プロローグ
担当:寝蛇
人、亜人、魔物、精霊の四種族が存在する世界。これは、そんな世界で生きる小さな少女の物語である。
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「どうして、私は外に出たらいけないの?」
少女は、自分と同じ年ぐらいの子供たちを羨ましそうに見ながら、そんな事を呟く。
「私たち吸血鬼は、日の光を浴びると死んでしまうの。何度も言っているでしょう?」
そんなわがままをなだめるように、母は今日も同じように説明をする。
「じゃあ、日が出ていない時ならいいんじゃないの?」
「......駄目よ」
昨日までは、納得していたこの説明が急に通じなくなったことに賢くなった娘を少し誇らしく感じる反面、それでも娘を外へ行かせるわけにはいかないので、とりあえず否定する。
「どうして?」
母としては、絶対に知られるわけにはいかないのだ。この世界での吸血鬼への対応を......
「ねぇ、どうして?」
こんな無垢な子供が受け入れられるようなことでは決してない。吸血鬼ということを知られれば、例えこともであろうと無条件で殺されてしまう。そんな現実は。
だから、と母は決心する。娘は、絶対に守り抜いてみせると。だって、愛する夫が命を張って守り抜いた大切な娘なのだから。そして、もう二度と家族を失う苦しみを味わいたくはないから。
「魔物が出てきて危ないからだよ」
「......そうなの?」
「うん。そうだよ」
母は、この後例え厳しい現実だとしても、娘に伝えなかったことを後悔することになる。
~
「......あれ?」
目を覚ました時、隣で寝ているはずの娘の姿がないことに気づく。
「まさか......」
そして、すぐに一つの考えにたどり着き、急いで家を飛び出すと、何やら近くの村が騒がしかった。
「......待っていてすぐ行くから!!」
そして、一切吸血鬼ということを隠さずに、約1キロの道のり全力で翼を使い村に向かう。時間にして10秒程度。
「どうして、どうして?私は何もしていないよ。どうしてこんなことを......」
そう呟く娘に振りかざさを刃を身を犠牲にして防ぐ。
「お母さんっ!!」
「外に出たら駄目ってあれだけ行ったのに......」
「なんだ!?こいつの母親か?」
「ちょうどいいだろう。こいつはもう瀕死だ」
そんな話をして〝村人”たちは、二人の吸血鬼に向けて再び刃を振りかざした。
書込監視保安委員長、後は任せたw