第二話 俺の友達
教室に着くとおはよーなどの通常通りの挨拶が交わされる。
俺だってクラスメイトに挨拶をする。
部活には入ってはいないがそれなりに顔は広いつもり。
何故かというと・・・、
「隼人、はよー。」
「ふっ、隼人よ。よくぞ、昨晩の満月の闇夜を乗り越えたな。」
一緒にいるメンバーが濃いからだ。
男子というのは基本的に仲のいい奴はいるが、クラス全員がそれなりに話した事がある。
というか、クラスで男子同士が嫌い合う。なんてことは滅多にない。
喧嘩はよくするが、それだって仲がいいもの同士だから起きることである。
まぁ、言いたいのは男子同士にしがらみは無いといっていいということだ。
でも、そんな中でも特に仲がいいのはこの二人。
立花 順 と 豪徳寺 守
順は団地が一緒で幼馴染。幼稚園の頃からの付き合いだ。
守は小5の時に引っ越してきてそれから一緒につるんでる。
まぁ、二人とも悪い奴ではないのだが如何せんキャラが濃すぎる。というより学校で知らない奴はいないんじゃないかという程の有名人。
順はチャラそうな見た目だがバスケ部、期待の大型ルーキーと言われている。実際三年の先輩にくい込んでレギュラーの座を勝ち取っている。ちなみにそれなりに顔もいい方だ。
守はPC部の主力メンバー。家がPC教室をやっていることが主な理由だが守は機械にめっぽう強い。PC部ゲーム作成や他の大会などにおいて、なくてはならない主力メンバーになっている。けれども、守はいわゆる厨二病というやつで中学に入ってからというもの常日頃からなにかしらおかしな言動をするようになってしまった。顔は順と同じかそれ以上いいので実にもったいないことをしているなぁ、と毎回思う。
そんなキャラの濃い奴らと一緒に生活をしていたら、嫌でも顔が広くなる。
でも、最初は南野 隼人としてではなく順や守と一緒にいる奴。ということで覚えられていることが多いのだが。
俺はキャラが普通より薄いと自分で思っている。
家庭科が小学校の時からオール5であること以外は本当に普通の男子中学生。
成績も普通、特にこれと言ったいい事や悪い事をした覚えはないし、どこにでもいる・・・、いやむしろ普通過ぎて他にはいないんじゃないかと思うぐらい普通過ぎる男子中学生。
毎日をどこかのほほんと過ごして青春を謳歌なんてものから非常に遠い中学生。それが俺、南野 隼人だ。