二章 食事も睡眠も必要ないハイブリッドな体です!
前回のあらすじ
白い大きな虎を仲間にして街を目指して森の中を走行中。
俺は、白夜に乗りながら森の中を移動する。現在の俺の格好は黒のローブに仮面という怪しげな格好だ。仮面はモンスターの素材を元に【万能者】で作ったものだ。
俺達は森の中を現在不眠不休で走っていた。そこで、ふと気になったのだが、白夜って食事とか必要なのか?
因みに俺は必要ない。出発してから、一日ほど立っているが特に問題は無いのだ。水もいらないし、食事も必要ない。ついでに睡眠も必要ないらしい。
魔族だから必要ないのか、魔王だから必要ないのかは分からないが、今の状況ではとても便利だ。
「なあ、お前って食事とか必要なのか?」
俺は途中で白夜に聞いてみると、
『我は必要としませんね。まあ、食べたくなったら食べることはありますが、上位魔族は必要ない者が多いです』
と答えた。つまりは、俺が飲まず食わずでいられるのは、魔王の体のおかげという訳だ。因みに、白夜には、俺が異世界からの勇者で、能力で転生して何故か魔王になったことは説明している。流石にこんな話を聞けば混乱するかと思ったのだが、
『流石、我が認めた主様です!』
何か普通に受け入れてくれた。まあ、魔王になったからと言って、特に問題は無い。いや、あると言えばあるのだが、基本的にこの世界で魔族はそこまで嫌われているということは無い。
悪い人間もいれば良い人間もいるように、いい魔族もいるのだから仲良くしようぜ!的な感じだ。まあ、差別する奴もいるらしいけど。
「確か、北の魔王が魔族に対する偏見を解くために奮闘したんだっけな・・・」
別に魔王だからといって、人を襲ったりする必要は無いのだ。まあ、基本的には北の魔王が封印されている状態で、俺は魔王です!
なんて言ったら、南の魔王に殺されそうだ。だから、基本的には、魔族であることを隠しつつ、国に帰るという方針で行こう。
『主様。街が見えてきましたよ!』
「じゃあ、ここからは歩くか・・・」
この俺の言葉に、
『えっ!!!』
ショックを受けた白夜。尻尾と耳が垂れ下がり、みるみるしょんぼりしていったのだ。仕方ないだろ?流石にその八柱?の一匹を連れて門番の前に行ったりしたら、大変なことになると思う。
「なるべく、目立つ訳には行かないんだ。分かってくれるか?」
『はい。了解しました・・・』
白夜はみるみる小さくなり、猫の姿になる。
目立てば、南の魔王にまだ俺が生きていると勘づかれるかもしれない。それだけは避けないといけない。
いくら、転生して強くなったと言っても、まだアスマディに勝てるかと聞かれると俺は素直に、分からないと言うだろう。それほどまでに幹部は別格だった。目に傷を負わせられたのは、相手が油断していたのと、唯一柔らかい部分だったからだろう。
勝てないことも無いがまだ魔王軍幹部と戦う実力はないと思って行動した方がいいのだ。慢心は最も危険なのだから。
「じゃあ行くか」
俺は白夜を肩に乗せ、門の所まで歩いた。
しばらく歩くと街についた。もちろん、門番がいたので門の前で止められたが、身分証を無くしたと言い、身分証を新たに発行してもらう事で、普通に街の中に入った。
「やっと付いたな・・・」
取り敢えず、宿屋に行く前にここに来るまでに狩った魔物の魔石と素材を売りに行かなければいけない。狩ったアイテムは【万能者】で作ったリュックに【時空魔法】で中に異空間を作り基本的に物を無限に詰め込めるマジックバックを作った。
因みにこの世界ではマジックバックは普通に錬金術で作れるそうだが、時空魔法を使える人は現代にはいないそうだ。歴史上では一人だけ使えた人がいたそうだが、本当に存在した人物かは分からないため、時空魔法の可能性は未知数だ。
まあ、何はともあれギルド登録をして素材を売って、それでしばらくは暮らすとするか。
俺は街の人にギルドの場所を聞きつつ、街の中をふらふらと歩きギルドに付いた。
「ここか?」
『主様。ギルドに入る際は覚悟を持って入って下さい・・・』
野蛮な冒険者に絡まれるからか?そうなったら、幻影魔法で眠らせよう。幻影魔法もすごく便利で催眠術っぽい何かも出来たりするのだ。幻も作れるし、催眠術で相手を眠らせたり操ったり出来るしこの魔法も有用性が高い。
そんなことよりギルドに入ろう。流石に扉の前でずっとウロウロしてたら、流石に目立つ。いや、黒のローブで仮面を被ってるから目立ってるのは元々だろうな・・・。
「じゃあ、行くか!」
俺は勢いよくギルドの扉を開けた!
「「「ウオオオオオオオオ!!!」」」
そこには、裸の変態が酒を飲みながら踊っていた。
「し、失礼しました〜」
俺は流れるように扉を閉めた。
何だあれ!?変態じゃん!とにかく、あいつらが服を着て追いかけてくる前にここから逃げよう。換金は後回しだ。金のことなど考えていたからだろうか。俺が後ろから近づいてくる変態に気づかなかったのは・・・。
「「どこに行くんだ少年?」」
「ひぃ!」
俺は思わず情けない声を出した。だって、その二人はさっきまで部屋のど真ん中で踊っていた男だったからだ。どうやって出てきたんだ!?扉も空いてないし、窓も空いてない。そう言えば肩に乗っていたはずの白夜がいない。どこだ?
『我は影の中に入っています』
陰の中なんかに入れんのか!?突然の出来事で内心焦る中俺はジリジリと扉の方に追い詰められている。このままじゃやばいな・・・。
「大人しくギルドの中に入れよ少年!」
「そうだぜ。一緒に中で踊ろうぜ少年!」
じりじり寄ってくる変態たち。それを街の人たちは平然と見守っている。もしかして、この街の人たちも変な人たちばかりなのか?
「あの、逃がしてくれたりは?」
「「しないな」」
「ですよね〜」
俺はあわよくば普通に帰らしてくれるんじゃないかと思ったが無理そうだな・・・。ここは、俺の必殺で逃げるか・・・。
「あ!」
俺は空の方を指さす。
「「何だ?」」
男はそれに釣られて後ろに向く。今だ!!!
「うおおおおおおおお!」
俺は男たちの間をすり抜け、街の中を全力疾走した。
「やばいやばいやばい!」
俺は確認のため後ろを見ると、
「みんな捕まえろ!」
「「「おう!!!」」」
やはり、裸の変態が俺を大軍で追いかけて来ている。
足の速さは俺の方が速いのか、俺と変態たちの距離は徐々に離れていく。これなら、いける!俺は路地裏に入り、しばらく全力疾走する。そして、
「巻けたか?」
俺は少し広い路地裏で安堵の息を吐く。またもや、後ろに近づいてくる怪しい人影に気付くことなく・・・。
「「捕まえた〜!」」
「へ?」
俺が後ろに振り返るより早く俺は、男に縛られていた。
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