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石川パパンエッセイ集  作者: 石川パパン


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9/20

ホーチミンの屋台で、ベトナム人妻が「ビニール袋」で買ったもの

私が惹かれたのは、華やかな観光地でも、目を奪うような絶景でもない。


ベトナム、ホーチミンでの、ごくありふれた日常だ。


ホーチミンのアパートで食べるインスタント焼きそば、マクドナルドでの見慣れた光景、そして夜の公園でのささやかなデート。


国際結婚した私たちの何気ない日常の断片である。


特に日本人の私視点で印象的だったのは、食の風景だ。


マクドナルドのハンバーガーは、日本で食べるものとほとんど変わらない味。


でも、異国で同じ味に出会う不思議さ、そしてどこかホッとする感覚は、特別なものに感じられた。


一方で、ホーチミンの公園の屋台で買ったエビの辛い料理や、珍しい焼き卵といった現地の味。


料理をビニール袋に入れて持ち帰る、日本ではあまり見かけない習慣も、その国ならではの文化として新鮮に映った。


食べるものを通して、その街の息づかいや、人々の暮らしがじんわりと伝わってくる。


食は、単なる栄養補給ではなく、その街と自分を繋ぐ架け橋なのだと感じた。


夜の公園での時間は、賑やかな光景の中で、語り合いながら食事を楽しんだ。


特別な場所に行かずとも、日常の中にこそ幸せがあることを教えてくれたような気がする。


ホーチミンの大都市の真ん中にありながら、人々がそれぞれの時間を過ごす安らぎの空間。


食べ終わったゴミをきちんと片付けた。


その場所への敬意と、日々の暮らしを大切にしたい。


それは、国や文化が違っても、誰もが持つ共通の美徳のように思えるから。


これは壮大な物語ではなく、ささやかな日常の繰り返し。


そこにこそ、本当の街の魅力や人々の温かさがあるのかもしれない。


またいつかホーチミンを訪れたら、私は名所旧跡巡りではなく、地元の人々が通う公園や屋台に足を運んでみたい。


そんな小さな夢を抱きながら、ベトナム人妻と娘と日本で暮らしている。


ホーチミンの日常が教えてくれた、ささやかで大切な幸せを胸に。

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