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人生が輝くたったひとつの方法  作者: 無銘、影虎
1 君が愛を語れ
30/31

030 失恋3

 スマホの着信音が鳴る。

 ディスプレイには春日光と表示されている。

 15年ぶりに再会した幼馴染み。こうやってグイグイくるのは中学の頃から変わっていない。

 でもいまはその明るく弾むような声が聞きたくなかった。眩しくて目を開けていられそうにない。

 一度、着信音が途絶えたが、1分後にはまた鳴り始める。

 連絡先を交換したあと、基本チャットでやり取りしていたが、しばらく返信しないでいたら、電話がかかってきた。ちょうど、頭がモヤモヤしはじめた頃だったので、心ここに在らずの返事をして、忙しいからと切った。

 電話がくるのはそれ以来だが、今日はしつこい。

 仕方なく応答する。

「はい」

「……あ、よかった」

 彼女は開口一番言った。いつもの快活さがない、しみじみといった感じだ。

「なにが?」

「なにがって、このあいだ電話でものすごく落ち込んでたじゃない。あれから気になって気になって仕方がなかったんだから」

「もしかして、お母さん?」

「冗談言えるのね」

「まあね」

「ねぇ、なにがあったの?」

 春日は誰とでも仲良くなれる。誰にでも気さくに話しかけられる。そのぶん、時には触れられたくないところに踏み込んでくる。だから、彼女のことは好きだったし、苦手でもあった。

「いろいろ、かな」

 中学の時ほどは狼狽えない。適当に返事するくらいはできるようになった。

「大丈夫なの……?」

 静かなトーン。こういう音色を彼女の口から聞くのははじめてかもしれなかった。

「なんでそんなに心配してくれるのかな」

「ねえ、それ。中学の時にも言ったけど、どんな関係でも気になったら気になるし、心配に思ったら心配になるんだよ。心配していい人の条件は長谷川くんが勝手に決めてるの」

 思い出した。

 たしかにそんなやりとりがあった。どんなシチュエーションだったかは忘れたが、春日はたしか「長谷川くんは自分に関心をもっていい人に条件をつけている」と言われた。「特別な関係でないと、まるで資格がないとでも言ってるみたい」と。はじめ、よくわからなかった。しばらく考えたものの、言い返せなかった。家に帰ってから何度も反芻してみて、ようやくわかった。要するに人の好意が怖いんだ。

 あの頃の自分には客観性という文字が欠けていた。なんでも自分を軸に考えていた。人を思いやることがなにひとつできていなかった。それなのに自分を守ひとに敏感だ。それを指摘されたあの日は眠れなかった。


 自信がない、だから心に余裕がない。周りが見えなくなる。


 のちになって分かったのはそういうスパイラルに落ちることがあるということだ。

 高校生活はうってかわって「うまく」やれるようになった。思いやりは自分に返ってくる。一度歯車が回り始めると、なにもかもうまくいった。すると、少し前までの自分のように落ちている人が気になって仕方なくなって、声をかける。思えば春日のような振る舞いだった。いまにして思えば彼女は自分の人生を変えてくれた人だったのかもしれない。忘れてたけど。ぜんぜん思い出さなかったけど。

「君には感謝している」

「な、なによ急に!」

「いや、思い出してたんだよ。中学の頃のこと」

「だから急だって! それから小学校の学童も一緒だったんだから」

「そっちは思い出せない」

「どゆこと? 一輪車とかで遊んだじゃん」

「俺、一輪車怖くて乗れなかった記憶しかない」

「それそれ、私がむりやり乗せようとしたら泣いちゃったじゃん」

「いやな思い出かよ。いや、思い出したよ、お前だったのか。いや、思い出させんなよ」

「あはははは。やっとかー。私ずっと覚えてたのにひどいなー」

「ヒロインが幼馴染だったのを忘れているのはパターンらしいぞ」

「なにそれ?」

「雨宮先生が言ってた。ラブコメのパターン」

「ああ」

「そんな都合よく記憶喪失なやついるかと思ってたけど」

「まさか自分だったとはね。ふっふっふ」

「まさかね」

「私ってヒロインなんだ?」

「このパターンでいくとな」

「ふーん。どうしよっかなー」

「どうしようもなくていい。俺には好きな人がいるんだ」

「えっ?」

「いるんだ」

「そうなんだ。でも、その言い方だと片思いになりますけど」

「そうなりますね」

「まさか、道ならぬ恋ってやつ?」

「うーん、そうなるのかな」

「そっか。まあ、私たちも、大人だしね。余計なお世話かもしれないけど、あまり無茶しないでね」

 なにか勘違いされたような気もするが、説明するのも恥ずかしいのでやめておいた。

 よく考えたら、もじもじした片思いをこじらせる20代後半というのはレアなのか。どうなんだろう。たしかに中高生みたいなだけど。

「でも、話してくれてよかった。本当に心配したんだから。なんていうか、命の灯火があやういまでに感じたから」

「おおげさな」

「あいかわらず自分のことがわからないのね。あまりに心配だったのに、連絡とれなくなっちゃって、私、先生にまで相談したんだから」

「先生?雨宮先生? え、連絡とったの、俺のことで?」

 今度は先生の顔が脳裏を支配する。あの時の表情が張り付いた。

「私たち電話でおしゃべりする仲になったのよ。すごいでしょ」

「す、すごい。さすが春日だとしか言いようがない。あの雨宮先生が……」

「ああ、あんたコミュ障とか言ってたわよね。失礼じゃない。私と話しているとき、ぜんぜんそんな感じしないわよ」

「それは春日だからかもしれない。もしかすると編集担当は春日のほうがいいかもな」

「仕事とお友達は違うでしょ」

「近くはある。とくに雨宮先生の場合は」

「そうなの。でも私たちとても気が合うの。うれしかった。私の人生を救ってくれた人とまさか友達になれるなんて。あの本に出会ってから、私の人生は大きく変わろうとしている!」

「なんか壮大な感じだな」

「運命よ。これから、もっともっと自分を変えていくわ」

 本には人生を変える力がある。

 カッコつけた言葉だし、仕事で本を作る身になってからは、なおさら口にしずらい。

 でも、春日の言葉を聞くと、素直に実感できる。

「そういえば、先生とはあれから仕事で会った?」

「……いや、会っていない」

 仕事では。またあの顔が浮かぶ。

「そう、私が長谷川くんのこと相談したら、必ずどんな様子だったか伝える、何があったか聞き出す、だから安心してって。すごく優しくしてくれたの」

 そうか、先生はそんなミッションを背負っていたのか。

 それと同時にあの言葉を思い出す。

 《あなたのことを心配している人だっているでしょう!》

 春日のことだったのか。いまようやく合点がいく。


 それにしても。


 ひどい言葉だった。

 《先生には言われたくありませんよ!》

 人の気持ちがわからないのか、と言われたからだ。人付き合いもしない引きこもりで、経験よりも洞察やら考察で人間関係を語る、そんな先生を馬鹿にしているつももりはなかった。ふだんも、からかっていたつもりもなかった……いや、それは嘘かもしれない。俺はどこかで、先生に変わり者のレッテルを貼っていたのかもしれなかった。

 いまの俺は、自信がない、心に余裕がない、周囲のことが目に入らない、あの中学時代に戻っていた。

 他意はないつもりでも、あそこで、あんな口調で言ったら傷つくのは当たり前だ。

 冗談や軽口では済まない。

 いま、ようやくとんでもないことをしたことに気づいた。


 あの暗く曇った表情が焼き付いて、目を閉じても消えない。


 ※  ※  ※


 翌日、出社早々に楠木さんに会った。

 いろいろとあって久しぶりだ。

「おはよう」

「おはようございます」

 驚いたが、自然体で挨拶はできた。

 すぐに自分のデスクへ向かう。

「どう、企画は仕込めている?」

「あ、いえまだですけど、熊谷さんがなにかちょうど提案したいことがあったみたいで。今度会うことになってます」

「そう。そういう行動は時々じゃなくて常日頃からしておきなさい」

「わかってますよ。かまぼこ編集者にはなるな、ですよね」

「そうそう」

 楠木さんはクスリと笑った。

 かまぼこ編集者とは誰が名付けたかわからないが、ずーっとデスクにへばりついている編集者を指す。板にくっついているところからきている。社長がよく面談などで口にする。ともかく人と会え、と。経費精算の時にそれを見ているらしい。斎田さんなんかは典型的な「かまぼこ」で、経費は資料購入ばかり、同じゲラをずっとデスクで読み続けている。この間スマッシュヒットを出したばかりだから、絶対的にダメなんじゃないのだろうし、人によってやり方はいろいろあるだろう。でも、ネットからのインプットはお手軽すぎて、それだけで競争に勝てないのは完全なる事実だ。


 デスクに座るタイミングで、楠木さんのお腹をちらっと盗み見る。

「まだ、ぱっと見じゃわかんないわよ」

 ギクリとする。なんでもお見通しすぎる。

「ちゃんとお腹は出ているんだけど、まだ服を着たら誤魔化せるのよ」

「誤魔化さなくてもいいのでは」

「まあね」

「いつの間に、ご結婚されていたのですか?」

「あら、結婚のことは発表されていないけれど。あ、上杉さんね」

「うかつでした」

「じつは去年の話よ」

「なんでいってくれなかったんすか」

「えー、じゃあ、長谷川さんは彼女できたら教えてくれるのー?」

 楠木さんは悪戯をしたみたいに笑う

 俺はそれには苦笑いのような表情をつくって応酬する。

 この、ここちよいやり取りも、もう「誰か」のものだと思ってしまう。

 ほかにも聞きたいことがあるが、本人から聞く勇気がない。

 俺はデスクでPCを立ち上げると、出勤の打刻をして、すぐにメーラーを開いた。


 〈雨宮先生


 お世話になります。

 先日はたいへん申し訳ありませんでした。反省しております。

 気分を害されているところ、たいへん恐縮なのですが、そろそろ定例のミーティングを

 お願いできればと思います。ご都合いかがでしょうか〉


 ひどくさっぱりした文章だが、あれやこれや書くと言い訳じみてしまうし、身構えられてしまうかもしれない。


「先輩、おはようございます」

 傍から宇佐美さんの声がした。

「おはようございます。先輩っていうのはやめて。宇佐美さんからみたら全員先輩でしょ」

「そうですそうです。だから、あだ名みたいなものです」 

「バカにされてる気がする」

「尊敬?ですよ」

「いま、ちょっと疑問形じゃなかった?」

「そうですか?」


「仲がいいわね」

 楠木さんが微笑ましい顔で言ってくる。

「いろいろ、教えてもらっているんです」

「いや、なにもしてないから」

「文房具の場所とか、バイク便の出し方とか、色校の線の引き方とか教えてもらいましたよ」

「誰でも教えられるじゃん。ていうか雑務じゃん」

「長谷川くん、声をかけられやすいというのは立派な才能よ」

 楠木さんが口をはさむ。からっかているわけではないようだ。

「はい。楠木さんに、わからないことがあったら近くの人になんでも聞いてって言われましたけど、みなさん、声かかけづらかったです!」

「あたたた、ごめんなさい。配慮がたらなかったわね。よかったわ、長谷川さんが面倒見よくて。でも、ちゃんと指名しておけばよかったわ。私も甘えちゃったかしら」

 ふたりして俺を持ち上げているようで居心地が悪い。

 こんな仕事のできない俺を……いや、卑屈になるのはやめよう。自信がなくても、心に余裕がなくても、まわりをきちんと見る。逆から組み立てていこう。春日は自分を変える宣言をした。俺から見てもうらやましい性格の彼女がだ。


 ※  ※  ※


 5分前からPCの前でスタンばっている。

 いつも通りにいけそうな感じは10分前までで終わった。

 いったい、俺はどんな顔をして先生と向き合えばいいのだろう。

 きちんと謝る。

 だけど、はじめから申し訳ない雰囲気をまとっているべきなのか。

 謝罪記者会見をする政治家やら企業のトップは5分前に何を考えているのだろうか。

 俺は先生の顔をまともに見られるだろうか。

 あれから、あのなんともいえない曇り空に覆われた表情が考え事をするたびに出てくる。

 水筒に入れた水を口に含む。


 ディスプレイに先生の入室が告知された。

 入室を許可する。

「がっ!!」

 ディスプレイを見た途端、ひどくむせてしまった。


 雨宮先生はまたお面をつけていた。

 これは、なんだっけ。えーと、アノニマスだったか。

 しかし、まあ、それはおいておこう。

「大丈夫ですか」

 先生が問いかけてくる。

「はい。久しぶりにお面の先生を見て、油断してました」

 何度か咳き込んでようやく落ち着く。

「すみません、今日はこれでお願いします」

「わかりました」

 こちらも視線がからむのがすこし怖くもあったから、ちょうどいい。

「今日は、ちょっと先にいいですか?」

 さっそく切り出す。

「なんでしょう?」

「このあいだの件です」

「もう、気にしていませんよ。メールでもお気遣いいただきましたし」

「いえ、あらためて、その、申し訳ありませんでした!」

「……」

「先生に〈人の気持ちがわからない〉と言われて、正直腹を立ててしまいました」

「申し訳ありません。それについては私もひどいことを言ってしまったと、あとになって……」

「いえ、腹を立てたのは、図星だったからかもしれません。人の気持ちがわからない、というか考える余裕がないというか、いつごろだったか、ずっとそんな感じが続いていたんです」

「そう、ですか……」

「だから、あの時の言葉、いまとなっては大事なことを指摘されたかなと。さすが先生の洞察力です」

「いえ、私はただ……」

「なのに俺はひどいことを言ってしまった。しかも、それをひどいことだとは思っていなかった。いつ、どこで、どんなふうに、どう伝えるかで言葉はどうとでも変化します。あの時の俺の言い方は最悪でした」

「もう、大丈夫ですから」

「そんなことないです。あの時、俺のセリフを聞いた先生の顔が忘れられません。ずっと」

 後悔だけじゃない、自分への怒り、そしていま自分から離れてやっと、先生の心の痛みが響いてきている。

「自分に余裕のない俺は、先生にも甘えていたのかもしれません。これぐらい平気だろうって」

「よかったら、聞かせてくれませんか。あなたがいま苦しんでいること。心配しているんです」

「春日さんですよね。聞きました。まさかそんな間柄になっているとは知りませんでしたが」

 友達のために声をあげる。ふだんなら踏み込まない距離感で。人間関係から逃げているようで、先生はとても人間関係を大切にする人なんだろう。

「春日さんのために声をかけたわけではありません。そんなお節介はしません」

「どういうことです?」

「そんなの、決まってるじゃありませんか」

「え?」

「ともかく、話してくださいますか?」

「いいんですか? むしろ、逆に」

「どれの逆ですか?」

「いやすみません……」

 緊張したり追い詰められると、意味不明なことを言ってしまうのは昔からなおらない。話すのは構わないが、プライベートすぎるだろう。しかし、ここまで言われて話さないのも期待に応えられず申し訳ない。

 俺はメガネをぐいっとあげる。

 そのとき、先生がアノニマスのマスクを外した。

 美しく透明感のある素顔が神々しい。あの時の曇り空がやっと去っていったようだった。

「真面目にお話になるのに失礼ですから」

 仕事の話はいいんですかと言いたくなったが、野暮である。

 俺は決意をして、自分の恥をさらすことにした。

「俺はここ1、2年、あまりいいことがありませんでした、と自分的には思っています」

「ええ」

「そうだな、まず、この間の朝帰り」

「はい」

「失恋してヤケ酒してました」

「……!」

 先生の顔が驚いたまま硬直する。

 春日のように道ならぬ恋をしているような誤解は避けたかったし、あれからずいぶんと客観的になって、自分の滑稽さを自虐することで気が楽になったから、なんでもないように話すことにした。

 そうね、これは笑い話だ。

 しかし、先生はまっすぐにこちらを見て、さも重大な話を受け止めたような空気を醸し出している。

 そんなつもりじゃなかったのに。

「……どんな方だったのですか?」

「え、えっと……」

 そうきたか。でも興味本位で聞かれているような感じがしない。

「同僚です。いえ、あの、上司です」

 濁すこともできたけれど、先生の目を見ていたら、話してしまいたいという衝動に駆られてしまった。

「お仕事の……編集部の方ですか」

「はい」

 それれから、楠木さんという人との出会い、上司として頼れるところ、人としていいところ、好きになっていたこと、それから突然の産休発表まで。話ながらまたしみじみとしてしまう、すこし鼻も出てしまう。もうつくろうのはやめた。どう話したところで恥さらしだ。三十路手前の男が、いい歳して片思いのままフラれた話。

「いやあ、これはダサい、われながら滑稽ですね……」

「そんなことありません!」

「ありがとうございます……」

「いい歳したら、恋しちゃいけないなんてことないと思います! 大人が片思いしたっていいです! ぜんぶ、ぜんぶ肯定できます!」

「ありがとうございます……」

 この気持ちを口に出したのははじめてだった。自分以外には誰も知らない。

 だけど、口にした途端、本当にそれが存在していたことが実感されて、体が熱を帯びてきた。


 画面の向こうからも鼻をすする音がする。俺は画面を見ないようにしていた。

 こんな話、茶化して話して、笑いながらゴミ箱に捨てることもできただろう。

 でも、それじゃダメだった気がする。

 先生が真剣に受け止めてくれたから、大切なもののまま、解放されそうだ。


「俺ここ一年くらい、仕事がうまくいっていないんです」

 すっきりしたついでのように話し続ける。

 仕事の不調は恋と人生どっちにも大問題だった。

 そもそも、そこから始まったと言っても過言ではない。

「それで、あんなに酔っ払ってしまって……だから、その、すみませんでした」

「……そんな、それは、私にも責任があります」

 先生は一語ずつ途切れるように言った。

 一瞬、何を言っているのだろうと思ったが、すぐにしまったと思った。

 先生は仕事先じゃないか。

「あ、いえ。先生のことじゃないです。全体的に成果があげられていないというか」

「もうしわけありません……」

 彼女の声はさらに小さくなった。

 「いえいえ、これは俺の問題ですから……」

 実際問題、先生に一ミリも責任はないのだが、これはどんな言い方でも、負担になってしまう。

 「一緒にお仕事をしているのだから、関係ないなんて言わないでくださいね」

 図星だった。余裕のない俺はまた心配されることを恐れていたのか。

 「もう、関係ないなんてことないじゃないですか……」

 先生は涙袋に人差し指をすべらせる。右、左と。

 「……」

 「私も自覚が足りませんでした。反省しています」

 「いえ、俺も頑張ります」

 「はい。一緒に、ですよ」

 そう言って微笑む。

 「……」

 時間が止まったかのようだった。

 先生の笑顔を見るの、はじめてのような気がする。

 年下の、コミュ障の、ひきこもりがちの、経験不足の彼女の笑顔には、雨上がりの空のような神々しさがあった。


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