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二章 勇気のない勇者は要らない

前回のあらすじ

何かドゴンッて音がした!語彙力どこいった!

「いやー、長期飛行は疲れるねー」


 大きなクレーターの中心にいるのは一人の少年。しかし、子供の姿をしているのにも関わらず、その身には計り知れないほどの邪気を纏っている。


 フルアは魔法の展開を初め、何時でも排除出来るように。


 白夜はただ距離を取り、何があっても対処できるように。


 レックスは、相手が魔法を唱えた場合【乱魔】の魔法をすぐに発動出来るように。


 ギルムとカルマとシェラは杖を構え、自身の持つ最高威力の魔法を何時でも放てるように。


 九条は刀を構え、その少年から目を切らず、ひたすら集中して相手を見ている。


 私は相手のとるであろう行動を知るため()()()を発動しようとする。


「ん?ああ、そうだ。仕事はしなくちゃね」


 何かを思い出したかのようにこちらに向く謎の人物。


 あまりに無造作に歩いてくる脅威に、瞬時にこの生物の危険さを感じたメンバーが硬直する。


 隙だらけの筈なのに、攻撃が当てれそうにない感覚。幾多の魔法を持っていても、優れた身体能力があっても、ずば抜けた剣技があっても、()()()()()()()()があっても、根本的な能力に差があれば意味は無い。


 例えるなら、生まれて間もない赤子と成長した大人。それ程までの力の差がある。そう感じた。


 そして戦闘態勢の面々を目を細めて見て、こう言った。


「確かお仕事は勇者を殺せ。だったかな?」


「「「ッ!!!」」」


 やはり、魔王軍関係者。そして、これ程までの実力の持ち主。


「ああ、自己紹介が遅れたね。僕は魔王軍幹部クルーウだよ」


 幹部。それは、魔王軍の中でも一際強いものにしか与えられない役職。


「で、聞きたいんだけど勇者って誰?」


 そういうと共にとてつもない威圧を浴びせてくる、クルーウ。その威圧に、観客席にいた殆どの生徒が腰を抜かした。


「あ、言わなければそこにいる一般人を殺していくから。ちゃんと勇者が出てきたら、逃がしてあげる」


 その言葉に若干安堵の息を吐く一般生徒達。


「じゃあ、十秒数えるよ?それまでに出てこなかったら、怪しい奴らは皆殺しだ」


 私と九条先輩は顔を見合わせ頷いた。


「じゃあ、数える前にもう一度聞くよ?勇者は誰?」


「「私です」」


 その声がコート内に響き渡る。その言葉を聞いたクルーウは笑顔で満足そうに頷いた。


「おお!勇気があるね。殺されると分かっていて出てくる勇気!流石勇者だ!」

 

 しかし、次の瞬間彼の目は冷えきった様な目に変わった。


 そして、


「【破壊(デストロイ)】!」


 一言だけ、そう唱えた。


「ぐぎゃぁ!俺の腕!俺の腕が!」

 

「【破壊】!【破壊】!【破壊】!【破壊】!」


 彼がそう唱えるとともに、次々と試合に出場していた五人勇者達の手がぐちゃぐちゃに潰れていく。


「ねぇ。正直に出てきた勇気ある勇者達を心の中で蔑むのはよくないなぁ。まだ、観客席に残って、必死に勇気を振り絞ろうとしている人たちなら見逃がしてあげようと思ってたんだけど?馬鹿にするような勇者は()()()要らないや」


「どういこと·····」


 だ!という前に彼等の頭は同時に潰された。周りには、脳の汁がと血液が飛び散り、粉々になった頭蓋骨が散乱した。


 世界を救う筈の勇者は呆気なく敗北をし、死亡した。


「き、きゃああああああああ!!!」


 闘技場内に女子生徒の悲鳴が上がった。


「あ〜あ。仲間を蔑ろにするからそうなるんだよ。当然の結果さ」


「あ!彼女達以外は逃げて良いよ?·····死にたいなら別だけど」


 その言葉を聞き、大慌てで出ていく観客席の生徒達。


 全ての生徒が出て行くと、改めてこちらを向くクルーウ。


「おや?君たちは逃げなくていいのかい?」


 クルーウがそういう先には殺された五人の対戦相手と一人の老師がいた。


「ここで逃げてちゃ先生に顔向けできないぜ!」


「先生のお仕置きはきついからねー」

 

「せめて、先生が来るまでの足止めぐらいは、やりましょうか·····」


「ふおっ、ふおっ、ふおっ。孫が残るのに逃げ出す院長がおるまいて」


 レックス、カルマ、ギルムの順にそんな事を言う。それに乗っかる、老師であるフルア。


「先生が来るまで耐えれば、勝ち·····」


「主様以外に背を向ける訳には行きませんからね」


 どうやら、彼女等もやる気らしい。しかし、それを九条先輩が止めようとする。


「貴方達は関係ないでしょう!早く逃げなさい!」


「そうもいかねーんだよ、勇者様。俺達が逃げれば、あんた達が死ぬ確率は増えるんだ。俺は、自分のせいで人が死ぬなんて真っ平ごめんだ」


「後は、彼のお仕置きが怖いからかの?」


「爺ちゃん。あれはお仕置きじゃねぇ。一種の拷問だ·····」


「「「それな」」」


 何を言っても無駄だと分かったのか、九条先輩も諦めたように溜息をつく。


「ん?作戦会議は終わりかな?じゃあ、そろそろ申し訳ないけど殺させてもらうよ!!!」


 そう言うと、クルーウは魔法の詠唱を始めた!

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最近、色々と忙しいのです。


書けたら頑張って、すぐに更新しますので、また見てください!

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