32.魔力強化!私に出来ますか?
本日2話目です。
「アーノルド様がカッコ良すぎる…」
あんな素敵な人が恋人なんて信じられない。
最近、アーノルド様の希望でアパタイトは服の外に出している。もちろん街に行く時も…
最初は視線が痛かった。特にご令嬢方の視線が刺さる、刺さる。
そんな視線に慣れないから辛かったけれど…でももう落ち着いて来た。
だって…街で勤務中のアーノルド様に遭遇したら、ものすごい笑顔になるの!!
街行く人が頬を染めるぐらいの素敵笑み。
先日なんて、ミスをした部下の方に恐ろしい程の態度でお説教をされていたのに、たまたま通りかかった私を見付けるや否や「もう行って良い!」って解放して、私に走り寄ってきたからね。
「公私混同はいけません!」
「勤務中は私が通りかかっても無視して下さい!」
って言ったのに、
「そんな事できるか!そうでなくても、今は忙しく朝と夜の挨拶しかできていないから、アリサ不足で職務に支障がでている!」
って言い切ったからね!!
こんな調子だから、私は騎士団内では「女神様」らしい。
むず痒い…
カフェのカウンターに座り、1人ニマニマしていると扉が開き、サジェのおばあさんが入ってきた。
「おやおやニヤニヤしてるけど、アーノルドの事を考えていたのかい?」
「ちっちがいます!
あっ…お久しぶりです。お元気でしたか?」
「相変わらず律儀な子だね。」
「ありがとうございます。」
「ところでアリサ、魔力の方はどうだい?」
「う〜ん、分かりません。
ごめんなさい。どうしても魔力の動きとか分からないんです。掴めないと言うか…」
「アリサの回復魔法、治癒魔法は、自分自身では分からないだろうが、ちゃんと自分の意思でコントロールできてるよ。
原状復帰はまだまだだね。」
「コントロール出来てます?」
「例えばだよ、アリサがいつも疲れの見えるアーノルドに出す食事や飲み物に入れる魔力と、大怪我をした人間に入れる魔力、入れる時の気持ちは違うだろ?」
「そうですね。あまり大怪我をされた方に遭遇する事はありませんが、普段より強く願うと思います。」
「それがコントロールだよ。
魔力を持つ者は殆どが、願った時に流れる魔力を感じてるんだ。
アリサは感じないんだろ?もう少し願うだけでなく、魔力の流れに集中する事だね。」
「流れが分からないと不便ですか?
でもおばあさんが仰るから頑張ってみます!」
「ありがとう。楽しみだね。
そこでアリサ頼みがあるんだよ。」
「私にお役に立てる事がありますか?」
「しかし…アーノルドがあんたにはいるから無理はしなくて良いよ。」
「アーノルド様にも関係するのですか?」
「そうだね…アーノルドは止めるだろうね。
アリサ…原状復帰を習得して欲しい。ただね、原状復帰を使った場合、最悪、使用者がどうなるか分からないんだよ。使用者毎の影響がでる。死までは訪れないけどね。
訓練の段階なら問題はない。
大きなものを元に戻そうとすると、それだけ膨大な魔力を消費する。そうすれば身体に影響がでる。」
「原状復帰も意識を一点に集中して願えば良いのでしょうか?
魔力の強化と訓練次第で出来る様になるものですか?」
「アリサ…訓練してくれるのかい?
あんたはなぜ、そんなに人を信じる?」
「えっ?だっておばあさんは私に、死は訪れる事はないって仰いましたよね?
死は…と言うより、そう言う事を伝えてくれるって事は信用に値すると思いますよ。黙っておく選択も出来たのに。
それに感謝しているって言うのが大きいです。
この世界に来れて、すごく幸せなんです!」
「そうかい。瞬時にそう判断してくれたんだね。
ありがとう…
でもね、さっきも説明したように恐ろしい魔法だから、無理はしないでおくれ。頼んだ手前、こんな事を言うのはおかしいが。」
サジェはアリサが原状復帰を使わなくて済むようにしようと思った。
それ程、アリサを気に入ってしまっている事にサジェ自身が驚いていた。
★★★
それからは日中、時間があれば魔力を集中させ原状復帰の訓練をしている。
でも相変わらず魔力の動きは分からない。
「むずかしいなぁ。原状復帰が出来てるのかすら分からない。どこででも試していいものじゃないものね。」
原状復帰を訓練している事は、アーノルド様には内緒にしている。
内緒にするのは心が痛いけれど、知られたらアーノルド様はきっと反対する。
反対されたらきっと結論が揺らぐ。
この国に転移できて、今とても幸せだ。
そのお礼になるなら、訓練する事ぐらい苦にはならない。
使わないなら使わないで良い。私に出来る事があるなら、やれるところまで頑張ってみよう。
今日もまた訓練をする。
明日も8:00に投稿予定です。
2020年、沢山の方に読んでいただき感謝しております。
2021年もよろしくお願い致します。
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