落ちこぼれたちの逆転談5
"残り2秒"
虎は走り終わっていた。
「よく頑張ったのぅ。お前がここまでやるとは思わなかったぞい」
「はぁはぁ、次は細胞活性の能力強化をしてくれるんですよね?」
「まだじゃ、小僧。明日からは、毎日腕立て、腹筋、スクワットを1000回ずつ、5セットやってもらうぞい」
「っざっけんじゃねぇ!いつになっても能力のトレーニングなんかしてくれねぇじゃねぇか!あんた本当は、細胞活性能力なんて使えねぇんじゃねぇのか??」
ふざけるなよ。人をもてあそびやがって。くそ!
「明日の朝ここにこい。模擬戦をしてやる」
「望むところだ、俺が勝ったら、ここからさっさと出させてもらうからな!」
あんな老いたじじい、いくら俺が能力レベルが低いからといって、負けるわけがないだろう。
今ごろみんなは体育祭の準備をしてるってのに。
先生は一体何を考えてるんだ。
~明朝~
「怖じけ付かずに来たようじゃの」
「誰が怖じけ付くって?昨日の夜、俺に負ける不安で眠れなかったのはてめぇじゃねぇのか?」
「まぁよい、始めるぞい」
「あぁいいぜ、やってやんよ!」
瞬間、奇襲をかける。老人の目に向け、手を繰り出す。
しかし、そこに老人はいない。
「なに!?」
「遅いのぅ。遅いのぅ。」
振り返るとそこに老人がいる。
「なかなかやるようだな。でもな、逃げてるだけじゃ勝てねぇんだぜ!じいさんよぉ!」
うっ...!なんだ...いまの?殴られたのか?くそ、全く見えねぇ。こいつ、とんでもない速さだ。
「どうした?もう終わりかの?」
「るっせぇ...」
くそ、なんとか一発、一発だけでも、いれてやる。
「くそぉおおお!」
走り出した俺は違和感に気づいた。
なんだ?これ?いつもより明らかに速く走っている。周りがどんどん過ぎていく。これなら!
「後ろとったぁぁぁあ!!!くらぇえええええ!?.....」
...バタ。
「勝負あったの」
くそ、こんなじじいに一発すらも、かませられないのか...!
「お主いつもより速く走れた感覚はなかったかの?」
っっっ!
「も、もしかして、走ることで細胞活性能力のトレーニングになっていたんですか!??」
「いや、違うわぃ、お主にはまず、基礎体力が足りんのじゃ。まずは、基礎体力をつけて、身体能力をあげることが強くなる近道じゃ」
そういうことだったのか。俺はいつもこうやって嫌なことから逃げてばかりだ。
「すいませんでした!!師匠、僕を、僕を強くしてください!」
「わかればいいのじゃ、よかろう。ちとわしの修行は辛いぞい?ついてこれるかの?」
「ついていきます!」
「ならいまから腕立て始め!」
「す、すこし休憩くださいよぉーー」
「さっさとやれぇい!」
たった一週間で成果が出たんだ!これから頑張ればもっと、もっと俺は強くなれる!
読んで頂きありがとうございました。次話もよろしくお願いいたします!




