二章 類は友を呼ぶって本当だよな
前回のあらすじ
変態に捕まった。
父さん、母さん、そして妹よ。元気にしていますか?
ちなみに僕は今・・・
「どうして逃げたりしたんだ?」
「そうだぞ、いきなり逃げるなんて酷いじゃあないか」
裸の男達に椅子に縛られています。
・・・どういう状況?
俺はあの後、抵抗虚しく捕まり、その後ギルドまで運び込まれてそして、今椅子に縛られている、と。
「何で、縛るんですか?」
「だって、逃げるだろ」
服を着てくれれば逃げることは無いのだが・・・。
「服を着てくれれば逃げません」
「じゃあ、縛るしかないな」
何で!?服着れば良いだけじゃん!何でそれが、出来ないの!?
「何で、服を着ないんだよ!変態なのか?もしかして変態なのか!?もしかしなくても変態なのか!?」
俺が叫んでいると、
「おい!俺達が好きでこんな格好をしていると思うのか!」
ま、まさかやむを得ない状況で仕方なしに裸に・・・?
「ち、違うのか?」
「「「その通りだ!!!」」」
「変態じゃねぇか!!!」
俺が突っ込むと、
「違うぞ」
と言ってくる。
「じゃあ、何なんだよ!」
「俺達は・・・」
一体何者なんだ・・・。最後はまともな答えが来ることを願う。頼む。まともな回答カモン!
「俺達は・・・」
何なんだ、一体何者なんだ!
「「「ド変態だ!」」」
「駄目じゃねぇか!」
「まあ、冗談はこれぐらいにして」
金髪のガタイのいい男は立ち上がり、一枚の紙をを取ってきた。そして、後ろの男達によって俺の縄は解かれた。
「お前は冒険者登録をしに来たんだよな?」
「そうですけど・・・」
扉を開けてそこで何故か裸の変態が踊ってたら、逃げるだろ。例え目的があったとしてもだ。
「まあ、本来なら入るのに試験がいるんだが、お前の強さは大体わかったから合格にしておいてやる」
「いいんですか?」
「ああ。今お前を追いかけたやつらなら全員賛成だろう。じゃあ、ここに名前を書け」
俺は言われた通り紙に名前を書く。
「これでいいですか?」
男は紙を見たあと、ローブ姿の俺をちらりと見て、
「オーケーだ。おい!銀のプレート持ってこい!」
受付の女の人が銀色のプレートを金髪の男に渡す。そこに男が魔力を込めると、そこに俺の名前が刻印されていく。出来上がったプレートを俺の方に渡してくる。
「本来なら白級から始めるんだがお前の場合は二級飛ばしの銀級スタートだ」
「ありがとうございます」
何か同じ新人さんから妬まれそうだがまぁ、いっか。
「まあ、魔族の奴を野放しにしとくのも勿体ねぇしな」
「・・・気づいてたんですか?」
俺の問に男はニッコリと笑い、
「もちろんだ。ギルド総会長を舐めるんじゃねぇぜ」
ギルド総会長!?この変態が!?
「そんなに、驚くなよ。まあ、遅くなったが取り敢えず自己紹介からだな。俺の名前はサリバ。ギルド総会長のサリバだ。まあ、一番偉いやつだよ」
ガハハハハと、笑うサリバ。変態がギルド総会長でこの国は大丈夫なのか?
「今、この国は平気なのかとか思っただろ」
何故バレた!?
「大丈夫!帝王も変態だから!」
「何も良くねぇじゃん!」
俺は、思わず突っ込んだ。そして、しばらく裸の変態たちにツッコミ役をやらされる羽目になった。
「すみません。換金をしたいんですけど」
俺は面倒な役目が終わった後、受付嬢に話しかけていた。
「はい。かしこまりました。受付の利用は初めてですよね?」
俺は縦に顔を振る。その動作に受付嬢さんはにこやかに笑い、受付のサービスについて簡単に教えてくれた。因みに名前はマリーさんと言うらしい。
「では、換金素材とプレートをお渡し下さい」
俺はバッグから、魔石と鱗や牙、後は皮などを取り出した。
「っ。凄いですね。白金ランクの魔物を倒すなんて」
見ただけでわかるものなのかな?鑑定スキルでも持っているのだろうか?
「これを全て売ればいくらになりますか?」
マリーさんは素材を手に取り、素材の枚数を数え始めた。
「ワイバーンの魔石が二個と赤竜の魔石とキングスパイダーの魔石が一個ずつ。ワイバーの鱗が三十二個に赤竜の牙と鱗が十個と。随分とドロップがいいんですね?」
「ええ、まあ」
この世界のモンスターはアイテムをドロップするのだが、そのドロップ率は運の項目によって変わるらしい。
「えーと魔石で大金貨三枚で、素材の方は合計で大金貨八枚ですね。合計で白金貨一枚と大金貨一枚ですね。お支払いは金貨にしますか?」
「お願いします」
因みにこの世界てお金の単位は
銅貨十枚で銀貨一枚、銀貨十枚で金貨一枚、金貨十枚で大金貨一枚、大金貨十枚で白金貨一枚、白金貨十枚で聖金貨一枚と言う感じだ。だから、白金貨一枚と大金貨一枚を金貨にすると、金貨百十枚なのだ。
つまり俺はなかなかの小金持ちになったのだ。
そして俺はマリーさんからお金の入った袋を受け取り、ギルドを後にした。
今日は疲れたな。寝る必要は無いけど宿屋に行って早く休みたい。
「此処でいいか」
俺は、たまたま通りかかかった宿に入った。
「いらっしゃいませ!」
可愛い女の子が出迎えてくれた。
「一週間ほど泊まりたいんだけど値段どのくらいかな?」
すると女の子は、
「すみません。ちょっと待っててください。お母さーん」
しばらくするとこの子供と顔立ちの似た女の人が出てきた。
「はーい。あら、お客さんね。いらっしゃい。」
笑顔で挨拶をする美人さん。何かエロい。
「えーと、一週間ほど泊まりたいんですけど」
「朝食と夕食ありなら、銀貨五枚。要らないなら、銀貨三枚ね」
朝と夜はあった方が良いな。俺はしばらく考えた後、
「朝夕食事ありでお願いします」
「じゃあ、銀貨五枚ね。シュナ。案内してあげて」
その言葉に可愛らしい顔立ちの女の子は、
「はーい。じゃあ、付いてきてください」
俺はその言葉に従いシュナという女の子についていった。部屋に着くと、
「ここが、あなたの部屋です。何か問題があったら言いに来てください。あ、それと私のことは気軽にシュナと呼んでください」
「ああ、ありがとう。じゃあ、俺のことは零って呼んでくれ」
「はい。分かりましたレイさん!」
俺の言葉にシュナはニッコリと笑い、下に降りていった。
「疲れたぁー!」
俺は、ベッドに倒れ込むとしばらく両足をバタバタさせた。それにしても白夜が全然喋り掛けてこないけど、もしかして、寝てんのか?
「白夜起きてるか?」
俺は、自分の影に喋りかける。しばらく待つも返事がない・・・。やっぱり寝てるのかな?三日も寝ずに危険な森を通り過ぎてきたんだし、こうやってゆっくり寝るのも久しぶりだろう。ここは、ゆっくり寝かしておくか。
俺は、白夜が寝ているであろう自分の影から目を離した。そして、俺は改めて俺のすべきことをさっき露店で見つけたメモに記した。
一、強い人や魔物と戦い経験を積む。
二、金を稼ぎ、魔王軍相手に戦える戦力を集める。
三、ギルドの等級を白金級まで上げる。
四、国に帰る。
「こんな所かな?」
俺がメモを書き終えると、シュナが部屋の扉をノックした。
「レイさーん。夕ご飯が出来ましたよ」
「分かった、今行くよ」
俺は下の酒場へと夕ご飯を食べに行くことにした。
下の酒場はなかなか盛り上がっていた。多分殆どの人が冒険者だと思う。俺は席につき夕食を食べ始めた。夕食のメニューはパンとシチューだった。
俺はパンをシチューに付け一口食べる。う、美味い!この世界の料理は基本的には美味しいのだが、ここの料理はそれこそ王宮の料理の味に匹敵するぐらいだ。
俺は一人美味しい料理を黙々と食べ始める。黙々と料理を食べていると何かチャラチャラした感じの二人の冒険者が店に入ってきた。そして、空いている席が無いことを確認すると俺の方に歩いて来る。
これは、不味いな・・・。
「おい、そこの弱そうなお前。そこどけよ」
「どうせ白級か銅級とかだろ?そこの席は銀級以上の席だぜ」
・・・やっぱりか。予想通りこれは異世界テンプレの一つ「新人冒険者になったら何故かそれに絡んで来るチンピラ冒険者」だな。
どうしよう。まだ、いっぱい残ってるのに。俺はなるべく、この場を丸く収めるための解決策を考える。
選択肢一 無視する
選択肢二 銀級のプレートを見せつける
選択肢三 急いで食べる
一の場合何か余計めんどくさいことになりそうだから却下で、三はご飯をゆっくり味わえなくなるから却下だな。ということは、銀のプレートを見せつけるが正解だ!
「んっ!」
俺はパンを食べながら、男達に銀のプレートを見せ付ける。
「はっ。お前みたいな弱そうなのが銀級な訳あるかよ!どうせ捏造でもしたんだろ!いいから、さっさとどけ!」
男が椅子を蹴ってきた。その勢いが机にも行き床にパンが落ちる。俺は、ため息を付き席を立ち部屋に戻ろうとする。こんな奴らがいたんじゃ食事する気がなくなってしまう。
「ちょっと。酒場内で喧嘩はしないで下さい」
シュナが喧嘩を聞きつけ止めに来た。
「あーあ。レイさんパンが落ちちゃってるじゃ無いですか。お代わり要ります?」
その言葉に男が、
「おい!テメェ待てよ!そこは今から俺達が座るんだよ!」
その横暴っぷりにシュナが溜息をつき、
「冒険者だから、多少の騒ぎは仕方が無いと思いますけど、普通に静かにご飯を食べてる人の邪魔はしないで下さい。迷惑ですから」
その正論に、
「うるせぇ!邪魔だ!」
「きゃっ!」
シュナを突き飛ばす男。シュナは床に尻餅をついて倒れてしまう。
「ったく、てめぇがさっさと席を譲らねぇからこうなったんだぜ。」
そんなことを言う男に目もくれず俺は、シュナに駆け寄った。
「大丈夫か?」
「少しお尻が痛いですけど別に怪我はしてませんから大丈夫です」
俺はシュナに手を貸し立ち上がらせる。
「話を聞けよ!」
いきなり、殴りかかって来る二人組。はあ。やっぱりこうなるのか。
二人の攻撃を避けるとシュナに被害が及ぶかもしれないので却下だ。なら防御か迎撃だが、パンを落とされた恨みがあるので俺は迎撃を選択する。
殴りかかって来る一人の男の手を掴む。
「へ?」
掴まれると思っていなかったのだろう、男から間抜けな声が出た。しかし、次の瞬間
「いだっ!ちょっま、いだだだだ!!!」
男の声は、悲痛な声へと変わる。俺は男の骨が軋むほど力を入れた。男は自分の手を掴んでいる俺の手を剥がそうとするも力が余計に強くなっていく。そしてとうとう男は床にへたり込んだ。
その様子にもう片方の男も動きを止める。
「もう終わり?」
俺が向かって来ない方の男を煽ると、男は再び飛びかかってきた。俺はそいつのこめかみを掴み、アイアンクローを食らわした!
「ぎゃーーー!!!」
男が叫び声を上げるも気にせずもう片方の男も引きずり店外に連れ出す。
俺は男達を痛みで気絶させてから近くの路地裏に放り込んだ後、店に帰った。店に戻るとシュナが駆け寄ってきた。
「レイさん、怪我とかはないですか!?」
「平気だよ。じゃあ、静かになったしパンのお代わりを貰えるか?」
俺がそう言うと、シュナは笑顔でパンを持ってきてくれた。
そして、その後俺はご飯を食べ終わるとすぐさま自分の部屋に帰った。
そして、目を閉じ深い眠りについた。
少しでも面白いと思ったのなら、高評価とブックマークを貰えると作者の励みになります!
次は土曜日に投稿しようかな・・・。
※誤字脱字あったら教えてください!




