幕間2
書きかけておいて、長いこと中断してすみませんでした。
画面の小さいスマホで、(自分としては)長い話を書くのに限界を感じて、ノートパソコン派に転向しました。
食事の後、うつらうつらし始めた実乃里を律は抱き上げ、彼女の部屋に運ぶと。
ベッドに寝かしつけ、そのままじっと、彼女の手を握っていた。
もしこのとき実乃里に意識があって、目を開けていたなら。いつか見たキラキラした光が律の掌に集まって、そこからゆっくりと実乃里の腕の方へ流れていくのが見えたことだろう。その時、彼が彼女に向けていた、真摯な目の色も。
律がリビングに戻ったとき、都はすでに食事の後片付けを終え。姪の部屋の方へ心配そうな視線を向けていた。
「どんな様子だった? またうなされたりはしてない?」
「そこは大丈夫。俺のハンドパワーで、エネルギーも補給しといたし」
「……それって、関係あるの?」
「大有り。補給すると、実乃里の表情が和らぐんだよな。やっぱ俺たち、相性がいいってことだよな」
緩んだ表情で言う律に、都の視線は冷たくなるが、彼は堪えた様子もない。
「ま、置いといて。やっぱ、都さんと組んで正解だったな。実乃里の身内で、一番動じないっていうか、芝居っ気だあるっていうか」
「……あなたの方こそ、大した役者だと思うわよ」
「うん? まあ、いいじゃないか。誤魔化してるところがあろうが、気持ちさえ本当ならな」
「……そう、なのかしら?」
今の喫緊の課題は、何よりもまず、母体である実乃里の情緒を安定させることだった。
出産に対してプラスのイメージを持たせ、前向きになってもらうこと。可能であれば、本人が子供の誕生を望んでくれるようになるのが、ベストだ。
加えて、本人にマレビトであることを自覚してもらい。かつ異能ーーできれば、念動力系の能力に接して、慣れてもらうこと。
何故ならば、彼女の中にいるのは、強力な念動力系の異能を持った子供であったから。
同族の≪監視者≫が感じた大きな力。それはーー同族の誰もが困惑させられたのだがーー、まだ誕生してもいない、実乃里の中の胎児によって放出されたものだった。
おそらくは無自覚に、母体である実乃里の持つ、生命を維持するためのエネルギーを奪いながら。