二章 不穏なる気配
前回のあらすじ
やっとまともな戦いが見れた!
「ん?おかしいな·····」
昼ご飯を食べる為、控え室に戻る途中で、俺は立ち止まり、周りを見渡した。
「先生、昼飯行かないのー?」
カルマが俺の方を振り返り、そう言った。
「ああ、ごめん。先に戻って食べておいて」
「先生、何処かに行くんですか?」
ギルムがそう聞いてくる。
「ああ、ちょっと嫌な気配がしたから、少し外を見てくるよ。試合が始まる前には戻って来るから」
「ん。行ってらっしゃい」
「ああ、行ってくる」
俺はそう言うと嫌な気配の原因を探るため、外に走り出した。
闘技場から出て、塔に登る。
「さあ、【遠視】っと·····」
北側は異常なし。東側も異常なし。南側も異常なし。西側は·····異常ありだ。うへぇ。何か、うじゃうじゃいるんだけど。
西の空は、緑色の生き物に埋め尽くされていた。
うん、恐らくワイバーンだろう。
「これは、流石に多すぎないか?」
·····距離は大体、十キロ位で、敵の数は軽く四百は超える。
「休憩が終わる前に、サクッと狩りますか·····」
俺は、ワイバーンの群れのいる方へ全速力で突っ込んだ!
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「異常ですね」
「確かに」
「私たちは仮にも勇者ですよ?慢心しているとは言え、あそこまで一方的に負ける事なんて、まず有り得ません」
勝ってくれたのは嬉しい。嬉しいのだが、明らかに相手選手の強さは異常だ。
「しかも、私が事前に得た情報だと、相手選手はもっと弱かった筈です」
少なくとも、二週間前に得た確かな情報だ。
「なら、何か魔道具の力で強くなっていると?」
「いえ、それはあり得ません。私が見た限り、そんな物は装備していませんでした」
「なら、あの強さの秘密は何だと思う?」
九条先輩がそう聞いてくる。
彼等の強さには、必ず何か秘密がある。
一つ目の可能性は魔道具だが、その可能性はさっき否定したので、除外する。
二つ目の可能性は、ドーピング等をして、体を酷使している場合。しかし、これも可能性は極めて低い。何故なら、この世界のドーピングは、使用後僅か五分で死に至る程強力な副作用がある物ばかりだからだ。
しかし、相手選手は現在もきっちり生きているので、これも除外。
三つ目は、彼等がこの二週間で急成長した場合だ。二週間でここまで成長するのは不可能に近いが、それをチラつかせる怪しい人物がいるのだ。
「新しく教師になったらしい、銀級冒険者が関与している可能性が高いですね」
「そうか·····」
まあ、何にせよ今は勝ってくれて全然良いし、これから自分たちの脅威にならなければ、さほど問題では無い。
「ああ、そうだ。一応思ったことを言っておこと思う」
「何ですか?」
「相手の戦い方が師匠の戦い方に近い。偶然だと思うがな」
「まあ、世界は広いですし。何処かの誰かさんが似たような戦い方を編み出したんでしょう」
うん。これは、きっと単なる偶然だ。私たちには関係ない筈だ。
そう思って一息つくと、
ドゴンッ!!!と闘技場内から音が聞こえた。
「何だ!」
「取り敢えず、行きましょう!」
私は九条先輩とともに闘技場内へ急いだ。
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「それにしても先生遅いね」
「どうせ、どっかで知らず知らずの内に女の人惚れさせてんじゃねぇか?」
「「「「それだ!」」」」
レックス以外の声がハモる。ここに、彼がいれば全力で否定しただろう。
「ん?何か揺れてねぇか?」
レックスがそう言った。机の上のコップを見ると確かにカタカタと震えていた。
「何だろう?魔力災害の余波とかかな?」
「いや、それにしたら、振動が大きすぎるよ」
カルマの意見を否定するギルム。
「何なんだ?これ·····」
ドゴンッ!!!
レックスの言葉が大きな音に遮られる。
「外ですね·····」
白夜がそう言うと、レックスは勢いよく、控え室を飛び出した!
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