忠告
次の日私は涙くんに薬を半分預かってもらった。
「え……半分もいいの?」
「うん、大丈夫だよ!」
最初は驚いてたけど、分かってくれた。
「俺が預かってるね。」
涙くんはい優しい人だ。
こんな私を大事にしてくれる。
「涙くん、ありがとう……」
転校生で、薬依存症で、みんなから嫌われてたのに。
涙くんは優しくしてくれる。
体育の時間、私は着替えて体育館に向かった。
「あ……男女……別々か。」
そう言えば女子とまだ友達になってないや……。
「のーえるちゃん!」
私より少しだけ背の高い女の子が声をかけてきた。
「あ……はい?」
「あたし愛咲鈴奈!よろしくね!」
「愛咲さん……宜しくお願いします。」
「鈴奈でいいよー?」
「あ、うん……。」
鈴奈ちゃんは何で私に話しかけて来たんだろう。
「ねぇねぇ昨日、西金寺さんに絡まれてたけど大丈夫だった?」
西金寺……あぁ、涙くんの幼なじみの。
「あー、うん。大丈夫だったよ。」
「あたしもさぁ涙と仲良くなったら絡まれて!まじ意味不~。」
他にも同じことされた人いるんだ……。
「西金寺さんっていつもあんななの?」
「そーだよー?もー嫌になっちゃう!」
「だよね……あはは……。」
何か、この人合わないかも……。
体育はバスケをやった。運動は出来る方だったから試合をやって余裕で勝てた。
体育が終わり、更衣室から教室に戻ろうとした時だった。
「あ、望琉ちゃんさっき言い忘れたけど、涙はみんなに優しいから勘違いしないようにね?」
そう言って鈴奈は走っていってしまった。
『みんなに優しいから勘違いしないようにね?』
……勘違い……か、そうだね。有り得そうだね。
一目惚れでいきなり付き合えるのかな。
内心ガッカリしたかもね。こいつキモい、って。
私は昨日涙くんに連れていかれた水道に来た。
制服のポケットから薬を取り出し、今は2錠にした。
「……あずけて良かったかも。」
薬を飲んでから思った。錠剤を噛むあの感覚と、薬を飲んだ後のスッキリ感、あれがたまらなく好き。
「……気持ち……収まれ……。」
いつも平均4~6錠飲んでいるから2錠じゃ飲んだ気になれない。
「……気持ち……収まれ……。」
飲みたい。けど、これ以上飲みたくない。
どうしよ……。