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偶然なんて大嫌いだ

どうも、今井遊里です。

一作目終わってないのに、二作目作ちゃっいました。

一作目と両立して頑張っていきますので、読んでくれたら嬉しいです。

どの作品とも被っていません様に、祈るばかりです。


  ー愚かだった。よりにもよってこんな事に巻き込まれるなんて。

あぁ、後悔先に立たずとはこの事だ。畜生・・・ー

 鉄の柱の影に隠れ、背中越しにチラチラと状況を伺う。

その状況と言うのは人と異形の者の戦闘。

ごつごつと隆起した分厚い筋肉で次々と人間を飛ばしていく怪物。

人間達はと言うと銃器を使っての遠距離攻撃。

その攻撃であちらこちらで、血は出ているがどれも致命傷とは程遠い。

「がぁぁぁぁぁぁ!!」

怪物が唸り、腕を振り回すたび、聞こえてくる銃声が少なくなっていく。

しかし、人間達も怯えず果敢に挑んで行く。

今の状況では怪物が有利。

何せ人間達が持っている火器では怪物の皮膚を破るのが精一杯。

「退くな!もう直ぐで援軍が来る。それまでこの化け物を外に出してはならない!!」

隊長と思しき者が声を大にして叫ぶ。

外・・・ここは倉庫の中。どうして、この修羅場に武器を持たぬ少年が

いるのかと言うと今から、少し前の事


  ☆★☆★☆★☆


 下校途中の事だった。

後ろから息を荒げた、中年のサラリーマンがぶつかって来たのだ。

ぶつかられた少年。燈野蒼(とうのそら)は不良ではないが、すみませんも言わないサラリーマンを、流石に不愉快だと思い声を掛けた。

「おい、人にぶつかっておいて、すみませんもなしかよ」

肩を掴み引き止めると、血走った目で睨め付けられる。

その目に呆然としていると、サラリーマンは掴まれていた肩を震わせ、蒼の手を振りほどいて逃げる。

「お、おい、その目!」

蒼の関心はぶつかった事よりも、血走った目を心配することに移行していた。

「大丈夫かよ、あの目。自殺しそうな雰囲気だったけど・・・」

蒼は自分の言った一言にはっとして、サラリーマンの走り去った方向を

見る。

 ーまさか、本気で死ぬつもりじゃねぇだろうなー

唐突な考えだが、あのただならぬ雰囲気は何かありそうだと、

人ごみの中だったが蒼はお構いなしに走り出した。


  ☆★☆★☆★☆


 急いで追いかけると、五mほど先に、先ほど見た後姿が確認できた。

蒼は声を掛けても逃げるだけだと思い、距離を保ちつつ後を付けていった。サラリーマンは怯えた様に、肩を竦め周囲を(うかが)っていた。

突如ビクッと震えたかと思うと、細い路地に走りこんだ。

 ー気づかれたか?ー

止められなかったらどううしようと言う不安が蒼を駆り立てた。

運動能力をフル稼働させ追いかけた。

細い路地のため、色々なものに蹴躓きながらも追いかけていくと、周りを

フェンスに囲まれた、倉庫に辿り着いた。

サラリーマンが中に入っていく。

自分も入ろうとフェンスに触れたら、手に鋭い痛みが走った。

「っつ!」

すぐに手を放して鉄線を見ると、フェンスの網全体が有刺鉄線と言うかなり乱暴な作りになっていた。

入口は何処だと左右を見ると、右側のフェンスの下に、大人一人分は入れるであろう穴が開いていた。

蒼自身の体は細い部類に入るので、すんなりと抜けられた。

なんとしてでも自殺を止めようと、蒼は全力で倉庫に向かう。


  ☆★☆★☆★☆


相手を刺激せぬように、静かに忍び込んだ。

柱の影に隠れながら、ゆっくりと近づいていく。

その肝心なサラリーマンはと言うと、ぶつぶつ言いながらチョークで何か書いている。

勘違いだったら恥ずかしいので、しばらく物陰に隠れながら様子を見ていると、なにやら叫びだした。

「はぁ、はぁ、お、終わった。終わったぞ!これで、これで変われるんだ!」

手に持っていたチョークを握りつぶすと、中心に移動して鞄の中を探る。

そして、取り出したのは黒光りするナイフ。

これはまずいと止めに入ろうとしたら、倉庫の扉が勢い良く開く。

「動くな!!」

突入してきたのはS.W.A.Tさながらの部隊。各々の腕には、サブマシンガンや、アサルトライフル。全員着用している、黒いヘルメットに黒い防弾服。

そしてサラリーマンは見事に命令を無視して、自分の胸に黒いナイフを突き刺した。

「ごぼぉ!が、かっ。は、ははははっ!!」

一度大量の血を吐き出したかと思うと、高笑いし始めた。

「殺せ!」

その一言で、一斉に銃口が火を噴いた。

けたたましい音が倉庫中に木霊す。

自分の体に幾つもの、穴が開こうが笑い続ける男。

普通なら自分の胸にナイフを突き刺した時点でお陀仏のはずなのだが、

未だに笑い続けている。

突入してきた者の一人が後頭部に弾を撃ち込んだ。

それには流石の男も目を見開いて動かなくなった。

ただ奇妙な事に口元には笑みを湛えたまま、前のめりに倒れた。

銃声が止むと、二人の男が倒れたサラリーマンに近づいていく。

足で、ゴミでも蹴るように扱うと手を上げた。

恐らくクリアの合図。

しかし、そのクリアはあっけなく崩される。

近づいていた二人の男が別々の壁に衝突していたのだ。

轟音と共に倒れていた、サラリーマンが立ち上がる。

その顔は白目を剥いていおり、口元は笑みだった。

「ひゃぁぁぁぁぁ!!」

既に人間の声とは呼べない音を発し、全身にひびが入った。

空気が震え始める。巨大な力の前に恐怖してるかのように。

がりがりと内側を引っ掻くような音がすると、サラリーマンの頭から

豪腕と呼べる腕が飛び出してきたのだ。

突入してきた連中も呆気に取られ、銃口を向けてはいるものの引き金を引いていない。

遂に殻を脱ぎ捨てたと言うのが正しいのだろうか、よく分からないが。

その全貌を明らかにしたのだ。


  ☆★☆★☆★☆


 一薙ぎで飛んでいく人間達。

焦っている蒼は思った。

ー援軍とやらはまだ来ないのか?ー

柱の影に隠れやり過ごしていたが、不安とは別の、罪悪感が彼を襲っていた。

自分が止めていればと、間違っていたら恥ずかしいからと戸惑っていた自分が嫌になってきたのだ。

何も出来ず、ただ悲鳴を聞いてただけ、の自分が。

間接的にだがこの人たちは自分の事も守ってくれてるようなものなのだ。それなのに、見ているだけだなんて。悔しいにも程があると。

「力をのぞむかい?」

突然降ってくるように聞こえた声。

「あぁ、望むよ」

「だったら・・・―」

はい!第一話ここで終わりです。

長くなりすぎちゃいました。すみません。二話も出来上がり次第、上げていきます。

まったく進んでいませんが、二話では飛躍的に話を進めようと思います。

誰でもいいから、お楽しみに!!

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