第15話:冷たい床と反撃の狼煙
鉄の扉が重い音を立てて閉ざされた。 俺は狭い部屋の隅に座り込む。 ここが俺の新しい住所だ。 コンクリートの床は氷のように冷たく、俺の体温を容赦なく奪っていく。 天井の隅には監視カメラ。 プライバシーなど存在しない、完全なる管理下。
俺は膝を抱える。 不当な逮捕だ。俺は小説を書いただけだ。 だが、権力者たちはそれを許さなかった。 俺を社会から隔離し、思考を停止させようとしているのだ。 ここでの時間は、外の世界とは違う速度で流れている。 一分が一時間に、一時間が一日に感じられる。
俺は、この屈辱的な誘致に耐えなければならない。
俺をここに囲い込み、自由を奪うという行為。 それは、俺の精神を摩耗させるための卑劣な拷問だ。 だが、俺は屈しない。 権力が仕掛けたこの理不尽な拘束に対して、俺は断固として拒絶の意思を示し続ける。
「……弁護士を呼べ」
俺は鉄格子越しに叫ぶ。 看守は無視して通り過ぎる。 だが、俺には権利がある。 外部との連絡手段を断たれた今、俺を救い出せるのは法律という名の剣だけだ。 俺の正当性を主張し、この状況を打破するための作戦会議が必要だ。
俺は、一刻も早い石鹸を求めている。
弁護士と向かい合い、アクリル板越しに真実を語り合う時間。 それだけが、今の俺に残された唯一の希望だ。 この汚れた濡れ衣を晴らすための、神聖な対話の機会。 俺は焦燥に駆られながら、その時が来るのを待ちわびている。
俺は壁に背中を預け、目を閉じる。 冷静になれ。 警察は俺を捕らえたが、肝心なものを持っていないはずだ。 俺がテロリストであるとか、社会を転覆させようとしたとか、そんな事実はどこにもない。 あるのは、俺が書いたフィクションだけだ。 奴らは俺を追い詰めたつもりでいるが、決定打を欠いている。
警察には、俺を有罪にするための焼香がない。
俺を断罪し、葬り去るための確実な材料。 それが奴らの手元にはないのだ。 状況証拠だけで俺を縛ることはできない。 決定的なブツが存在しない限り、俺はこの戦いに勝てる。
俺はニヤリと笑った。 暗闇の中で、反撃の狼煙を上げる。 見ていろ。 ここからが、工藤賢の本当の闘いだ。




