SNSにも「相性」があるという話
「痛い痛い! ちょ、待って、今パパ喋ってるから!」
私の朝は、優雅なコーヒータイムではなく、愛娘からの強烈なプロレス技で幕を開けた。
寝起きのボサボサ頭でカメラを回し始めた瞬間、背後から忍び寄る小さな怪獣。
これが我が家の日常であり、私のコンテンツ制作のリアルな現場だ。
さて、そんな娘の猛攻に耐えながら、私はある重大な決断をカメラの前で口にした。
「SNS断捨離」である。
具体的に言えば、5年以上続けてきた2つのInstagramアカウント(「石川ファミリー」と「石川パパン」)を非公開にし、更新をストップするというものだ。
正直に告白しよう。
私はインスタという輝かしい世界で、完全に迷子になっていた。
9年以上続けているYouTubeなら、何を喋ればいいか、どう動けばいいかが肌感覚でわかる。
しかし、Instagramはどうだ。
「映え」とは無縁のアラフィフ日本人夫と、パワフルなベトナム人妻の生活。
おしゃれなカフェのラテアートよりも、妻が作る謎のベトナム料理や、娘が床にぶちまけたおもちゃの方が圧倒的に多い我が家にとって、あのキラキラした正方形の枠はあまりにも窮屈だったのだ。
「何を投稿すればいいのか?」
この問いに対する答えが見つからないまま、ただ漫然と写真を上げ続ける日々。
フォロワー数は伸び悩み、私の心は少しずつ摩耗していた。
それに、無邪気に家族の写真をアップし続けることへの不安も、頭の片隅でずっとくすぶっていた。
Google検索で写真が予期せぬ形でヒットするリスクを考えた時、ふと「潮時だな」と思ったのだ。
人間関係に相性があるように、SNSにも相性がある。
私とInstagramは、どうやら致命的に相性が悪かったらしい。
いくら工夫しても手応えがないのなら、それはもう努力不足ではなくミスマッチなのだ。
アカウント削除という絶交まではしないけれど、鍵をかけて距離を置く。
これからは、非公開という名の倉庫に思い出をしまい込み、私らしく輝ける場所(YouTubeやブログ、note、TikTok)にエネルギーを注ぐことにしよう。
「YouTubeはやめないの?」
画面の向こうからそんな声が聞こえてきそうだが、安心してほしい。
YouTubeはやめない。
むしろ、Instagramに費やしていたリソースが浮いた分、動画やnoteの方で本領を発揮できるはずだ。
「おいおい、何のプロレス技だよそれは……」
再び娘のタックルを受けながら、私は苦笑いする。
映えないけれど、愛おしいこの泥臭い日常こそが、私にとって最高のコンテンツなのだから。
さらば、Instagram。
そしてこれからもよろしく、note。




