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36.また不安が押し寄せる

本日2話目です。

レナード殿下とお話していたら、「アリサ!」と声が聞こえ、振り向くとギュッと抱きしめられた。

下を向くとエバンズ殿下が私を抱きしめている。


「アーノルドと婚約したって本当?」


小首を傾げるエバンズ殿下が可愛い!!可愛すぎる!!


「婚約は…」


「本当ですよ、エバンズ殿下!婚約者がいる令嬢に抱きつくとは殿下であっても許せませんね。」


私の言葉に被せるようにアーノルド様がエバンズ殿下へ伝える。


「そうだね。ごめんね、アリサ。

聞いてなかったからビックリしたんだ。

でもこれからもアリサは僕の憧れだからね。アーノルドが嫌になったら、僕を思い出してね。」


エバンズ殿下が離れるとすぐ、アーノルド様に腰を引き寄せられた。

そして耳元で私にだけ聞こえる声で「口付けする?」と聞いてくるので、真っ赤になったのは許して欲しい。


レナード殿下に呼ばれ、アーノルド様は少し私から離れたので、会場を見渡してみれば、エバンズ殿下とジフリート様は可愛らしいご令嬢に囲まれている。

可愛らしいお花に囲まれたお二人は可愛すぎる!


しばらく見つめていると、私の視線を遮るようにボンキュッボン様が現れた。


「ご機嫌よう。わたくし、レナード殿下に付いて来てしまいましたの。


わたくし、隣国、トリニスト王国から来ましたマリーンと申します。以後、お見知り置き下さいませ。」


「わたくしアリサと申します。

こちらこそよろしくお願い致します。」


「それにしてもアリサ様の婚約者のアーノルド様って素敵ですわね。我が国にもあのような美丈夫な男性はおりませんわ。

レナード殿下も素敵だけれど、アーノルド様も素敵ね〜。


わたくし、狙った獲物は逃しませんのよ。お気をつけあそばせ。」


そう言うと去って行った。

アーノルド様を狙っていると言う事?

無意識に胸元のアパタイトを握りしめていた。


それを見ていたジフリート様が慌てて側に来てくださった。


「義姉上、何か言われましたか?」


「えっ⁇あっ、いいえ…」


ジフリート様は心配そうに私を見つめていたが、私が何も言わないので話を変えてくれた。


「ダンスは完璧でしたね!

僕たちが特訓しましたからね。」


「本当に。まさか私にダンスを覚えさせる為とは思いませんでした。」


「母上の差し金です。」


ジフリート様と仲良く話していても、私はご令息から、ジフリート様はご令嬢から声を掛けられる。

私みたいな平民、ではなく、異世界人に優しい方ばかりだ。

1人のご令息からダンスのお誘いを受け、お断りしても引いてもらえず困っていると「我が婚約者にご用ですか?」とアーノルド様が来られた。

アーノルド様を見るとそそくさと消えたけれど…


「アリサが魅力的なのが悪いね。」


などと耳を疑うような事を言っているので、スルーしておきます。

でもさっきのボンキュッボン様の言葉が頭から離れない。衝撃すぎて名前すら忘れてしまったけれど。


「アリサ、この後、レナード殿下と少し話があるから、ジフリートと帰宅してもらえる?」


「はい…分かりました…」


モヤモヤしたままアーノルド様と別れ、馬車に乗り込み、公爵家へ帰宅し、ドレスを脱ぎ、湯浴みをして、泊まるように言われたのをお断りして、我が家に帰ったと思う。

あまり記憶がないのは、ボンキュッボン様の言葉が離れないから。


★★★


もう何日もアーノルド様とお顔を合わす事はありません。

朝の挨拶も1日の終わりの挨拶もないまま日にちは過ぎていく。

レナード殿下が帰国されて忙しいのだろうと自分に言い聞かせ、気晴らしに街に出ようと思い立ちスイーツ店に足を向けた。


スイーツ店に着いた時、お店の中からボンキュッボン様がアーノルド様に腕を絡ませ出て来られた。

それもすごく親密そうに。

私に気付いてるはずなのに、アーノルド様は私に目を向けない。

衝撃だったのは、服の上に出しておく約束のオニキスのペンダントがない。もしかしたら服の中に入れているのかもしれないけど、「なぜ?」と言う疑問が頭を支配する。


後ろから腕を引っ張られた。

振り向くとそこにはアルがいた。

アーノルド様を見ると、そこに姿はなく遠ざかる馬車が目に映るのみだった。


「大丈夫?

レナード殿下の帰国パーティーの時にアーノルド様が婚約者を同伴してたって聞いたけど、アリサちゃんの事だよね?」


「う〜ん、そうなのかな?

婚約者とは言われたけど、私、婚約の申し込みも受けてないし、頷いてないからね。

だからどうなんだろうね?」


「最近、アーノルド様があの女性を連れてるのよく見るんだよ。ほぼ毎日かな?」


「そうなんだね。お仕事かもね。今日はもう帰るわ。またね。」


「送っていく。何も喋らなくて良いから付いてくよ。」


「今は1人にして欲しい…かな?」


そう言って、私は1人で来た道を帰る。

まただ。これじゃあクリスマスの時と一緒だ!

アーノルド様を信じたい気持ちが強いけれど、これからもアーノルド様の側にいたらこんな事が繰り返されるだけかもしれない。

アーノルド様の側にいるのが辛い。私は強い人間ではないから。

ゆっくり考えてみよう…


明日からは1話ずつの投稿になります。


あと数話で完結予定ですので、最後までお付き合い下さい。

ブクマ&評価ありがとうございます。

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