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31.アーノルドの過去

少し短めです。

アーノルドは自分の過去を話し出した。


自信がカーラ様の子供ではない事。

実の母の話。

ジフリート様に公爵家を継いで欲しい事。


聞いた時、私の目には涙がいっぱい溜まっていた。

そっとアーノルド様を抱きしめる。


「アリサ…」


「アーノルド様は1人じゃないですよ。

公爵様はお優しいし、カーラ様はアーノルド様を愛していらっしゃる。ジフリート様もアーノルド様をお慕いしていらっしゃいます!

だから…だから…アーノルド様は1人じゃない!」


「ただ実母であるナンシーを思えば、後悔しているんじゃないかと思ってね。

母は、この国の王女であり、公爵へ降下した義母への忠義の為に子を成し、産み、亡くなった。

僕は生まれてきてはいけない人間だったのではないかと考えていたんだ。」


アーノルド様はその頃の自分を懐かしそうに、でも辛そうに話している。

私はどう答えれば良いのだろう。

ナンシー様はそんな事思っていない!って軽々しく言ってはいけない気がしたから。

私は抱きしめていたアーノルド様から少し離れ、ジッと見つめた。

そんな私を見て、フッと笑った。


「アリサ、そんな悲しい顔しないで。

僕に友人と思える人間が現れたんだ。

エバンズ殿下の兄、レナード王子だ。

レナードも私と同じだったんだ。今の王妃が嫁ぐ前に、国王との間に子供が産まれた。母は病弱でレナードを産みしばらくして亡くなった。

王妃はなかなか子が出来なくてね。王位継承権はレナードだったんだ。

しかしエバンズ殿下がお生まれになった。

レナードは自然と王位継承権を奪われた。」


貴族社会って難しい。

特に王家ともなれば、複雑なのだろう。


「レナードとは同じ歳で交流があった。

だから自然と似ている者同士、仲良くなったんだ。

でもレナードは、数年後、逃げるように外へ飛び出した。他国の事を勉強するとね。

きっと私が知らない、辛い事がたくさんあったんだと思う。

比べて私は、父も義母もジフリートも優しく接してくれた。

そしてアリサに会えた。アリサと本当の家族を作りたいんだ。」


「アーノルド様…」


「まだ返事はしてくれないんだね。

僕は公爵になるつもりはないって伝えたかったんだよ。」


「話して頂いてありがとうございます。

アーノルド様の子供の頃の辛い気持ち…私、私…小さい頃のアーノルド様のそばにいたかった。

私が支えになれるなら、その頃のアーノルド様の隣にいたかった。」


涙がボロボロ出てくる。

どんなに優しい家族がいても、子供心には色々考え、辛い日々だったと思う。

そんな私をアーノルド様は、そっと抱きしめてくれる。


「アリサは優しいね。

その頃にアリサに会っていれば寂しくなかったかな?

でも今、この腕の中にアリサがいる。それがとてつもなく幸せなんだ。

これからもずっと、隣にアリサを感じていたい。」


顔を覗き込まれ、恥ずかしくて違う話をする。


「レナード様、帰国なさいますか?

クリスマスの日に街で聞いたんです。」


「ああ、帰ってくるよ。

エバンズ殿下を支える為に戻って来るんじゃないかな?

アリサの事も紹介しないといけないね。」


「アーノルド様のご友人ですものね。

お会いするのが楽しみです!」


「アリサは僕のものだからね!

レナードに紹介するのはやめておこう!」


こんな所でも嫉妬心を出す所がアーノルド様らしい。


「それでねアリサ、レナードが戻ってくるからまたしばらくデートは出来そうにないんだ。」


「大丈夫ですよ。例え街でアーノルド様が女性と一緒にいても、もう疑いませんから。」


「いや、ちょっとは疑って欲しいかな?

アリサ以外の女性に興味はないよ!でも嫉妬はしてもらいたいなぁ…と。」


頬をポリポリ掻きながら言うアーノルド様が可愛い。

無意識に「大好き!!」と言って飛び付いてしまった。

私としたことが何をしてるんだ…


アーノルドはアリサを抱きとめ破顔した。


本日、20:00にもう1話投稿します。

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