過去の記憶を拾い上げる話
教室の窓際の席、温かくて学校にいる感覚すらなくなるほどの心地よさそこでいつものように過ごしていた。授業終りのチャイムが鳴る。知り合いの友人Aが話しかけてくるこいつは真っすぐでいいやつなんだが、やたらと影響されやすくにわかの癖にまるですべてを知ってますといわんばかりの口調で話してくる。そんなとこが嫌いだ
「...って話きいてんのかよ」
聞きとれたのはここだけいつものように返す。
「おまえってやっぱりセンスあるよな」
友人Aはにやりと笑ってこういった。
「だろ?」
「ところでさ知り合いから聞いたんだけど、とんでもなくやばい店があるらしいぜ、気になるだろおまえもやっぱりとんでもなくやばい店にはさすがに」
...とんでもなくやばい店だと、とんでもなくとついてるからにはとんでもないプレイ、普通のえっちなビデオではなくとんでもないビデオ。これは紛れもなくとんでもなくやばい店だ
「へーとんでもなくやばい店か興味がなくはないな」
興味しんしんすぎるといままでの自分のキャラが台無しだ、いままで通りスマートでかっこいい自分であれ。
「ん?おまえでもきになることがあるんだな、じゃあ今日実際にいってみっか!」
6限が終わり生徒が一斉に帰宅する、いつも通り帰宅しようとしたらまさかの雨仕方ないから今回も傘パクする、この学校ではよく傘パクが行われる。各々が傘パクしまくるから大体の人間がさしてる傘は自分のものではなく他人の物だ、新品の傘を三回取られた時自分は傘をもってくることをやめた。
自分なんかまだましなほうだ、クラスの大臣の息子Aくんの傘は大人気だ、どうみても高級そうな傘は
みんなの標的になった、クラスの傘立ての中のほぼ全部がAくんの傘のときは正直笑ってしまった。
傘を適当に選んで外に出た、校門に友人Aがまっていた。
「だいぶまった?」
「まったといえばまったけど、いうほどでもないかな」
「どんなとこにあるんだ?そのとんでもなくやばい店は?」
「ん?市街地だよ街中、とんでもなくやばい店が危ない場所にあるとは限らないだろ?」
ふーんそんな店あったか?と思いながら歩いていたらいつの間にか見慣れた場所に着いていた。
「ここだって話だったけど...」
「それっぽい店なんてないけどな」といい終ろうとした瞬間視界にノイズが走る。
「ん?なんか今あった気がしたんだけど...?」
あった気がするだけで何かを見たわけでもないでも確かになにかあった”気がした”
もう一度辺りを見回す見慣れたパチンコ店見慣れたゲーセン見慣れた学習塾。ん?またノイズがはしる。
ノイズがはしった場所に意識を集中させる、大きなビルとビルの間、だんだんノイズが弱まってきたと思ったら突然いかにもいかにもな店、多分これがとんでもなくやばい店なんだと無意識で理解した。
友人なんて視界に入らない気が付くと自分はとんでもなくやばい店の中に入っていた。
中はいかにもな髑髏やコウモリの剥製があったでもそんなものなんてどうでもいい自分の意識は奥の扉にだけ集中していた無我夢中で扉を開いて中に入ったら一人の老婆がいた。
いかにもだぁと思いながら自分はいかにもな女性の前にいた。
謎の勇気が発動してしまい、老婆に話しかけた。
「ここがとんでもなくやばい店で、あってますよね?」
老婆は言葉を発することなく頷く
「店というからにはそれ相応の品物があるはずですよね?」というと突然いくつかの物を机の上に置いた
顔は暗くて見えないぎりぎり認識できるのは口元だけ、口元が動いた。
「...明日の天気がわかる手鏡、次回の小テストの結果を教えてくれるケータイ、そして6時間だけ物体の一番ゆかりのある時間にとべることができる指輪」
自分野倉総一郎には唯一の欠点というか、人にはないものがあった。大体の人が持っているものそれは、
母親の記憶である、
自分が小さいころに亡くなってしまった母親の記憶だ、自分の母親の話はよく祖母から聞いている正直話から聞く母親の印象は最悪だ、たくさんの人に聞いた、いとこの母親や親せきのおじちゃん、みんなあまり話したがらないし祖母の話に近い話をする。
父親は全く話さない無口な父親が母親の話をするともっと無口になるあまりいい顔はしない。
でも、自分が小さいころに見たあの母親の笑顔、どうしても話の通りの人だとは思えなかった、いや信じたくないだけかもしれない自分の母親が”あんなこと”をしてしまった人物だってことを。
この話は世界を救ったり過去を変えて大切なひとを救ったりする話ではなく、
ただ過去を見に行く話です。