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石川パパンエッセイ集  作者: 石川パパン


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20/20

SNSにも「相性」があるという話

「痛い痛い! ちょ、待って、今パパ喋ってるから!」


私の朝は、優雅なコーヒータイムではなく、愛娘からの強烈なプロレス技で幕を開けた。


寝起きのボサボサ頭でカメラを回し始めた瞬間、背後から忍び寄る小さな怪獣。


これが我が家の日常であり、私のコンテンツ制作のリアルな現場だ。


さて、そんな娘の猛攻に耐えながら、私はある重大な決断をカメラの前で口にした。


「SNS断捨離」である。


具体的に言えば、5年以上続けてきた2つのInstagramアカウント(「石川ファミリー」と「石川パパン」)を非公開にし、更新をストップするというものだ。


正直に告白しよう。


私はインスタという輝かしい世界で、完全に迷子になっていた。


9年以上続けているYouTubeなら、何を喋ればいいか、どう動けばいいかが肌感覚でわかる。


しかし、Instagramはどうだ。


「映え」とは無縁のアラフィフ日本人夫と、パワフルなベトナム人妻の生活。


おしゃれなカフェのラテアートよりも、妻が作る謎のベトナム料理や、娘が床にぶちまけたおもちゃの方が圧倒的に多い我が家にとって、あのキラキラした正方形の枠はあまりにも窮屈だったのだ。


「何を投稿すればいいのか?」


この問いに対する答えが見つからないまま、ただ漫然と写真を上げ続ける日々。


フォロワー数は伸び悩み、私の心は少しずつ摩耗していた。


それに、無邪気に家族の写真をアップし続けることへの不安も、頭の片隅でずっとくすぶっていた。


Google検索で写真が予期せぬ形でヒットするリスクを考えた時、ふと「潮時だな」と思ったのだ。


人間関係に相性があるように、SNSにも相性がある。


私とInstagramは、どうやら致命的に相性が悪かったらしい。


いくら工夫しても手応えがないのなら、それはもう努力不足ではなくミスマッチなのだ。


アカウント削除という絶交まではしないけれど、鍵をかけて距離を置く。


これからは、非公開という名の倉庫に思い出をしまい込み、私らしく輝ける場所(YouTubeやブログ、note、TikTok)にエネルギーを注ぐことにしよう。


「YouTubeはやめないの?」


画面の向こうからそんな声が聞こえてきそうだが、安心してほしい。


YouTubeはやめない。


むしろ、Instagramに費やしていたリソースが浮いた分、動画やnoteの方で本領を発揮できるはずだ。


「おいおい、何のプロレス技だよそれは……」


再び娘のタックルを受けながら、私は苦笑いする。


映えないけれど、愛おしいこの泥臭い日常こそが、私にとって最高のコンテンツなのだから。


さらば、Instagram。


そしてこれからもよろしく、note。



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