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34.公爵夫人には敵わない

本日2話目です。

アーノルド様から、昨夜の「ただいま」も今朝の「おはよう」もなかった。

そう、例の扉からアーノルド様は現れなかった。


呆れられたのよね…


コンコン


ノックが聞こえる。


「アーノルド様⁇」


顔を出したのは公爵様だった。


「アリサちゃんおはよう。

申し訳ないが一杯何か頂けるかな?」


「お疲れのようですね…

こちらへどうぞ。」


カフェのカウンターへ案内し、アーノルド様に昨日出したジャスミン茶を出す。


「やっぱりアリサちゃんの入れてくれた物を飲むと元気が出るね。

このジャスミン茶もあの…なんだったかな?良い物を栽培してる地域の…誰だったかな?」


「ダイバー伯爵様の領地で取れるんですよね。」


「そうそう、ダイバー伯爵だった。

ダイバー伯爵と言えば、その息子が今度結婚されるそうだよ。」


「アンダーソン様ですか?派閥があるからなかなか難しかったのではないですか?

でもよろしゅうございましたね。確か…29歳でしたか?」


公爵はこの時、貴族年鑑で覚えた事をアリサがしっかり理解し、忘れていない事を確信した。

カーラに合格と伝えるか。


「最近物忘れが酷くてね。

さて、元気をもらったし失礼するよ。」


公爵は帰って行った。


何もする事がなく、スイーツを焼いて時間を潰す。

昨日の今日でアーノルドに会いたくなっている自分が嫌になる。


アーノルド様不足かしら⁇


アーノルドとの思い出のシフォンケーキを焼く。

お昼も過ぎた頃、今度はジフリート様がヒョコッと扉から顔を出す。


「義姉上、今度の帰国パーティーに僕も出るんだけど、ダンスが不安なんです。相手してもらえませんか?1人じゃダンスは無理でしょ?」


「分かりました。ジフリート様、お相手させていただきます。」


それから公爵家でジフリート様のダンスパートナーをする。

それを見ていた執事様が「完璧でございます。」と言ってくれた。


「義姉上、素晴らしいですね!」


「ありがとうございます。」


褒められたけど、披露する所はないのよね。

ジフリート様にお付き合いしてる間にいつの間にか上達してたのよね。


「アリサ様、奥様からお茶のお誘いでございます。」


「はい、すぐに参ります。」


「アリサ様、奥様の前にいらっしゃいますので、一度カーテシーを見せていただけませんか?」


「そうですね。失礼があってはいけまんし、よろしくお願いします。」


カーテシーをしてみる。

そこにいたジフリート、執事、侍女長、全員が、合格と伝えようと思った。


★★★


カーラ様をお待たせするのは申し訳ないと思いつつ、例の扉で一度カフェへ戻り、シフォンケーキを持ってきた。

カーラ様の前で、言われた通りカーテシーを取り挨拶をする。

カーラ様はニコニコ微笑んでいた。


カーラ様とのお茶会は、世間話から始まり、社交会の渡り歩き方、苦労話とさまざまだった。

貴族社会は難しいし怖い。


「あら、やっぱり美味しいわ。」


シフォンケーキを口にしたカーラ様がおっしゃる。


「でも良いのかしら?アーノルドより先に食べて…

ふふふ…本当においしいわねぇ〜。」


小首を傾げるカーラ様が可愛い。


「アーノルド様ですか…ご機嫌を損なわれているかもしれません。

昨日、ワガママを言ってしまいました。だから、昨夜の「おやすみ」も今朝の「おはよう」もありませんでした。」


「あらそうなの?

どんなワガママを言ったのかしら?」


カーラ様に聞いてもらった。


「アリサちゃんは、アーノルドが他のご令嬢を伴ってパーティーに参加するのは嫌なのよね?

そうよねー、大切な人が他のご令嬢と腕を組んで歩く姿なんて、想像もしたくないわよね〜。

でも友人であるレナードの帰国パーティーには参加して欲しい。

それならアリサちゃんがパートナーになるしかないわよね?でも自信がないのよね?困ったわね〜。」


ふふふと笑いながら、なんだかカーラ様が怖いです。


「アリサちゃん!あなたその辺の貴族の方々よりよっぽど貴族社会の常識はあるわよ。

知識・マナー・ダンス力…全て合格ですってよ。

はい、パーティーへの参加決定〜!!


ウィルソン、ジフリート、執事に侍女長、そして私からの合格点よ!自信を持って!!」


頭を抱えたくなった。

今日1日の出来事が走馬灯のように駆け巡る。


してやられた〜

公爵夫人は最強だった。



その夜、何事もなかったようにアーノルド様が扉から入ってくる。


「アリサ、ただいま…!

帰国パーティーに来てくれるの?」


抱きしめられる。


「アリサ!僕も正直に話すよ。

レナードの帰国パーティーだから参加したい。でも行くならアリサとしか考えられないんだけど…綺麗に着飾り、今以上に魅力的なアリサを他の奴らに見せたくないんだ!」


「アーノルド様⁇そこは心配いらないと思いますよ。

私、魅力的じゃないですしね。

カーラ様とお約束したので、アーノルド様のパートナーとして参加させていただきます。」


「義母上に感謝しなきゃいけないね。」


満面の笑みのアーノルド様でした。


明日も8:00に投稿します。

2話投稿出来るかは…未定です。

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