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結婚式

結婚式当日。

朝早くに起こされ半分眠りながら着替えさせられた。さぁヘアメイクという所でケインにバトンタッチされ手際良く進められていく。


「何て美しいんだ」

「本当に綺麗です」


侍女とケインからの称賛の声もナナリーの耳には届かない。本格的に眠り始めていたせいだ。


更にアクセサリーが運ばれてくると、やはりケインが受け取りそっとナナリーにつけ始めた。どれもシンプルなデザインだが、とても似合っていて一層美しさに拍車がかかる。


優しく揺り起こされ目を覚ますも未だ半分は夢の中で意識が朦朧としていた。


「...ん?」

「おはようございます。結婚式の準備をしていましたよ」

「...ぁ」


意識がハッキリしてくると決まりが悪くなり意味も無く裾を払ったりするナナリー。


「どうですか? 鏡でご覧になって下さい」

「そうね、これは...綺麗だわ」


自分で言うのもなんだか恥ずかしいが文句無しに綺麗だった。生きてきた中で一番に輝いている日だと言えよう。


「ナナリー、本当に女神の様です。貴女と結婚出来るのが私なんて一生の幸運を使い果したのでしょうね」


自嘲気味に笑って見せるケインも随分と様になっている。白いタキシードで髪はオールバックだ。





「いやぁ、良く来てくれた。娘はきっと美しいぞぉ! 存分に見ていってくれ!」


ガッハッハと豪快に笑いながら続々と到着する招待客を当主夫妻で出迎える。


城の造りは正に質実剛健。初めて見る内装も華美では無いが質が良いと直ぐに分かる物が多い。やはり辺境伯だけあるなと、来た者の殆どは感心していた。


「ありがとう、ありがとう。実に良き日だ」


ガッハッハ、ガッハッハと大きく楽しそうな笑い声が響き渡る。


ザワリと空気が変わった。何やら凄い量の贈り物が運び込まれ周囲が困惑しているらしい。


「やや! これはこれは公爵家の!」

「いやはや、おめでたいですなー。1人娘の結婚とは、寂しくも嬉しくもある物ですからな」

「そうなのだよ! おっしゃる通りで」


肩を叩いてガッハッハと笑い掛ける辺境伯と仲良さそうに談笑を始める公爵家当主。周りは、辺境伯と公爵家との繋がりが思い至らず遠巻きに観察する。


「こんなに沢山、お祝いの品を頂けるなんて娘も喜ぶわ」

「実はね」


夫人同士も仲良さ気に耳を寄せ合い笑い合っていた。


「まぁ! ジャーキーが...ご用意致しますわ」

「とっても嬉しいわ、それからね。あの、似合うと思うドレスやアクセサリーも持って来ましたの」

「それは! 嬉しいわ。ありがとうございます」


「あ...いえね、後で着た姿を見せて頂けないかしらと思って」

「まぁまぁ、そんな事! お安い御用ですわ」


元々、貴族的な言い回しや含みを読む事が苦手なニコン家と仲良くなりたい一心の公爵家。あっという間に距離を縮めて仲良くなれた。まともに会話をしたのは数年ぶりにも拘らずである。


やはり周囲は、ものの数分で仲良くなったとは思わず成る程、実は以前より親交があったのだと勝手に勘違いしていた。





互いに見つめ合い、微笑み合う。

とてもお似合いで感嘆の溜め息があちこちから漏れる。


「では誓いのキスを」


こうして2人は結ばれた。




城からは何かを叩くピシッパシッという音が夜な夜な聞こえてくる様になったという。


辺境では更に人が流入するようになり豊かになった。人々は相変わらずマッスルが多く、確かに幸せな時が流れていた。







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