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26.クリスマスシーズン突入

恋人編に突入します。

これからもよろしくお願いします。

アーノルド様と気持ちが通じてすぐ、クリスマスシーズンに入った。

クリスマスが近付くと日本と同じ様に、街は煌びやかに飾られていく。

私はアポロおじさんのお店の中から、その街の様子を見つめていた。


「アリサちゃんは王都のクリスマスは初めてだよね?

変わった事は特にないけど、街は賑やかになって楽しいから、クリスマス当日は街に出ておいで。」


「そうですね。いつもと違った王都も見てみたいし、来てみようかな?」


でもアーノルド様からクリスマス前日も当日も警備にあたらなければならないと聞いている。

一緒に過ごすのは難しいだろう。街をブラブラしていたら、警備中のアーノルド様を遠目にでも見れるかもしれない。

よし!1人でクリスマスを楽しもう!


「アリサちゃんてさー、本当に団長の恋人になったの?誰にでもニコニコして、ご令嬢に囲まれてもみんなに笑顔で接するような人だよ、団長は。

アリサちゃん…俺にしときなよ〜」


アルは会えばいつもこんな感じで絡んでくる。

本気なのかどうか分からないけど、もう聞き流す事ができるように成長した。


「アル!アリサちゃんに会えば同じことの繰り返し。本当に嫌われるぞ!」


「団長に飽きたら、俺が待機してるからいつでも胸に飛び込んできてね」


ウインクをして配達に出て行った。

アルって素敵なのに、なぜ恋人を作らないのかなー⁇なんて考えてたら、アポロおじさんから声が掛かる。


「スイーツ店は大繁盛だね。

生菓子は無理だけど、日持ちする物はこちらでも売らせてもらえて、店も持ち直したし感謝してるんだよ。ありがとうね。」


後から聞いた話では、アポロおじさんの店は傾きかけていたらしい。名物って物がなかったし、おじさんも歳で配達も頻繁に行けなくなったのが理由みたいだ。

そして騎士団に入っていたアルが、店を手伝うようになり、私が現れてお菓子を販売するようになった。

スイーツ店が出来た時も、公爵様は独占せずに、スイーツ店で売っている物と同じ物をアポロおじさんの店でも販売出来る様に手を貸して下さったらしい。

アポロおじさんは、いつも公爵様と私への感謝を口に出してくれる。

だからアーノルド様と私の事を聞いた時は、アルの事もあるから複雑だなぁと言いつつ、祝福してくれた。


「じゃあ私、スイーツ店に顔を出さないといけないし、これで失礼しますね。」


スイーツ店へ足を向けた。

アポロおじさんの店とスイーツ店は少し離れている。

私はブラブラと、クリスマスの雰囲気に変身していく街を歩く。


「近々皇子様が留学先から戻ってくるらしいな」

「あの皇子様も不憫だよな〜」


と耳に入ってきた。

皇子様って事は、エバンズ殿下のご兄弟かしら?

そんな事を考えていると、スイーツ店についていた。


「アリサ様!お待ちしておりました!」


日本で言うところのパティシエの皆さんが出迎えてくれた。

アーノルド様と気持ちが通じ合った日のスイーツ類も、公爵家の皆さまに味見をしてもらい合格点をいただけ、今では人気のスイーツとして販売されている。


今日は生クリームを使ったケーキの試作をする為にここに来た。

クリスマスと言えばクリスマスケーキがなければ!と言う主張をしたのが私で、今日、大量に作れるかなど試作をしてみる。


どんどん出来上がっていくデコレーションケーキにみんなからは驚きの声が上がる。

私には繊細な事は無理だけど、それでも絶賛されるのだから、この国の人たちはかなりの大雑把だ。

このデコレーションケーキには繊細さも必要だ。

パティシエの皆さんは、私の心配をよそに上手に仕上げていった。


「プロの方ってやっぱりすごいですね〜」


「色々なアイデアを出すアリサ様の方がすごいですよ!」


私は日本の記憶があるからなんだけどな…と後ろめたさを感じながら、いつかアーノルド様にこの事も伝えないといけないと思った。


私が試作で作ったケーキを詰めた箱を大切に抱えて、公爵家へ向かう。

お茶の時間には少し遅いが、カーラ様に食べていただきたいから。


公爵家ではいつも大々的に歓迎される。

今日も大歓迎だ。

カーラ様と今、テーブルを挟んで座りお茶をしている。


「美味しいわね〜。本当に美味しい。

この国のお菓子は甘すぎるでしょ?でも子供の頃から食べていると、それが普通だと思うのよね。

だからアリサちゃんの作るお菓子は新鮮だったわぁ。


いつだったかしら?アーノルドがシフォンケーキを持ち帰ってきた時、嬉しかったのよ!アーノルドを通して美味しいお菓子がたくさん食べれるわって。


そう言えば、シフォンケーキはスイーツ店で出してないわね。」


あっ!気付かれた…白状するしかないかな?


「シフォンケーキは出したくないんです。

私が一番好きなケーキで…アーノルド様と初めて会った日に食べてくださったケーキだから…」


モジモジしながら何とか伝えたが、私ったらアーノルド様のお義母様になんて事を言ってるんだ!

突然、恥ずかしさが増してくる。

淑女としてあるまじき行動だが、ガバッと立ち上がり挨拶もそこそこにその場から逃げ帰った。


「あらあら、真っ赤になって。

アリサちゃん、可愛すぎるわ〜。


さて、さっきの話をどうやってアーノルドに知らせようかしら?

クリスマスシーズンは朝早く出て、夜遅く帰るんですもの。伝える術もないじゃない。

「アリサから気持ちをもらいました」って嬉しそうに報告したくせに、騎士団の仕事が忙しくて碌に会ってないなんて許せないわ!!

もうどうしてくれようかしら!!」


と独り言の様に、側にいる侍女長に語りかけた。




クリスマスに間に合いませんでしたが、数日、クリスマスのお話が続きます。

間に合わせたかった。。。

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