拝啓、いつか追い付く貴女へ
夢を持ち続けましょう、人生を楽しむために。
「はい。じゃあ、この時間は、進路の紙を書いてもらう。お手本は、黒板見たらわかるからな。大きな字で、濃く書けよ?」
進路。僕は、あの、地元の進学校に進学。
名前は確か…。
思い出し、僕は書こうとする。
すると、隣の席の子が立ち上がり、
「先生、私には関係ないので図書室に行ってきます」
「ん? ああ、いいぞ。たっぷり勉強しろよ? 図書室の本はタダだしな、今のうちにしっかり利用しろ」
「ちよ、ちょっと待って」
僕は教室から出て追いかける。
「何?」
振り向いてくれる。
それに、僕はホッとする。
僕は、
「ちゅ、中卒のつもりなの? 何で。家庭の事情?」
「おかしなことを聞くね。君は、私のことをよく知ってるでしょ? よく一緒にいるんだから」
家庭の事情ではない、か。そんな話、聞いたことないし。
小さい頃からずっと一緒だから、この子のことはよく知っている。読書家で、少し暗くて。僕は、そんな彼女のことが好き、いや、んなのは今はどうでもいい。
「じゃあ、何で?」
よく知っているはずなのに、理解できない。
「一緒に高校行こうよ、同じ高校に」
「嫌だ」
「嫌だ?」
なんだろう、嫌われたのだろうか。
「私、来年から専業作家なの」
「作家じゃないくせに、何バカ言って」
「検索したら出てくるよ、私の名前で。したことないの? 知っている人の名前で検索」
真面目に。
知らなかったなあ、全く。いつも一緒にいるのに。
「高校行きながら作家ってのは? ねえ、高校行こうよ」
「図書館で本を借りたりして、勉強しながら書きたいから。
それに、学校は嫌いなの。小さな世界、意味分からないルール、産まれたのが少し早かっただけで偉そうにする人たちとか」
「楽しい所もあるじゃないか! 修学旅行とか、他にもたくさんっ」
「なぜ、そう、しつこいの?
私は私の夢を追う、あなたには関係ない。
そんなに一緒にいたいなら、私を追いかけたら? 文章が苦手なあなたが作家になれるとは思えないけど」
そして、図書室へ、向かっていった。
1人になる僕。
専業作家になるとか、悔しかったら追いかけて来いとか。
もう…。
「わかんないよ、僕にはわかんないよ!」
そして、翌年の春。
僕は椅子から立ち上がり、名前を言うと、
「必ず作家になります」
宣言し、座る。
文章力は、まだ自信ない。
けど、あの子が今でも好きだから。
だから、僕も作家になる。
今の夢は、また、あの子と一緒になること。好きな子と一緒にいたい、それだけ。
絶対に追い付いてやる。
読んでいただき、ありがとうございました。
少しでも前向きになって頂けたら幸いです。




