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鉄の勇者の英雄憚

作者: ある国の絵本作家

ある男がいました。

その男は、鉄を生み出すことのできるいわゆる異能と呼ばれる力を持っていました。

男は、その力を人の為、国の為に使うと決めました。

男は騎士になりました。それは拙い剣でした。しかし男は誰よりも優しい剣でした。

主は死に、国も滅びました。

男の住む国は、とても弱く土地と力を欲した隣国によって踏み潰されました。

その頃、男は死にかけていました。男は自らの力で血を造りだしなんとかに一命を取りとめました。

男は義理堅く、亡き主の仇を討つと決意しました。

男は体の半分が鉄になっていました。血を止めるためそうするしかありませんでした。

男は仇に一太刀いれるべく、暗殺の技術を学びました。そうやっているうちに十年が過ぎ、仇である隣国の王が死にました。

病死でした。

男はなんの為に生きているのか分からなくなりました。

男は病気の女を嫁に取りました。男にはもう人を愛することしか生きる意味がありませんでした。

手紙が届きました。

どうやら昔の主の息子が生き残っており、国を建てようとしているらしいのです。

男は悩みました。

女が死にました。女は最期にあなたが生きたいように生きて、と言葉を残しました。

男は再び騎士になりました。

戦争が始まりました。

あの隣国との独立戦争です。

男は最強でした。

敵を薙ぎ倒し、切り捨てては奥へ奥へと進みました。

光が降り注ぎました。

頑丈な鉄の男以外周りにいた、敵味方全てが燃え尽きました。

男はそれでも進みました。

城の中にいたのは、王でした。

あの王です。

王は、月と太陽を操り、心を読むことが出来ました。

男は問いました。

私の心は今どうなっている?壊れているのか?

王は答えます。

どうもなっておらん と

男は自分が鉄の心を持っていることに気が付きました。

同時に王を討つには心がいらないということにも。

男は心を鉄の殻に閉じ込めました。男はただ王を討つ機械になりました。

王は憤慨しました。

人に心がなくてどうする。心がないのならそれはもう化け物だ。 と

死闘の末、男は王を討ちとりました。

こうして私たちの国が生まれたのです。

あの鉄の勇者は戦いの後安心したように、凱旋もせず眠りつきました。

今、彼は国が一望できる場所で、静かに見守っていることでしょう。


おしまい


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