しかし救援物資、キャンプ建設費は際限なく要求してくる。忌々しいと出し渋り遅配を始めるとすかさずムチが飛んでくる。

 老朽紙幣を回収しても新札が増刷されない理由、米ドル原盤のその後、落札価格予想、米ドルが世界通貨でなくなる日といった記事ブログが掲載されるのだ。


 連邦準備制度理事会はついに新刷紙幣を公表する。新たに印刷された紙幣は果たして本物でありましょうやと揶揄する記事が掲載される。テレビ番組が新刷紙幣の番組を組んだ。米ドルの威信をかけて関係者もゲスト出演。デザインは変わっていませんね。勿論です、変える必要もありません。では本物と考えていいですね。そのために我々は出演しています。


 皆さん、お手元のドル紙幣をよーく観てください。右が新刷紙幣、左が従来のものです。見た目には同じものに見えますが専門家に鑑定していただきましょう。まったく変わりありません、用紙とインクが新しいだけですね。これで安心して使うことができますか。米国政府が保障します。この広告宣伝が功を奏したのか、新刷紙幣は流通してゆく。だがそれは永くはつづかなかった。


 新刷紙幣に変な文字が現れるとの問い合わせ、書き込みが増えだしたのだ。そして急増した。調査を進めるうちにImitation という蛍光文字が浮かび上がることが判明する。暗いところほど鮮明に浮かんでくる。


 印刷工程を徹底的に調査したが蛍光文字は用紙の内部にかかれていることしか判明されなかった。こんなことができるのは奴しかいない。新刷紙幣の流通量は数兆枚になる。仮に犯人が逮捕され処罰されても何の意味がある。

 『偽物が本物か、本物が偽物か』と米ドルを冷かすメディア、トィッター、ブログ。連邦準備制度已む無く印刷工程上のミス、ジョークと苦しい弁明せざる得なかった。


 当分トモカサの言いなりになるしかないな、それが闇の権力者の結論であった。しかしトモカサの攻撃は津波のように第2波、第3波と押し寄せてくるのであった。それは防ぎ用のない、災害であった。攻撃に強い者が防御に回ると脆いものである。


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