願わくば(大震災復興祈願詩)
*この詩は、自分の連作詩「ひどく哲学的で~」の中にも載せています。
タイトル、内容ともに同じです。
なぜ、2つの方法であげたかは、後書きに載せています。
僕とあなたの
憎しみでもなく怒りでもなく
ただ
哀しみのみを共有する
この関係を何と呼べばよいのだろう
目の前の絶望と
手からこぼれ落ちていく希望とが
胸に迫って
胸を押しつぶして
視界を奪い去った
叫び続ける声が
大地と混然一体となって
天に木魂しようとも
何も還らない
この景色を何と呼べばよいのだろう
霞むかすむ涙の向こうは
日差しに照らされた
容易ならざる未来
雨水を見送り
春を迎えるばかりの
この良き地を流し去った
大いなる力に私は懇願する
どうか喜びを
どうか安寧を
どうか幸福を
賜わせたまえ
ふと見上げた空から
秋霖がぽつりぽつりと落ちてきて
ガラス越しの喜雨の中
子らの傘は軽やかで
ふと見上げた空から
細雪がふわりふわりと落ちてきて
ガラス越しの粉雪の中
子らの笑い声は遠くへ遠くへ
願わくば善き日々よ、永遠に
自分は、東北からも遠く、全国的に見ても災害が少ないと言われている地域に住んでいます。
最近、宮城から移り住んできた人と知り合いになりました。その人は、阪神大震災も経験してきた人です。大事な人も亡くしています。
そんな人の話を聞いていると、自分の記憶が風化して言っていることに気づかされました。どこかで、自分の外の世界のことだと捉えていたことに愕然としました。
この詩で、自分達の世界のことだと思いだしてもらえれば、そしてもしも被災者の方が読んでくださったならば希望の影でも見えていただければ。
その目的を達成できているかはわかりませんが、少しでも多くの人に見ていただきたくて、前書きにあるように2つの方法で上げました。