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ラスト・ヒーローー 世界を変える者 ー

作者: 土屋 翔


俺は部屋のカーテンを開け、眩しい朝一番の日光を身体に浴びる。パンツ一丁で今日も寝ていたことに気づいた俺は、すぐに三段式のタンスから私服に着替える。


まず一番上の段から下着のシャツと長袖を一枚ずつ、真ん中の段からズボン類を一枚、そして一番下の段から靴下を取り出す。


俺の着る服はいつも格安販売してある衣類ばかりだ。だから派手過ぎなくて、着心地もいい物を選んでいる。そして基本は柄などどうでもいい。機能性にこだわるのか俺スタイルだ。


着替え終わった俺は部屋を出て、隣の部屋であるキッチンと食事場へと向かった。冷蔵庫を漁るが特に何かあるわけでもなく、プレーンヨーグルトとラップで包んだ昨日の夕食、それと納豆と牛乳とパックに3つ残っている卵だけだった。


そういえばここ最近買い物に行っていなかった気がするなぁ。今日こそは買い物に行かなくては夕食は抜きになってしまう。


俺はとりあえず牛乳パックを取り出し、透明のガラス製コップに半分程注ぎ込み、それを飲み干す。喉に伝わる冷たい液体を食道に通し、胃袋に沈んでいくのを伝わった。


俺は、今日も行きたくもない仕事に行かなければならない。俺は今いる飲食店で2年近くも働いているが、2年間ずっと楽しくない日々だ。


もともとそこの仕事は大学4年の、いわゆる『就活』とやらで1年間働くところがなく、結局ブラックに近いと言われている飲食店に勤務することになった。ここしかなかった訳ではないが、もう就職なんてどこでもいいと考えだし、結局目をつけてくれたのが今働いている飲食店だった。


俺は仕事の支度をし、家の家具を収納できるところへ収納させ、部屋の電気が全部消えているかどうか確認した後、家を出た。鍵をきっちり締めてため息を漏らしながらも、車の車庫へと向かった。


俺の乗っている車は普通の軽自動車で、別に最新モデルとかではない。車にそもそも興味がなかった俺は軽自動車ならなんでもよかった。そしてこの車を選び今も愛用している。


さて、今日も嫌な時間を過ごすための日がスタートする。


俺は車のエンジンをかけて、玄関を出て行くとまず初めによく通る信号が赤だったため停車する。


何もなくつまらない時間を過ごしながら、青信号に切り替わるのを待った。ハンドルに軽く手を置いてずっと信号と睨めっこをする中、信号の奥に見える上空から何かが飛来してくるのが俺の視界に捉えた。


『あん?なんだあれ?』


俺がそう言うとこっちに段々とそれが近づいて来るのが見える。巨大な隕石のように思えるが、何か形が歪な気がする。何か平べったく、長細い物体だった。


『えっ、えっ!ちょっと!嘘だろ』


明らかに俺の方へと飛んできている。俺は軽自動車から急いで降車し、その場を離れようとしたその時だった。


『貴方の手でこの世界を変えて見せてください。貴方の力で』


誰かが俺に向かって言っている気がした。


すると俺の前方にもあの歪な物体が飛来してきたのが見えた。


『貴方の力でこの世界を変えて下さい』


その声は女の声でさっきと同じ人物と思われる。一体誰なんだ?


俺はとりあえず何振り構わずその場を逃げる。なぜか両方の物体が俺の方に向かっている気がする。


『もしかして、俺の方に来てる!?』


俺は逃げられないと思い、足を止めた。


もうここで死ぬ。そう思った矢先だった。


『貴方の手で世界を変えて!貴方が唯一生き残りの英雄。コウスケ!』


今誰か俺の名前を呼んだ気がした。俺の名前をなぜ知っている。


俺は上空を見上げた。物体が前方後方に飛来してくる。俺は手で顔を隠すように身構えた。

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