何故私の正体を!
前回のあらすじ
クルーウが来た!
「雷撃!」
「これで、四人!」
「ぐっ!」
次々と生徒達を気絶させていくクルーウ。
「次は魔法使いのお爺さん!氷結散弾!」
「そう簡単にはやられんよ!防護!」
「残念!破壊!これで終わり·····」
「私を忘れないでくれるかしら!」
クルーウの後ろから切りかかる九条先輩。しかし、それは、ひらりと避けられる。
「睡眠」
魔法を掛けられ気絶するフルアさん。
「残り、三人か·····」
私たちの方に向くクルーウ。
「君は関係ないはずなんだけどなぁ。ねぇ、白帝さん?」
「·····気づいていたのか」
「まあ、新参とはいえ八柱の一人だしね。当然さ」
「や、八柱!?何でそんな大物が此処に!?」
八柱って言ったら、世界の色々なことを決める超大物だった筈だ。そんな人····ん?人か?まあ、いいや!何でここにいるのだろう。
「まあ、白帝ともあろうお方なら分かるよね?勝てないって事が」
「確かに勝てないだろうな。しかし、引く理由にはならんよ!【獣化】!」
「全く、君はもう少し賢いと思ったんだけど·····」
「私も微力ながら助太刀するわ」
『おお、感謝します』
「わ、私も!」
『ありがとうございます。では、なるべく死なないようにして下さい。時間が稼げれば私たちの勝ちです!』
時間が稼げれば勝ち?援軍でも来るのだろうか?
『では、行きます』
「友香は援護をお願い!」
九条先輩と白帝さんはクルーウに向かって両サイドから攻撃を仕掛けるも、全て直前にクルーウの持つ短剣に打ち払われる。
「はあ、なるべく手荒な事はしたくないんだけどなぁ」
「喋る暇があると思ってるのかしらっ!」
九条先輩の死角からの首を狙った一撃はすぐさま短剣で打ち払われる。
「弱い!弱いよ!勇者と白帝さん!そろそろアイツにバレちゃいそうだから、終わらせることにするよ!」
『そう簡単に行くと思っているのか!直ぐにその喉元噛み砕いてやろう!』
「無理だよ。君はもう直ぐ死ぬんだからさ」
『抜かせっ!?』
直後クルーウの身体が消えた。そして、白帝さんが何かに吹き飛ばされた。
『かはっ』
地面に叩き付けられ、そのまま意識を失った。
「次は君だよ」
「くっ!」
見えない斬撃を九条先輩はギリギリ防いだ。何が起きてるのかさっぱり分からない。
しかし、
「ぐっ!」
徐々に傷跡が増えていき、やがて大量の血を流し地面に倒れた。
「九条先輩!」
「·····友香。逃げ、ろ·····」
「嫌です!嫌!嫌!嫌!回復、回復、回復!」
血を止めようと治療するも、中々傷が塞がらない。
「これで、君を殺せば仕事は終わりだ。さあ、大人しく投降しなよ」
嫌。
「どうせ、君の友人は助からない。向こうで会うと良いよ」
死にたくない。
「助けなんて来ない。君の人生は此処で終わりさ」
助けて。
いつも助けてくれる、優しくて、強くて、面白い、私の大好きな人はここにはいない。
「さあ、早く」
どんどん九条先輩の血が流れていく。血が止まらない。九条先輩を助けられない。·····誰も私達を助けてくれない。
「·····時間切れだよ」
クルーウが私に向かって、短剣を振り上げる。
思わず口から助けの声が出てしまう。
「助けて、零先輩·····」
「ああ、助ける」
轟音。
「くっ!なんだ!?」
クルーウが吹き飛ばされる。
そして、私の目の前には居ないはずのあの人がいた。
「悪いな、友香。ちょっと遅くなっちまった。でも、安心しろ。今、助ける」
私の好きな人はそんなことを言いながら私の頭を撫でにっこり笑った。
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