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物語は始まらない

作者: 羽衣

僕は寝る前に日記を書く。

まぁ書くことはいつも決まっているけどね。

この言葉は日記を書き始めたころから変わらない。

さて、今日も日記を書いて寝るか。


『今日も変わらない日だった。』


パタン。


日記にいつもの言葉を書き、しまってから、僕はベッドに入り、夢の世界へ旅立った。僕は寝るのが早いの・・・zzz




「お兄ちゃん、朝だよ!起きて!」




やぁ、皆さんお早う。僕は今、3ヶ月前から妹になった美少女に起こされてるんだ・・・



なんてね。この『お兄ちゃん、朝だよ!起きて!』は、真っ正面の家の子の声。

毎回、思うんだけど起こされてる兄、遅刻するよね。

だって、僕はすでに身支度を整えて彼の家の前を通って通学しているんだから。

この声が聞こえるようになったのは3ヶ月前からなんだ。

なんか、再婚したんだってさ、おめでとうって感じ。

ここの兄妹とは同じ高校なんだけど、あまり親しくないよね。

ご近所だからといって仲良くする必要はないしね。

うちは三丁目だけど、あちらは二丁目だし、地域のイベントでも関わることがないのが原因かな?

まぁとりあえず、早く起きないと遅刻しちゃうよ。




「ゆうくん、おはよー!はい、お弁当!」

「まり、ありがとう。あっ母さんが今日よろしくだって」

「腕によりをかけて作るから、帰り荷物持ちよろしくね」




任せといて!っと言いたいところだけど、僕ではないので。

なんつーか、リア充だよね、母親が親友同士で子供たちは幼馴染ってなかなかないと思う。

このまま順当に付き合っちゃうパターンだよね。

まぁスパイス的にライバルが明日辺り登場しちゃうかもしれないけどね。

彼らも同じ高校だけどクラスが違うので親しくない。

噂はよく聞くけど、あんなにラブラブしてるのに付き合ってないんだって!

僕は、毎朝彼らを見かける度に思うよ、もう付き合っておくれって。

僕以外にも思っている人はたくさんいると思う。

お互いに意識しまくっているのにお互いに否定ってギャグなの?って。

まぁご近所情報によると母親たちに外堀がしっかり埋められてるから二人とも逃げられないと思うけど頑張って。




「おい、転校生がくるんだって」

「この時期にか?珍しいな」

「すげぇ、可愛いらしい」




へー、こんな変な時期に転校生って。中途半端だな。

まぁ僕には関係ないけど。だって、この会話してるの二年生の先輩方だもん。てことは、転校生が来るのは二年生でしょ。一年生の僕にはあまり関係ないね。

ってこの転校生の先輩、なんか一年の教室に来るんだけど。暇なのかな?『会いたかった』って抱きついたのを見てから僕のなかで彼女は痴女に認定したよ。

いくら可愛くてもいきなり抱きつくなんてあり得ないよね。

まぁ抱きつかれた方は『貴方は、朝の・・・』とか言ってるけど、僕的には朝あった人に抱きつかれるなんて災難でしかないと思う。『貴方が助けてくれたから、私・・・』だって。

彼女も隣のクラスの彼のハーレム入り確定だね。




「っ、なにこれ!」

「な、なんだ!」

「どうなってる!」

「ひ、光が・・・」

「っ!」




演劇の練習でもしてるのかな?

帰り道でもやるなんてなんて熱心なんだろう。

ただ少し、照明、強すぎない?眩しいんだけど。

機材も準備するなんて本格的だけど、光が強すぎてなにも見えない。

演技が生かせてない気がするよ。

あれ?演劇じゃなくてイリュージョンの練習だったみたい。誰もいないや。

あっもしかして、人が通ると音声が流れるやつか!スーパーによくあるやつ。防犯用かな?そういえば、なんか設置するって回覧板に載っていたな。

とりあえず、町内会長さんに母さんから光が強すぎることを伝えてもらおう。




「ふぅ」




僕は寝る前に日記を書く。

まぁ書くことはいつも決まっているけどね。

この言葉は日記を書き始めたころから変わらない。

さて、今日も日記を書いて寝るか。


『今日も変わらない日だった。』


パタン。


日記にいつもの言葉を書き、しまって、ベッドに入ったときだった。



『パン!パン!パン!』



「こんな夜に花火だなんて・・・ふぁ~なんか、戦闘音みたい・・・zzz」



僕の物語は始まらない。

義妹は出来ないし、幼馴染もいない、転校生を助けることもないし、召喚されることもない。そして、悪の組織とも戦わない。


僕は変わらない日々を愛おしく思っている。






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