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9.デート?の続きらしいです

その後、もう一度図書館へ戻った。

入館手続きを済ませ、中に入ろうとする私に向かって


「すまない、少し用を済ませてくる。迎えにくるから待っていてくれ。」


「いやいや、本当に大丈夫ですから」


と言う私に対して、


「図書館の後、デートをしよう」


と言い残して出て行ってしまった。

返事してないのに。しかもデートなんて、そんな敷居の高いものをアーノルド様と⁇無理無理無理!!


気持ちを落ち着かせる為にも中へ足を踏み入れる。

膨大な量の本が並べてある。

圧巻だ!!


カウンターで魔法に関する本を探している旨を伝え、場所を教えてもらう。

そこにはそれぞれの分野に分かれた魔法に関する本が所狭しと並んでした。


その中から治癒魔法の棚を見つけて足を進める。

その場でパラパラとめくり、目ぼしいものを見つけて机に移動して腰を落ち着かせる。


治癒魔法・回復魔法…現状復帰


よく分からない。

治癒は傷を治すで合ってるのかな?

回復は体力を回復させる感じ?

現状復帰は元に戻す?

これは私の魔力量で出来るのだろうか?

簡単な傷を治したり、疲れてる体を回復させる事は私でも出来る。もっと大きな事…楽しくなってきた。ゆっくり練習してみようかな?まずは魔力をもっと持つ事を努力してみよう。


何冊かの借りる本を選んだりしていると、時間がかなり経っていたのだろう。

私の真横に立った人が「もう終わった?」と甘い声をかけてきた。


「!!!!!!」


振り向くとアーノルド様の顔が間近にある!

「シー」と指を立てて、私の唇に当てる!!


「図書館では静かにね」


キッザーーーーー!!


★★★


その後、数冊の本を借りて図書館を後にする。

アーノルド様と歩いていると、またどこからともなくご令嬢が湧き出る。

本当にこの国の女性の逞しさには圧倒されっぱなしだ。


アーノルド様から引き離された私は、このまま消えたら失礼だし、何より私の借りた本は人質の様にアーノルド様が持っているのだ。

近くにあるアポロおじさんのお店へ避難する事にした。

アーノルド様と目が合ったから大丈夫だろう。


「本…返して欲しいなぁ」

でもあの輪に入る勇気はないし…ため息が出てしまう。


「アリサちゃん、今日はこっちに出てきてたのかい?」


「ええ、王立図書館に案内してもらったんです。」

と言って、チラッと外をみる。


「騎士団長にかい。えらい大物と知り合いなんだねー。」


「ですよねー。

カフェに来てくださるお客様で、たまたま案内してくださる事になったのですが、こんな大変な事になるとは思いませんでした。

アーノルド様が本を持って下さってるから、帰るに帰れないし…」


「俺が団長さんから本を預かってきてやるよ!

ご令嬢方は団長さんに夢中だからな。」


と話を聞いていたアルが飛び出して行った。


「やれやれ」

とおじさんは呆れながら、「アルは本気みたいでねー」などと言っていたが、詳しくは聞かなかった。


それからおじさんと、私が作ったクッキーに続いてスコーンも大好評で、スコーンと一緒におじさんのお店の物も売れるらしく、ホクホクだと言ってくれた。

大量生産は無理だけど、なるべく作るようにする事と、日持ちのするお菓子の種類を増やす約束をさせられた。

私のお小遣いも増えるし、ありがたい話だ。


アルが本を抱えて戻ってきた。


「ご令嬢方凄いわ!団長さんの私服姿なんてなかなか見られないし、私服って事は今日は休みだって分かってるから、今から出掛けるのは私だ私だって。

俺はお淑やかなアリサちゃんが良いなー」


とウインクしてくる。


「アーノルド様って人気者なんですねー」


と言うと、教えてくれた。

次期公爵様で騎士団長で、いまだに婚約者がいない。

そして顔は良い。

貴族社会では最優良物件なのだと!

ほぉ…それはすごい!貴族社会はよく分からないけど、良いお家にお嫁に行ってこそ、女の価値があがるのだそうだ。

ご令嬢方が必死になるのも納得できる。


「アーノルド様っておいくつなのかしら?」


「確か24歳だったんじゃないかな?24歳で騎士団長なんて異例のスピード出世!実力もあるからねー。

アリサちゃん、俺も24歳だよ。

ねーねー、お貴族様はお貴族様と結ばれるし、アリサちゃんは俺のね!」


「えっ?

アーノルド様は図書館に案内してくれただけだし、アルは何を言ってるの⁇」


「じゃあさ、今度行きたいところがあったら俺が案内するからね」


「あっ…そう⁇ありがとう」


と答えたところで、背中に寒気が走った気がした。

振り返ると疲れ切ったアーノルド様が立っている。

あれ?このシチュエーション、どっかにあったような⁇


「アル!俺から本を取り上げたな!返せ!」


「これはアリサちゃんのでしょ?アリサちゃんが帰りたそうだったし取りに行っただけだよー。」


「そうなのかアリサ!分かった、送っていく!」


と言うなり、本を取り上げて店を出て行ってしまった。

私はおじさんとアルに頭を下げて後を追う。

私には「アル、敵は手強いぞ」と楽しそうに呟くアポロおじさんの声は届かなかった。


アーノルド様は早足で、怒気を放って歩いているのでだれも声を掛けない。

イケメンの怒りって怖い!と他人事の様に思う私。

今日は怒らせてばかりだなと思う反面、私が悪いのか?と疑問にもなる。


王都を出てしばらくするとアーノルド様が振り返る。


「アリサ、俺は迷惑か?」


えっ⁇何をもって迷惑なのか?

それに一人称が俺になってる!怒ってるぞー。


「迷惑…ではないですよ。逆に私がご迷惑ではないですかね?せっかくのお休みを、私にお付き合いいただいて、申し訳なく思ってます。」


「いや、それは俺が案内したかったし、アリサと一緒にいたかったのだから構わない。ただ…すぐに離れようとするから…」


「あー…だってご令嬢方に囲まれると男性は嬉しいものですよね?私はそんなご令嬢の中に入っていく勇気はありませんし、避難したいだけです!」


強調しましたよ。避難!と強調しました。


「ならアリサ、俺も一緒に避難したい!アリサと一緒に!あの女どもは迷惑なんだ!」


うわ〜言っちゃったよ。

もうイケメン団長様は、女性には飽き飽きって事か。


「分かりました。また今度があれば、ないと思いますが、全力でお助けできる様に頑張ってみますね。」


と言っておいた。

アーノルド様は悲しそうな顔をしていた。表情豊かな人だな〜と思っただけで、深くは考えない私です。


その後、カフェまで送っていただき、お疲れのアーノルド様をお茶に誘い、今日のお礼がてらケーキとお茶をご馳走する。

大丈夫かな?と思いながら、チョコレートケーキを出してみたら、食べてくださったので良かった。

チョコレートは高級だけど、手に入るのです。でも頻繁には作れないけどね。


そろそろ失礼すると立ったアーノルド様が私に箱を手渡す。


「今日のサンドイッチのお礼だ。

それに楽しかった。また一緒に出掛けて欲しい。」


それだけ言うと、私の返事は聞きたくないと言うように扉から出て行ってしまった。

困ります。だって、サンドイッチは案内をして頂いた事へのお礼なのに、またそのお礼って…エンドレスに続いてしまうよ…


どうしたものかと考えながら箱を開けると、すごく綺麗な空色の石が付いたペンダントだった…


アリサは恋愛経験ゼロなので、全く好意を分かっていません。アーノルドが不憫になってきました。

次話はアーノルド目線を入れたいと思っています。

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