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30.湖デート

今日はクリスマスと年末のちょうど真ん中ぐらい。

寒いし、外はうっすら雪景色だけど、気持ちの良いお天気の日、アーノルド様がお休みを取れた。

朝早く、例の扉から現れたアーノルド様は「おはよう」と言って普通に入ってくる。

「おはようございます」と返事はしたものの、なんかおかしくないか?

扉一つで行き来できるって、同じ家に住んでる訳でもないのに、やっぱりおかしい。

今更かい!って言うのもあるんだけど、なんだか気持ちにモヤッと…


「アーノルド様、この扉って必要ですか?」


「ん?必要だよ。」


満面の笑みで答えられた。

サジェのおばあさんのご好意?だし、そのままにしておきます。


「朝食は食べられました?

私、まだ食べてなくて…もしまだなら一緒にいかがですか?」


また満面の笑みで「そのつもりだよ」と言ってくる。

アーノルド様の笑顔…素敵すぎる。


パンとサラダ、スープを作り一緒に食べる。


「アリサの作った食事は美味しいね。」


「ありがとうございます。お口に合えば嬉しいです。」


「こうしてると新婚みたいだよね。」


「新婚⁉︎何を言ってるんですかーーー!」


「いつもそんな反応をするけど、僕は本気だよ。今すぐに結婚しても良いと思ってる。」


「ですから!!サラッとそう言う事を言わないでください。身分の差とかあるじゃないですか。」


「身分の差かぁ…ないな!!

考えてもごらん、アリサは魔女と知り合いなんだよ。しかもエバンズ殿下もアリサを慕っている。

いや、殿下は論外だな!まだアリサを妃にと言ってるからな!

腹立たしいが、殿下はアリサを正室にしたいと本気で考えてるんだ。意味分かる?

だから公爵家へ嫁ぐなんて簡単な事さ!」


本当に意味が分かりません。



朝食後、少しゆっくりしていた私に

「今日はお天気も良いし、少し寒いけど散歩しようか?」

と声を掛けてくださる。


「はい!!外の雪景色を見て、少しワクワクしていました。」


「あー、僕の恋人は可愛いなぁ。」


と言って抱きしめてくる。

可愛い要素あったかな?と思うけれど嬉しいのも正直な気持ちだ。


しばらくして手を繋いで湖までやってきた。


「ここでアリサに会ったんだった。エバンズ殿下を僕の子供と思ってたんだよね。」


「早とちりでした。」


「いいよ。こうやってアリサと出会えたしね。

ここで会った時に一目惚れをしたんだ。」


「アーノルド様…」


「今、こうやって隣を歩いている。あの時には考えられなかった。大切にする。だからずっとそばにいて欲しい。」


手のひらから伝わるアーノルド様の手が温かい。

アーノルド様と家庭を築けたら、どんなに幸せだろうと思った。

でもアーノルド様は公爵家の人間で、本来なら私が関わってはいけない人!!と自分に言い聞かせた。


「ありがとうございます。

でも私にはお返事する事が出来ません。許してください。」


「いいよ。じっくり囲い込むから。」


それからの時間は子供に返って雪で遊んだり、仲良く散歩をしたりと楽しく過ごした。

アーノルド様の隣にいる事が本当に心地いい。

このまま流されて、ずっと一緒にいたいとさえ思う。


「そろそろ戻りませんか?

食べて頂きたいものがあるんです。」



カフェに戻り、ホットミルクとシフォンケーキを出す。


「義母上から聞いたよ。シフォンケーキの話。」


「カーラ様から…ですか!!」


真っ赤になって、ちょっと挙動不審になってしまう。


「アリサ…嬉しかった。思い出を大切にしてくれて。」


「シフォンケーキは…アーノルド様との大切な思い出なので、私の特別なスイーツなんです。」


「僕の中でも特別だよ。話を聞いた時、すごく嬉しかった。

義母上がね、「アリサちゃんを絶対に離したらダメだ!」ってすごい勢いなんだ。

もし別れたりしたら、あの人は寝込むかもしれないな。」


そう言うとウットリとした顔で見つめられた。

アーノルド様が素敵すぎる!

いつも素敵だけど、どんな顔をしても素敵ってどう言う事?

この人が私を好きって…日本にいた時に頑張ったご褒美なのかしら?


「クリスマスの翌日、仲直りも中途半端に屋敷戻ってどうなったと思う?

アリサの部屋へ行き、ずっとここに通じる扉を見つめていたんだ。アリサの気持ちを疑ってしまった後悔、でもまだどこかで全てを信じきれてない自分。

自分でもこんなに器の小さい人間だと思わなかったよ。


それを見た家族からは呆れられたけどね。」


苦笑したアーノルド様。


「父にまで愛する女性を手放すような後悔はするなと言われた。

だからね、アリサ、絶対に離さないよ。」


少し重いけれど、でもそれ以上に嬉しい。

私はこんなに愛された事はないんじゃないか?


「アーノルド様、私、アルとの事を言われて、軽率な行動だったと思います。でもアルは友達です。だからこれからも仲良くしていきたい。

でも周りの方に誤解を与える様な事はしてはいけないって思いました。

アーノルド様の恋人として、恥ずかしくない様に過ごします。」


一緒にいれる間は…

と言う言葉は飲み込んだ。まだずっと一緒にいる!と言う決意は出来なかった。一緒にいたいけれど…


「僕の話を聞いてくれる?」


アーノルド様は自身の話を話し出した。

明日、AM8:00に投稿します。

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