繰り返し
くるくるくる
そう誰かが呟いた。
くるくるくる〜
また一人、そう呟く。
その呟きによってくるくると廻り出す、再び繰り返す。この世界を。
今日も一人、何時からかなんてもう覚えてない。永久、永遠にこの時間が続いている。
周りに僕の事を理解してくれる生物なんていない。そいつらを食って生きながらえる。
そんな生活。
生きている訳ではない。ただ存在しているだけ。
そんなただ続く日々の中君は現れた。ふと、突然。目の前に。
僕と同じような考えができ、理解してくれる存在。
それからはいつも君と一緒にいるようになった。
ある日、聞いてみた。
「君はどこから来たんだい?」
それに対して君はわからない、というように首を傾げた。君が言うには突然自分はそこにいたそうだ。
それ以前の記憶は全くない、ということだった。
まあ、彼女が今いることにはかわりない。
これからもずっと一緒にいられるだろうしどうでもいいと思った。
もう一人じゃない。
ある日、私は生まれた。生まれたという表現は正しくないかもしれない。
そこに現れた、といったほうがいいかもしれない。
それ以前の記憶なんてないし、私が何かもわからない。
そんな私の前には彼がいた。
彼には仲間がいなかったらしく、ずっと同じ人を探していたそうだ。
私はそれから彼としばらく一緒にいた。
そうしていてわかったことがある。
どうやらこの世界に彼以外に私と同じような生物はいないようだ。
彼はこの中、ずっと一人でいたのだろうか。このような生物しかいない場所に。
それからも私は唯一の理解者である彼と一緒にいた。
君が来てから世界が変わった。何もかもが楽しい。何もかもが変わった。すべてが彩られていた。
君がいるだけでこんなにも違うものなのか! この時間は終わることなく、永遠に続くだろう。
彼と暮らして、私がここに現れてからどれだけの時がたっただろうか。
私は彼がいるだけで毎日が充実していた。
しかし私には一つの疑問をあった。
彼はよく言う。私が来たおかげですべてが変わったと。何もかもが楽しくなったと。
では、私がいない一人だけの世界とは何なのだろうか。私は生まれてすぐ目の前に彼がいた。だから一人になった事は無い。
私は一人が何かを知りたくなった。
ある日突然全てが消えた。僕のまわりは暗闇に包まれた。
一体何があったんだろうか。君に呼びかけてみる。僕の声がこだまするだけで返事はない。
君は一体どこに消えてしまったんだろうか。
また僕は一人になってしまったんだろうか。
暗闇の中を探す、探す探す探す探す……
私はついに一人になった。そうついに一人になったのだ! 彼はもういない。
周りにいる生物も全く違うものに見える。全てが透き通って見える。
この何もかもが静かな世界。誰も私を邪魔する者はいない。
私だけがこの世界の全て。私以外何もかもが必要無い。
どうして彼はこんな素晴らしい事を私に隠していたんだろうか。
そうして私は一人になった。