二章 ねぇ、帰らせてくんない?
前回のあらすじ
人攫いから女の人達を助けた。
結果から言うと、ぶっ倒れた。
あの人たちだけを街に飛ばしたのは、単純に見張りに気付かれるリスクを避けるためだが、あの人数は多過ぎた。俺も転移をしようと思ったのだが、出来なかったのだ。
だから、【闇魔法】を使い最低限の魔力で見張りに気付かれないように通り過ぎた。
しかし、もう魔力も精神も限界だった。初めて人を殺したのだ。幸い、直接手を下したのは親玉だけだったのだが、それでも、嫌な感触は手に残っている。
俺は、道端で倒れた。まあ、気絶した訳では無かったので、念話で白夜を呼び出した。
助けてー、白夜ー。
心の中でそう叫ぶ。
直後。
ドドドドドド!
『主様ー!ご無事ですか!』
「いやー、魔力切れで倒れちゃってな?俺ちょっと寝るから見張りた、の、む・・・」
俺は、白夜のもふもふに埋もれ眠りに着いた。
***********************
あれ?何か頭の部分が柔らかいな。そっか、俺確か白夜に埋もれながらて寝てたんだっけ?
しかし、そこで違和感に気付く。零、圧倒的、違和感!
これは、もふもふな白夜じゃ無い!人肌だ!
その答えを抱くと同時にある疑問も思い浮かぶ。じゃあ、これ誰?
俺は、チラッと目を開けて確認する。
白い猫耳の美女が俺に膝枕をしていた。・・・誰だこいつ?
俺は、足に力を入れ一瞬で起き上がり距離をとる。そして、言い放つ。
「誰だよ!おまえ!」
すると白髪の美女は、
「へ?」
と間抜けな声を出した。しかし、直ぐに納得の言った顔をしてこう言った。
「そう言えばこの姿を見せるのは初めてでしたね。主様」
主様?その呼び方はもしかして・・・
「白夜!?白夜なのか?」
「はい。白夜ですよ?」
マジか。俺は、こんな美女と毎晩布団で寝てたのか?そして、こんな美女を枕にしてたのか?
くそっ!何でもっと早く気づけなかったんだよおおおお!
俺が地面をダンダンと叩く。その様子を見てオロオロとする白夜。
「あの、主様?」
「ああ、ごめん。街に戻ろっか。あ!後これから戦闘する時以外はその格好でね」
「?何でかは分かりませんが、取り敢えず了解しました」
首を傾げるものの了承する白夜。
よしっ!これで、異世界に来てするべきことの一つは達成だ!
獣耳美女を連れて街を自慢げに歩く。しかも、強いのでチンピラに気をつける必要も無い。何という素晴らしい獣耳美女何だろう!
ああ!神はここにいたのだ!まあ、俺から見ての美女ランキング一位はあの、パーティーの時に俺を突き飛ばした子が一番何だけどな?
因みに二位はアリス。三位は白夜。四位は日野、友香、九条先輩。そして、五位は御剣だ!
え、何?御剣は男だからダメとか言うのか?あの可愛さなら入らないとおかしい!男だからとか関係ない!可愛いものは可愛い!以上!
「じゃあ、帰るか」
俺は、人型の白夜と共に街へ帰って行った
*******************
「帰ってきた・・・」
俺は、深いため息とともにそういった。もう、期限が切れるまで宿屋に引き篭ろうかな・・・。まあ、今日は取り敢えず帰って寝よう。
そう思い俺は、白夜に影の中に入って貰い宿屋に帰ろうとした。
しかし、直後。
ウゥーー!ウゥーー!とサイレンの音が鳴り響く。
『只今、大規模なスタンピードが発生し街に接近中!冒険者の皆さんは直ぐにギルドに来てください』
そして、音声がブチッと切れる。そして、俺は、こう思った。
マジか・・・、と。
*****************
ギルド内にはたくさんの冒険者が集まっている。いつもの変態感は微塵もない。
「野郎ども!聞いたか!大規模なスタンピードが起きて俺達の街に押し寄せてきているらしい!」
サリバが大きな声で活を入れる。
「いいか。俺らがしくじれば街のヤツらが傷つく!」
おお!ここで感動的な演説が、
「それは、すなわち!この街にいる幼児達が傷つくということだ!」
始まらないよねー!見事に俺の期待を裏切るサリバ。概ね予想通りだ。
「お前らはそれが許せるか!!!」
「「「許せない!!!」」」
大きな声で返事をする、冒険者達。
「それにね、若い男の子達も傷つくのよ?」
完全にオカマの冒険者が叫ぶ。
「そして、スタンピードの魔物の中にいるオークやゴブリンが私たちの食べていない、未成熟なお尻と言う果実を食べてしまうのよ!?許せる!?」
「「「許せない!!!」」」
そして、最後の活と言わんばかりの声で二人が叫ぶ。
「いいか?あの、幼児は(尻は)俺達(私たち)のものだ!!!」
「「「ウオオオオオオオオオオオオオ!!!」」」
叫ぶ冒険者達。
これ、ある意味スタンピードよりやばいんじゃ無いか?俺は、そう思わずにはいられなかった。
まあ、そんなこんなで大規模なスタンピードがスタートした。
・・・ねえ、帰らせてくんない?
俺は一人心の中でそう呟くのだった。
少しでも面白いと思ったら高評価とブックマーク貰えると作者の励みになります!
※誤字脱字会ったら教えて下さい!




